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ビジネスの場面でよく使われる、スキームという言葉の正しい意味や使い方を説明できる方は少ないかもしれません。
本記事では、使用シーン別のスキームの意味や、ビジネスシーンでの使用例、スキームの類義語などについて解説します。スキームの正しい使い方を理解して、ビジネスシーンでのスムーズなコミュニケーションに役立ててください。
スキームとは?
「スキーム」とは、英語の「scheme」を由来とする言葉で、直訳すると計画、案、図式、枠組み、体系などといった意味があります。ただし、使用するシーンによって具体的な意味が異なるため、使い方には注意が必要です。
まずはスキームの意味を使用シーン別に3つ紹介するため、それぞれの違いを正しく理解しましょう。
スキームの意味|ビジネス用語 として使う場合
ビジネス用語としての「スキーム」は、目標達成に向けた具体的な方法や取り組みを意味します。新規事業を実現するための構想案や、チーム間の役割分担、お金の流れなどを詳細に表す際に用いられるのが一般的です。
スキームはビジネスを円滑に進めるための道筋にもなるため、慎重かつ綿密に計画する必要があります。ビジネスの場でスキームを作成する際は、大まかなビジネスモデルを考案するだけではなく、ひとつの事業を着実に実現できるような細かな仕組みまで熟考することが重要です。
スキームの意味|IT で使う場合
IT業界における「スキーム」は、プログラミング言語やIT機能を実現するための技術的な要素として用いられるのが一般的です。
シンプルな構文でコード作成ができるプログラミング言語の一種である「 は、近年人工知能にも多く活用されています。
この他、URLの先頭に付く「http://」「https://」などの部分はURL と呼ばれ、インターネット上のリソースやアプリケーションにアクセスするために用いられます。
このように、IT業界におけるスキームは使用シーンによって具体的な意味合いが異なり、ソフトウェア開発やシステム設計などの場では多様なスキームが使用されているのです。
スキームの意味|英会話 で使う場合
日常の英会話で「スキーム」という言葉を使用する場合、ビジネスシーンで用いる場合とは意味合いがやや異なり、策略・計画・たくらみといったネガティブなニュアンスを含むことがあります。
そのため、グローバルなビジネスシーンでスキームという言葉を発する場合は、文脈や前後の単語に注意を払うことが大切です。
会議やプレゼンの場でスキームという言葉を用いた際は、相手にスキームの意味が正しく伝わっているか最終確認することで、予期せぬ誤解の発生を防ぐことができるでしょう。
ビジネスシーンでの 6選
スキームは単体での使用よりも、異なる単語と組み合わせて使用されるのが一般的です。ここでは、異なる単語と組み合わせたスキームの使い方を6つ紹介します。
事業スキーム
事業スキームとは、事業を成功させるために計画した細かな仕組みや枠組みを意味します。
新規事業の立ち上げや既存事業の改革の際には、事業内容やターゲット、運営方法などを明確にしなければなりません。事業スキームは、事業を進めるうえで必要な要素を具体的に落とし込んだ設計図のような役割を担っているのです。
また、事業スキームを作成する際は、事業の全体像を視覚的に表現するために「スキーム図」と呼ばれる図面を使用することがあります。スキーム図を用いることで、チームメンバーそれぞれの役割や、事業にまつわるお金・サービスの流れなどを、事業に関わるすべての人間が的確に把握することができます。
事業スキームはチーム全員が共通の認識を持ち、連携しながらひとつの事業を円滑に進めるための重要な指針でもあるのです。
資金調達スキーム
資金調達スキームとは、事業に必要な資金をどのように調達するかを具体的に示した計画や仕組みを意味します。
資金調達スキームの一例として、以下のようなものが挙げられます。
- 金融機関からの借り入れ(融資)
- 株式発行
- 社債発行
- ファクタリング
- クラウドファンディング
資金調達スキームを構築する際は、資金の必要額を明確にしたうえで、自社にとって最適な資金調達方法を選定する必要があります。それぞれリスクやコスト、条件などが異なるため、決定する際は企業の状況や市場環境を考慮しなければなりません。
また、資金調達スキームを計画するうえで特に重要なのが、事業計画書です。資金調達時には方法を問わず必ず事業計画書を提出する必要があります。実現性の高い資金調達スキームを構築するためにも、事業計画書には資金の流れや返済計画などを緻密に記載するよう注意してください。
M&Aスキーム
M&Aスキームとは、企業合併や買収(M&A)を実行する際に使用される、具体的な手順や計画を指します。
M&Aスキームの手法は多岐に渡り、株式譲渡や事業譲渡をはじめ、会社分割や株式交換、合併、資本業務提携など、さまざまな手段があります。
合併や買収はどの企業にとっても大きな転換期となるため、M&Aスキームは以下のようなさまざまな観点を考慮して計画を練り上げることが重要です。
- 合併方法や買収する対象
- 株式や事業の取得費率
- 資金の調達方法
- 統合後の経営体制
実現性の高いM&Aスキームを構築するには、M&Aによって得られる利益や各企業との関係性などにも配慮し、慎重に意思決定を進めていく必要があります。
販売スキーム
販売スキームとは、企業が商品やサービスをどのような方法で顧客に届けるのかを明確化した、販売の仕組みや計画を意味します。販路の拡大や開拓、販売方法を見直す際に、販売スキームを構築することで、自社の現状を的確に把握し、売上の向上を目指しやすくなります。
販売スキームを構築する際は、一般的に以下のような項目を検討します。
- ターゲット:ファミリー層・学生・会社員など
- 販売チャネル:直販・代理店・ECサイト・実店舗など
- 価格設定:定価・割引・会員価格など
- 決済方法:現金・クレジットカードなど
- 広告手法:テレビCM・インターネット広告・チラシ配布など
販売スキームは、市場環境や顧客ニーズの変化に応じて、柔軟に見直すことが重要です。
評価スキーム
評価スキームとは、社員の人事評価やチームの事業評価をする際に用いられる枠組みのことです。
以下に挙げるような項目を明確にすることで、客観性や公平性の高い評価スキームを構築することが可能です。
- 評価項目:業績・能力・態度など
- 評価基準:数値目標・行動指標など
- 評価方法:自己評価・上司評価・360度評価など
- 評価結果の活用方法:昇給・賞与・昇進など
評価基準となるベースを明らかにしておくことで、自社の人事業務を円滑に行いやすくなるだけでなく、社員が自身の受けた評価に納得しやすくなるというメリットがあります。
企業の安定的な成長と社員のモチベーションの維持を図るためにも、評価スキームは定期的に見直し、改善することが大切です。
投資スキーム
投資スキームとは、資金を運用して利益を得るための戦略や計画の枠組みのことです。投資スキームは金融業界で用いられることが多く、企業や個人がリスクを最小限に抑えながら、リターンを最大化するための指針として活用されます。
投資スキームを構築する際には、主に以下の項目を検討することが重要です。
- リスク許容度
- 投資目標
- 投資対象
- 投資形態
- 投資金額
- 投資期間
投資スキームには、複数の投資家から集めた資金をまとめて運用・管理し、その収益を分配する仕組みを指す、集団投資スキームと呼ばれるものもあります。
投資スキームは投資する金融商品や配分を具体化するために、定期的なモニタリングと見直しが重要といわれています。
スキームの類義語 も解説

スキームにはいくつかの類義語がありますが、それぞれ意味が異なるため、ビジネスの場で使用する際は各用語を正しく理解しておく必要があります。
ここではスキームと似た意味を持つ4つの用語について、スキームとの違いについても触れながら詳しく解説します。
プラン
プランとは、大まかな計画を意味する言葉です。ビジネスシーンでは、アイデアや構想を示すために使われるのが一般的です。
構想中のアイデア段階から、おおよその計画など幅広い範囲で使われるプランに対し、スキームは一定の目標を達成するために、具体的な行動計画や数値目標を設定する際に使用される言葉です。
実現性の高い計画を指すスキームと、計画段階のものを含むプランとでは、それぞれの言葉が持つ具体性の高さが大きく異なります。
フロー
フローとは、物事の流れや手順を表す言葉です。ビジネスシーンでは、業務の進行手順や、情報・モノ・お金の流れなどを示す際に使用されます。
時間的な流れや段階的な手順を示すために用いられるフローに対し、スキームは主に事業全体の枠組みを指すため、必ずしも時系列や順序にこだわりません。
このように、ビジネスシーンにおけるスキームとフローは、それぞれ意味が若干異なります。しかし、ビジネスの場では事業を成功に導くための手順をフローチャートとして示すことで、周囲からの理解を得やすいスキームを作成することができるといわれています。
そのため、スキームとフローは、必要に応じて併用することも重要なのです。
ロジック
ロジックとは、論理や理論的な考えを意味する言葉です。ビジネスシーンでは、複雑な事象をわかりやすく簡潔に伝えるために、物事の考え方の道筋を表す際に使用されます。
事業全体の枠組みを示すスキームとは言葉の意味そのものが異なりますが、精度の高いスキームを構築するためには、ロジックが欠かせません。
周囲からの理解を得るのが困難な煩雑な事業も、ロジックにより各計画の詳細を論理的に組み立てることで、誰にとってもわかりやすいスキームを作成することができるのです。
フレームワーク
フレームワークとは、物事を分析・理解するための、考え方の骨組みのことです。ビジネスシーンでは、状況の分析や戦略立案の際のガイドラインとして使用されます。
スキームは事業の具体的な枠組みを示しますが、フレームワークはスキームを構築する前段階で用いられることが多く、計画性をともなわない意思決定や戦略立案の枠組みとして使用されるのが一般的です。
それぞれの言葉は細かな意味こそ異なるものの、ビジネスの場では、フレームワークをもとに具体的なスキームを作成する場面も多く見られます。
まとめ:計画的に外資系・日系グローバル企業への転職を目指したい方は、エンワールド・ジャパンへのご登録をご検討ください
スキームは使用されるシーンによって具体的な意味が異なるほか、別の単語と組み合わせて使われることが多い言葉です。スキームの類似語との違いについても正しく理解しておくことで、ビジネスの場でより円滑なコミュニケーションが取りやすくなるでしょう。
ビジネスシーンでスキームを作成するのと同様に、効率的に外資系・日系グローバル企業への転職を目指している方は、綿密な計画を立てて転職活動を進めることが非常に重要です。
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