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大規模なプロジェクトやグローバルな業務に携われる商社は、転職先としても人気の高い業界です。商社は総合商社か専門商社かの違いで平均年収に差が出ることも多いので、企業ごとの具体的な給料が気になる方もいるでしょう。
本記事では、2025年最新版の商社の平均年収ランキングを、総合・専門別に紹介します。上位企業の特徴や、商社が高年収を実現している具体的な理由についても解説するので、商社への転職を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
【2025年版】商社の平均年収ランキング
商社は大きく分けて総合商社と専門商社の2種類に分類でき、それぞれの違いは以下のとおりです。
- 総合商社:多様な分野の商材を扱い、事業規模が大きい
- 専門商社:特定分野の商材を専門的に扱い、事業規模は総合商社よりも小さいことが多い
ここからは、総合商社と専門商社のそれぞれの平均年収ランキングを紹介します。
総合商社の平均年収ランキング
|
企業名 |
平均年収 |
1位 |
三菱商事株式会社 |
1,485万円 |
2位 |
三井物産株式会社 |
1,436万円 |
3位 |
住友商事株式会社 |
1,327万円 |
4位 |
丸紅株式会社 |
1,244万円 |
5位 |
伊藤忠商事株式会社 |
1,228万円 |
6位 |
双日株式会社 |
1,006万円 |
7位 |
豊田通商株式会社 |
891万円 |
上記は「エンゲージ会社の評判」をもとに作成した、総合商社の平均年収ランキング(※)です。
ランキングに掲載されている総合商社は通称「7大商社」と呼ばれており、国内に留まらず、海外においても幅広い事業を展開しているのが特徴です。
7位の豊田通商株式会社以外は平均年収1,000万円を超えており、日本トップの総合商社はいずれも高年収を狙いやすいことが伺えます。
国税庁が実施した「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、国内の給与所得者の平均年収は以下のとおりです。
- 給与所得者全体:460万円
- 給与所得者(男性):569万円
- 給与所得者(女性):316万円
このことから、上記に挙げた総合商社の平均年収は、国内の平均値を大幅に上回っていることが分かります。
(※)本ランキングは、2025年8月時点で参照したデータをもとに作成しており、具体的な数値は時期によって変動する可能性があります。
専門商社の平均年収ランキング
|
企業名 |
平均年収 |
分野 |
1位 |
伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社 |
884万円 |
金属 |
2位 |
長瀬産業株式会社 |
820万円 |
化学製品 |
3位 |
日鉄物産株式会社 |
743万円 |
金属 |
4位 |
神鋼商事株式会社 |
647万円 |
金属 |
5位 |
東京エレクトロンデバイス株式会社 |
627万円 |
電機・電子・半導体 |
6位 |
岡谷鋼機株式会社 |
607万円 |
金属 |
7位 |
三愛オブリ株式会社 |
539万円 |
石油製品 |
8位 |
佐藤商事株式会社 |
536万円 |
金属 |
9位 |
JFE商事鉄鋼建材株式会社 |
521万円 |
金属 |
10位 |
CBC株式会社 |
519万円 |
化学製品 |
上記は「エンゲージ会社の評判」をもとに作成した、専門商社の平均年収ランキング(※)です。
人によって捉え方はさまざまですが、国内においては「年収800万円以上を高年収」と考える傾向が強く、その観点から見ると1位の伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社と2位の長瀬産業株式会社は高年収を実現している企業といえます。
総合商社と比較すると全体的に平均年収は低めであるものの、金属分野を扱っている企業が10社中6社もランクインしているため、金属系の専門商社は高年収を狙いやすいであろうことが予測できます。
(※)本ランキングは、2025年8月時点で参照したデータをもとに作成しており、具体的な数値は時期によって変動する可能性があります。
平均年収ランキング上位|5大商社の概要を解説
総合商社の平均年収ランキングにもランクインしている以下の5つの企業は、通称「5大商社」と呼ばれています。
【5大商社】
- 三菱商事株式会社
- 三井物産株式会社
- 住友商事株式会社
- 丸紅株式会社
- 伊藤忠商事株式会社
5大商社は総合商社のなかでも特に事業規模が大きく、各々の強みを活かして国内外の経済活動に大きな影響を与えています。
ここからは、5大商社に属する企業をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
三菱商事株式会社
設立 |
1950年4月1日 |
資本金 |
204,446,667,326円 |
従業員数 |
単体:4,477名 連結:62,062名(三菱商事単体および連結子会社従業員数) ※2025年3月31日現在 |
事業 |
天然ガス、総合素材、石油・化学、金属資源、産業インフラ、自動車・モビリティ、食品産業、コンシューマー産業、電力ソリューション、複合都市開発など |
三菱商事株式会社は、全世界に約120箇所もの拠点を持つ日本最大級の総合商社です。国内外取引や事業投資、情報、技術、金融、物流など、ジャンルにとらわれない幅広いサービスを提供しています。
資金力の高さやバランスの取れた事業経営を強みとし、天然ガスや金属など資源事業において高い収益を上げているのが特徴です。
参考:三菱商事株式会社
三井物産株式会社
設立 |
1947年7月25日 |
資本金 |
343,441,628,595円 ※2025年3月31日現在 |
従業員数 |
5,388名 (連結従業員数56,400名) ※2025年3月31日現在 |
事業 |
金属資源、エネルギー、プロジェクト、モビリティ、化学品、鉄鋼製品、食料、流通事業、ウェルネス事業、ICT事業など |
三井物産株式会社は、世界62ヵ国に124拠点を持つ、日本を代表する総合商社です。グローバルなネットワークと情報力を活かし、国際的なプロジェクト案件の構築にも積極的に取り組んでいます。
金属やエネルギーなどの資源分野に強みを持ち、「世界中の未来をつくる」というミッションを実現するため、持続的な価値創造に取り組んでいる企業です。
参考:三井物産株式会社
住友商事株式会社
設立 |
1919年12月24日 |
資本金 |
221,000,000,000円 |
従業員数 |
5,086名(連結ベース83,327名) |
事業 |
多様な商品・サービスの販売、輸出入、三国間取引、国内外における事業投資など |
住友商事株式会社は、以下9つの分野で多角的に事業を展開している、日本トップクラスの総合商社です。
- 鉄鋼
- 自動車
- 輸送機・建機
- 都市総合開発
- メディア・デジタル
- ライフスタイル
- 資源
- 化学品・エレクトロニクス・農業
- エネルギートランスフォーメーション
創業400年にわたり受け継がれてきた「住友の事業精神」を経営理念の根底に据え、人々の経済的・精神的な豊かさと夢を実現することを使命としています。
特にメディア・デジタルや不動産分野などに強みを持ち、バランスの取れた事業ポートフォリオと、堅実な経営姿勢が国内外から高く評価されています。
参考:住友商事株式会社
丸紅株式会社
設立 |
1949年12月1日 |
資本金 |
263,711,000,000円 ※2025年3月31日現在 |
従業員数 |
4,304名(丸紅グループの従業員数 51,834名) ※2025年3月31日現在 |
事業 |
ライフスタイル、食料・アグリ、金属、エネルギー・化学品、電力・インフラサービス、金融・リース・不動産、エアロスペース・モビリティなど |
1858年創業の丸紅株式会社は、世界各国に126もの拠点を持つグローバルな活躍が目覚ましい総合商社です。
海外2ヵ国で大規模な植林可能地を管理したり、タイやメキシコなどで一般消費者向けのカーメンテナンス事業を経営したりと、生活に密着した事業を数多く展開しています。
「Global crossvalue platform」という独自のポリシーを掲げ、部門を超えた連携や新事業創出を通じて、社会課題の解決や持続可能な成長に向けて、常に積極的に取り組んでいます。
参考:丸紅株式会社
伊藤忠商事株式会社
設立 |
1949年12月1日 |
資本金 |
253,448,000,000円 |
従業員数 |
4,215名 |
事業 |
繊維、機械、金属、エネルギー、化学品、食料、住生活、情報、金融など |
伊藤忠商事株式会社は、創業者・伊藤忠兵衛の言葉から生まれた「三方よし」の精神を受け継ぎ、周囲のさまざまなステークホルダーの期待と信頼に応えることを目指しています。世界61ヵ国に約90の拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。
繊維分野や非資源分野、ファミリーマートをはじめとする生活消費関連分野において強固な事業基盤を持っており、競争力の高い企業として知られています。
参考:伊藤忠商事株式会社
商社の給料が高い理由は?
次は、商社が高い平均年収を実現している主な理由を、3つのポイントに分けて詳しく解説します。

投資中心のビジネスモデルであるため
商社は人材や物、サービスに投資して利益を出す「事業投資」を中心としたビジネスモデルを展開しており、これが商社ならではの高い平均年収を実現している要因の一つといえます。
投資中心のビジネスモデルはランニングコストがかからず、在庫リスクや店舗運営コストなどを最小限に抑えながら、高収益が見込める分野にのみ資本を投じて利益を追求できます。
このように、商社は低コストで高収益を得られる事業展開をしているため、そこで得た利益を社員の給与やボーナスに還元しやすいのです。
海外に事業を展開している企業が多いため
上述したように、日本トップクラスの商社はグローバルに事業を展開している企業が多く、これも商社の高年収に大きな影響を及ぼしています。
商社に勤める社員は海外出張や海外赴任の機会が頻繁にあり、「海外出張手当」や「海外赴任手当」などという名目で基本給にプラスして各種手当が支給されるため、高年収を実現しやすいのです。
財務省が作成した「民間企業における出張旅費規程等に関するアンケート報告書」によると、海外出張の日当平均は5,441円と明記されています。
このことからも分かるように、高頻度で海外出張に行く場合、年収ベースで考えると百万円以上の手当が支給されることも珍しくないのです。
参考:民間企業における出張旅費規程等に関するアンケート報告書|財務省
企業が優秀な人材を定着させたいため
商社の給料が高い理由として、企業側が優秀な人材を定着させたい意向が強いということも挙げられます。
海外政府との交渉や新規事業への投資計画の立案など、商社では難易度が高く、一定のスキルや経験を有していないとこなせないような業務が複数存在します。
特に専門性の高い業務を担うには、語学力やコミュニケーション能力のほか、戦略的思考力やビジネスの構想力といった、あらゆるスキルを保有していなければなりません。
このようなスキルをあわせ持つ人材は限られているため、企業側は報酬面を充実させることで、優秀な人材の確保と長期的な定着を図っているのです。
年収アップを目指して商社への転職を検討している方は、外資系企業もおすすめ
商社への転職を目指している方のなかには、年収アップに重きを置いて転職活動を行っている方も多いのではないでしょうか。そのような方には、選択肢の一つとして外資系企業も視野に入れてみることをおすすめします。
外資系企業の多くは実力や成果に基づいた評価基準を設けており、自身の能力や努力次第で、総合商社と同等レベルの高年収を狙える可能性があります。
若いうちから責任のあるポジションを任せられることも多く、やりがいを感じながら効率的にスキルアップを図れるでしょう。
また、日本トップクラスの商社は競争倍率が高く、転職の難易度も比較的高い傾向にあります。キャリアアップを叶えながらスムーズに年収アップを実現させたい方は、ぜひ外資系企業への転職という選択肢を前向きに検討してみてください。
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商社の平均年収は総合商社と専門商社で差があり、総合商社においては「7大商社」「5大商社」と呼ばれる日本トップクラスの商社が上位を独占する結果となりました。
商社はランニングコストがかからない投資型ビジネスモデルを確立させているほか、海外手当や海外赴任手当などの各種手当が基本給にプラスされやすいことから、平均よりも高い年収を実現させています。
ただし、人気の商社は転職倍率が高いため、スムーズな転職を叶えたい方は商社と同等の年収が狙える外資系企業への転職を検討してみてはいかがでしょうか。
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エンワールド編集部
外資系・日系グローバル企業のハイクラスに精通するエンワールドの編集部員が、転職やキャリア、日々の仕事のお悩みに役立つ情報を執筆します。