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「リファレンスチェックって何?」、「リファレンスチェックを頼める人がいないときはどうすればよい?」など、リファレンスチェックについて疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
リファレンスチェックとは、応募者をよく知る第三者に対して、応募者の勤務状況や人柄などを確認する調査のことです。
本記事では、リファレンスチェックの基本的な知識からその実態まで、詳しく解説します。リファレンスチェックに関してよくある質問にも答えますので、リファレンスチェックを受ける際の参考にしてください。
外資系企業へ転職をお考えの方へ!リファレンスチェックの対応方法までサポートいたします
外資系企業への転職ではリファレンスチェックが行われることが多くあります。外資系企業や日系グローバル企業に強みのあるエンワールドなら、リファレンスチェック対策も万全です。あなたの外資系企業への転職を徹底的にサポートいたします。
リファレンスチェックとは
リファレンスチェックとは、中途採用を行う過程で、応募者の現職または前職での勤務状況や人物像などについて、応募者をよく知る関係者に問い合わせる調査のことです。
企業としては、リファレンスチェックを実施することで、書類や面接では知りえない応募者の人柄や能力について把握し、ミスマッチを防ぎたいという目的があります。
また、実際の調査は、企業が直接行う場合と外部の業者に委託して行う場合があります。
外資系企業では一般的に行われている調査であり、日本企業でも幹部採用を中心に、実施する企業が増えているようです。
なお、リファレンスチェックは、基本的に応募者の同意を得たうえで実施されます。応募者に無断で実施されることはないため、「知らないうちにリファレンスチェックが実施されているのではないか」と不安になる必要はありません。
リファレンスチェックとは?実施フローや質問内容、メリットなど、気になるポイントを解説!(エン・ジャパン リファレンスチェックサービス「ASHIATO」より)
前職調査(バックグラウンドチェック)との違い
リファレンスチェックと前職調査(バックグラウンドチェック)では、実施される目的が違います。
前職調査とは、応募者の職歴や経歴に詐称がないか、コンプライアンス上のリスクがないかなどを事前に調査することです。企業としては、応募者の申告内容に虚偽がないかを確認し、問題がある応募者を採用するリスクを避けるという目的があります。
一方で、リファレンスチェックの目的は、応募者のことをより深く知ることで、採用におけるミスマッチを防ぐことです。
リファレンスチェックの実施率
リファレンスチェックの実施状況について、エンワールドが外資系企業および日系グローバル企業に対しアンケート調査を2021年に実施したところ、303社から回答を得ました。
本調査によると、リファレンスチェックの実施率は以下のような結果になりました。
▼リファレンスチェックの実施率

出典:中途採用における、リファレンスチェック実施状況調査|エンワールド
このように、リファレンスチェックを実施している割合は、外資系企業で58%、日系企業で23%でした。日系企業よりも外資系企業のほうがリファレンスチェックを実施していることが分かります。
そのため、特に外資系企業に転職する際は、リファレンスチェックについて把握しておく必要があります。
実施タイミング
同様の調査によると、リファレンスチェックの実施タイミングについては、以下のような結果になりました。
▼リファレンスチェックの実施タイミング

出典:中途採用における、リファレンスチェック実施状況調査|エンワールド
このように、リファレンスチェックの実施タイミングは企業によって異なるものの、全体では「最終面接の後」に実施する場合が62%と最も多くなっています。
つまり、企業としては、あくまで応募者の申告内容と事実に相違がないかを確認する目的が大きいのかもしれません。
ただし、日系企業では外資系企業よりも早いタイミングでリファレンスチェックをおこなう企業が多くなっています。このような企業では、リファレンスチェックが選考に与える影響が比較的大きい可能性があります。
リファレンス先の人数と選び方
同様の調査によると、リファレンスチェックを依頼する人数については、以下のような結果になりました。
▼リファレンスチェックを依頼する人数

出典:中途採用における、リファレンスチェック実施状況調査|エンワールド
このように、1人の応募者につき2人にリファレンスチェックを依頼する企業が最も多いことが分かります。特に外資系企業では2人にリファレンスチェックを依頼する割合が61%と高くなっています。
また、リファレンスチェックを依頼する人の選び方については、以下のような結果になりました。
▼リファレンスチェックを依頼する人の選び方

出典:中途採用における、リファレンスチェック実施状況調査|エンワールド・ジャパン
このように、リファレンスチェックを依頼する人は、応募者の推薦で選んでいることが多く、外資系企業では67%という高い割合になっています。
つまり、外資系企業は応募者の推薦で2人にリファレンスチェックを実施する傾向があると分かりました。
実施形式
リファレンスチェックの実施形式は、主に以下の3つがあります。
- 電話
- メール・書面
- 面談
電話やメール・書面でリファレンスチェックが実施される場合は、連絡が来るタイミングや連絡先などをあらかじめ伝えておきましょう。
また、面談は対面形式で行われる場合とオンライン形式で行われる場合があります。特に対面形式の場合は、リファレンス先にまとまったスケジュールを確保してもらう必要があるため、早めに相談しましょう。
リファレンスチェックを受ける4つのメリット
リファレンスチェックと聞くと、「信用されていないのでは?」「周りに迷惑がかかるのでは?」といった不安を抱くかもしれません。しかし、実はリファレンスチェックは応募者にとってもメリットがあります。
ここでは、応募者がリファレンスチェックを受ける4つのメリットについて解説します。
職歴や経歴を正しく理解してもらえる
リファレンスチェックを受けることで、職歴や経歴を正しく理解してもらうことができます。
リファレンスチェックとは別に前職調査を実施する企業もありますが、リファレンスチェックでも前職や現職の関係者に話を聞けるため、前職調査的な意味で実施する企業もあるのです。
なお、リファレンスチェックで職歴・経歴詐称が判明すると、内定取消につながる恐れがあります。履歴書や職務経歴書を書く際は、当然ながら事実のみを書くよう気をつけましょう。
ミスマッチを防止できる
リファレンスチェックには、ミスマッチを防ぐという企業の目的がありますが、それは応募者にとってもいえることです。
企業はリファレンスチェックによって「自社の方針に合っているか」「自社が求めるスキルや経験があるか」などを第三者の意見から評価します。
リファレンスチェックの結果、不採用になる可能性はゼロではありませんが、応募者にとっても入社後に「企業の雰囲気が合わない」「自分のスキルを活かせない」といったミスマッチを防ぐことが可能です。
自分では伝えきれない魅力や強みを知ってもらえる
リファレンスチェックでは、第三者の評価が応募先企業に伝わるため、書類や面接で伝えきれなかった自分の魅力や強みを知ってもらえるメリットがあります。ときには、自分では気付いていない新たな長所が評価されることもあるでしょう。
また、書類や面接でアピールした内容の裏付けにもなるため、リファレンスチェックによって納得感を持ってもらうことにもつながります。
リファレンスチェックの具体的な流れ
ここでは、リファレンスチェックの具体的な流れを解説します。
リファレンスチェックの実施に対して同意する
リファレンスチェックが実施される場合、個人情報保護法の観点から、企業は応募者の同意を得なければなりません。そのため、企業からリファレンスチェック実施の案内があった際は、内容をよく確認し、同意するかどうかを判断してください。
なお、リファレンスチェックへの同意は義務ではありませんが、同意して受けることで、企業との信頼関係が築きやすくなります。その結果、転職後も気持ちよく働ける可能性が高まります。
リファレンス先を決定する
リファレンスチェックの実施に同意したら、次はリファレンスチェックを誰に依頼するかを決めます。リファレンスの依頼先を決める方法は、応募者が紹介する場合と企業が探す場合に分かれます。
応募者がリファレンス先を紹介する
企業側から応募者に対し、リファレンスチェックの依頼先を紹介するように求める場合があります。依頼先は、評価をする立場にいる上司や仕事内容が分かる同僚が一般的です。
応募者自身が上級管理職で、上司が役員クラスになる場合は、依頼が難しいこともあるでしょう。その場合は、リファレンスチェックを部下にお願いしても問題ありません。
なお、応募者が依頼先を紹介した後は、企業側がすべてのやり取りを行うため、応募者がリファレンスチェックそのものに関与することはありません。そのため、リファレンスチェックを依頼する相手には、事前に十分な説明をして理解を得ておきましょう。
企業がリファレンス先を探す
企業がリファレンスチェックの依頼先を探す場合は、応募者は何もする必要がありません。企業側からリファレンスチェックを行う旨の説明を受けて、同意するのみです。
リファレンス先に依頼がいく
リファレンスチェックを誰に依頼するかが決まったら、企業からそのリファレンス先に依頼がいきます。依頼の際には、リファレンスチェックの実施形式や大まかな質問内容が共有されます。
なお、リファレンスチェックの日程調整は、企業とリファレンス先が直接行うのが一般的です。そのため、基本的にここからは応募者が何か行うことはありません。
リファレンスチェックが実施される
決まった日時・実施形式によってリファレンスチェックが実施されます。
なお、企業の人事担当者がおこなうことが一般的ですが、専門のサービス会社などに外注する企業もあります。
リファレンスチェックの質問内容
ここでは、リファレンスチェックの質問内容について解説します。

勤務状況について
リファレンスチェックでは、応募者の勤務状況について質問されることがあります。具体的な内容としては以下が挙げられます。
- 応募者の勤務期間はいつからいつまででしたか?
- 役職や職務内容に間違いはありませんか?
- 以前にどこかで勤務していたという話は聞いていませんか?
これらの質問は、応募者が提出した職務経歴書や申告内容に誤りや食い違いがないかを確認する意図があります。
職務能力について
リファレンスチェックでは、職務能力を確認されることもあります。具体的な内容としては以下が挙げられます。
- 主な実績にはどのようなものがありますか?
- 問題やトラブルが生じたときの対応はどうでしたか?
- 仕事のやり方に無駄があると思ったことはありませんでしたか?
- 同じプロジェクトメンバーとして今後も働きたいと思いますか?
- リーダーシップを感じる人物でしたか?
このように、応募者がどのような活躍をしてきたか、仕事の面で周囲からどう思われていたかなどについて詳しく質問されます。
人柄や勤務態度について
リファレンスチェックでは、勤務状況や職務能力などの仕事面以外にも、人柄や勤務態度についての質問が含まれる場合があります。具体的な内容には以下が挙げられます。
- 周囲とのコミュニケーションは良好でしたか?
- 行動の意図がつかめないことはありましたか?
- 上司や部下との折り合いが悪いと思うことはありませんでしたか?
- 遅刻や欠勤は多くなかったですか?
- 応募者とはどのような関係ですか?
- 応募者をひと言でいえばどのような人物ですか?
このように、応募者の性格や職場での人間関係を把握する内容が質問されることもあります。
リファレンスチェックについて気になる疑問
ここでは、リファレンスチェックについて気になる疑問に答えました。
リファレンスチェックが実施されたらほぼ内定?
リファレンスチェックが実施されたからといって、内定や採用が決定したわけではありません。リファレンスチェックはあくまで選考の過程で実施されるものです。つまり、リファレンスチェックの結果によって不採用と判断される可能性もあります。
ただし、最終面接の後に実施されることが多いため、最終確認のプロセスである可能性は高いといえます。
リファレンスチェックが原因で落ちることはある?
リファレンスチェックで重大な経歴詐称や虚偽の申告が判明した場合は、不採用になる可能性があります。そのため、応募先に提出する履歴書や職務経歴書、その他書類には虚偽の内容を記載しないよう十分な注意が必要です。
応募者に無断でリファレンスチェックが実施されたら違法?
応募者の同意がなく、無断でリファレンスチェックが実施された場合、個人情報保護法に抵触する可能性があるため、企業の違法性が認められる場合があります。そのため、応募者に無断でリファレンスチェックが実施されることは基本的にありません。
リファレンスチェックで職場に転職活動がバレることはある?
基本的に無断でリファレンスチェックが実施されることはないため、自分の知らないところで転職活動がバレることはありません。
しかし、リファレンスチェックの実施に同意した場合、職場の上司や同僚に依頼するのが一般的なため、そのタイミングで転職活動のことを明かす必要が出てきます。
もし、転職活動を職場に知られたくないために、リファレンスチェックの協力を仰げない場合は、応募先の企業に正直に事情を説明しましょう。
その場合、現職の関係者以外の候補者を提示することを求められたり、リファレンスチェックに代わる方法が提示されたりする可能性があります。
ただし、可能な限りリファレンスチェックを受けたほうが、スムーズに転職を進められます。
リファレンスチェックは誰に頼むべき?
リファレンスチェックは、現職の上司や同僚に依頼するのが基本です。応募者自身が上級管理職の場合は、現職の部下に依頼しても問題ありません。
現職の職場で依頼できる人がいない場合は、前職の上司・同僚・部下や取引先、友人などに依頼する方法もあります。
ただし、友人はどうしても好意的な評価や配慮が働きやすく、客観性や信憑性が低いと判断される可能性があります。
したがって、リファレンスチェックを友人に依頼するのは、現職や前職の関係者で依頼できる人がいなかった場合の最終手段として考えましょう。
リファレンスチェックを頼める人がいない場合はどうすればいい?
リファレンスチェックを頼める人がどうしてもいない場合は、すぐに拒否するのではなく、応募先に頼める人がいない旨を相談しましょう。そうすることで、リファレンスチェックに協力したいという姿勢を伝えられます。
相談もせずにリファレンスチェックを拒否してしまうと、企業は「後ろめたいことがある?」「何かを隠している?」という印象を持つ可能性があります。
リファレンスチェックを頼める人がいないことだけで、ただちに不採用にはなりません。ただし、その場合はリファレンスチェックに代わる方法が提示されることがあるため、その指示に従うことが重要です。
まとめ
リファレンスチェックは、応募者の人柄や勤務状況について、応募者のことをよく知る第三者に対して実施される調査のことです。
一見、企業から「疑われているのではないか」と感じることがあるかもしれません。しかし、リファレンスチェックを受けることで、自分のことをより正しく理解してもらえたり、ミスマッチを防げたりするなど、応募者のメリットにもつながります。
また、外資系企業への転職を目指す場合、リファレンスチェックは避けて通れない選考過程ともいえます。応募者がリファレンス先を紹介する場合は、自分のことをよく理解してくれている上司や同僚への依頼がおすすめです。
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