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製薬業界は、安定したニーズと高い専門性が求められることから、転職先として常に人気の高い業界のひとつです。特に日系・外資系を問わず大手企業では、年収水準が高く、グローバルなキャリア形成が可能な点も大きな魅力です。
しかし一方で、企業によって売上規模や年収、働き方、福利厚生に大きな差があるため、転職を成功させるには業界全体の情報を正しく把握することが不可欠です。
本記事では、【2025年最新版】として、製薬会社の売上高ランキング・年収ランキングをそれぞれ10社分紹介するとともに、業界の将来性や日系・外資系企業の特徴もわかりやすく解説します。製薬業界への転職を検討している方はもちろん、企業選びに迷っている方も、ぜひ参考にしてください。
製薬会社の売上高ランキングTOP10
製薬会社の売上高ランキングTOP10は以下のとおりです。
- 武田薬品工業株式会社|4兆5,815億5,100万円
- 大塚ホールディングス株式会社|2兆3,298億6,100万円
- アステラス製薬株式会社|1兆9,123億2,300万円
- 第一三共株式会社|1兆8,862億5,600万円
- 中外製薬株式会社|1兆1,706億1,100万円
- エーザイ株式会社|7,894億円
- 協和キリン株式会社|4,955億5,800万円
- 小野薬品工業株式会社|4,868億7,100万円
- 塩野義製薬株式会社|4,382億6,800万円
- 住友ファーマ株式会社|3,988億3,200万円
ここからは、それぞれの企業の概要を解説します。
※ランキングデータは、2025年7月17日時点となります。ランキングとデータは変動します。
武田薬品工業株式会社|4兆5,815億5,100万円
第1位は国内製薬企業のリーディングカンパニーである、武田薬品工業株式会社です。その売上高は4兆5,815億円を超え、2位以下を大きく引き離しています。世界80ヵ国以上に事業基盤を持つグローバルカンパニーでもあります。
武田薬品工業は「革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指す」を目標に、新興国と先進国の双方の市場に合わせて、競争力の高い製品を展開している製薬会社です。
大塚ホールディングス株式会社|2兆3,298億6,100万円
第2位は大塚ホールディングス株式会社で、売上高は2兆3,298億6,100万円です。
1961年に設立された大塚ホールディングスは、医薬品・食品の物流を中心に事業展開を行っている製薬会社です。
大塚グループの医薬品、飲料・食品、日用品を経営の3本柱として、高い知名度を保ちながら常に革新的な事業を展開しています。
アステラス製薬株式会社|1兆9,123億2,300万円
第3位は、売上高1兆9,123億2,300万円のアステラス製薬株式会社です。
アステラス製薬は、2005年に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して誕生した、医療用医薬品を中心としたグローバル製薬企業です。
革新的な医薬品の開発に取り組み、症状を抑えるだけでなく予防から治療、予後管理まで、医療シーン全体に価値を与えることを目指しています。
第一三共株式会社|1兆8,862億5,600万円
第4位は第一三共株式会社で、売上高は1兆8,862億円5,600万円です。
2005年に三共と第一製薬が経営統合して誕生した第一三共は、医薬品を製造・販売する製薬会社です。ジェネリック医薬品やワクチン、OTC医薬品、ヘルスケア製品など、幅広い製品を扱っています。
がん領域、循環器領域、感染症領域を重点領域とし、近年ではグローバルな事業展開を進めています。
中外製薬株式会社|1兆1,706億1,100万円
第5位は中外製薬株式会社で、売上高は1兆1,706億1,100万円です。
2002年に、世界的に知名度のある製薬会社ロシェ社と、自主独立経営を維持する戦略的アライアンスを結んでいます。
がん領域、循環器領域、感染症領域を中心とした製品展開を得意とし、独自の技術や知見を活かした、高い創薬力が評価されています。
エーザイ株式会社|7,894億円
第6位は、売上高7,894億円のエーザイ株式会社です。
「ヒューマン・ヘルスケア」を企業理念とし、アルツハイマー病治療薬の開発など、医療用医薬品を中心に研究開発や製造、販売などの事業をグローバルに進めています。
神経領域とがん領域に強みを持つ、研究開発型の製薬企業です。
協和キリン株式会社|4,955億5,800万円
第7位は、売上高4,955億5,800万円の協和キリン株式会社です。
キリンホールディングスを親会社に持つ協和キリンは、バイオテクノロジーと抗体医薬を強みとする製薬会社です。
AIやデータサイエンスに基づいた最先端の創薬技術と、蓄積してきた専門的な知見を活かして、スピード感を重視した研究開発を行っています。
小野薬品工業株式会社|4,868億7,100万円
第8位は、売上高4,868億7,100万円の小野薬品工業株式会社です。
小野薬品工業は、がん領域とオピオイド治療薬に注力する新薬に特化した研究開発型製薬企業です。
独創的かつ画期的な医薬品の創製に意欲的で、「病気と苦痛に立ち向かう」という企業理念を具現化しています。
塩野義製薬株式会社|4,382億6,800万円
第9位は塩野義製薬株式会社で、売上高は4,382億6,800万円です。
塩野義製薬は、感染症領域とがん領域に強みを持つ製薬会社です。60年以上にわたって感染症の研究・開発を続けており、これまで多くの感染症薬を市場に提供し、人々の健康に貢献してきました。
住友ファーマ株式会社|3,988億3,200万円
第10位は、売上高3,988億3,200万円の住友ファーマ株式会社です。
住友化学を親会社に持つ住友ファーマは、精神神経領域とがん領域に注力する、医療用医薬品を製造販売する企業です。中枢神経領域の医薬品と、精神疾患関連の高い開発技術に強みを持っています。
アメリカや中国に子会社を構えていることからもわかるように、近年ではグローバル展開にも意欲的に取り組んでいます。

製薬会社の年収ランキングTOP10
ここからは、「エンゲージ会社の評判」をもとに、製薬会社の年収ランキングTOP10(※)を発表します。
平均年収と合わせて、各社の働きやすさや福利厚生などについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
(※)本ランキングは、2025年7月17日時点で参照したデータをもとに作成しています。具体的な数値に関しては、時期によって変動する可能性があります。
中外製薬株式会社|1,046万円
第1位は、平均年収1,046万円(※)の中外製薬株式会社がランクインしました。
中外製薬株式会社は従業員のワークライフバランスを重視し、社員全員が自分に合った働き方を選べるような労働環境を整えています。
テレワークやスーパーフレックスタイム制度、育児短時間制度などの各種制度を導入しているほか、育児休暇や配偶者出産休暇、子の看護休暇、介護休暇など休暇制度も充実しています。
また、長時間労働削減のために、ノー残業デーやタイムマネジメント研修などで従業員の時間意識の向上を図っている点も特徴的です。借り上げ社宅制度や家族手当など、福利厚生が充実している点も従業員から高く評価されています。
(※)参照:中外製薬株式会社の評判・口コミ|エンゲージ会社の評判
武田薬品工業株式会社|1,040万円
第2位は、平均年収1,040万円(※)の武田薬品工業株式会社です。
武田薬品工業株式会社はフレキシブルワークを推奨しているほか、リモートワークも導入しているため、従業員は自由度の高い働き方ができます。
勤務時間や休暇取得についても各従業員の裁量に任せる風土が根付いており、多くの社員がワークライフバランスを保ちながら、無理のない勤務を実現しています。
福利厚生は、住宅補助や退職金制度などが整っており、特に管理職になると報酬やストックオプションが充実しています。
(※)参照:武田薬品工業株式会社の評判・口コミ|エンゲージ会社の評判
アステラス製薬株式会社|992万円
第3位は、平均年収992万円(※)のアステラス製薬株式会社がランクインしました。
アステラス製薬株式会社は、リモートワーク制度やフレックス制度が整っており、プライベートと仕事の両立が図りやすい点が魅力です。また、副業を許可するなど、自社内に留まらずに社員の本質的なキャリア形成を支援しています。
福利厚生は、借上社宅の補助や住宅手当、快適なオフィス環境、食堂などがあり、総合的に見ても充実しています。
(※)参照:アステラス製薬株式会社の評判・口コミ|エンゲージ会社の評判
シンバイオ製薬株式会社|951万円
第4位は、平均年収951万円(※)のシンバイオ製薬株式会社です。
シンバイオ製薬会社は、年次や役職を問わず休暇を取得しやすい社風が特徴的で、週に数回の在宅勤務制度を導入するなど、従業員のワークライフバランスを重視した労働環境を整えています。
さらに、「女性の育児休業取得率100%」を目標に掲げ、育児と仕事の両立支援や、女性が働きやすい環境の整備に積極的に取り組んでいます。
(※)参照:シンバイオ製薬株式会社の評判・口コミ|エンゲージ会社の評判
エーザイ株式会社|880万円
第5位は平均年収880万円(※)のエーザイ株式会社です。
エーザイ株式会社は、「WorkとLifeの双方をBestにしていくWork Life Best(WLB)」をコンセプトに、社員が健康的に生産性高く働ける環境を整えている点が特徴的です。
また、ハイブリッドワーク制度を導入するなど、従業員が柔軟な働き方を実現できる制度を積極的に導入しています。有給取得率も比較的高く、年齢を問わずに働きやすい企業といえるでしょう。
福利厚生面では、ライフイベントと仕事を両立させるために、休暇制度や短時間勤務制度、配偶者出産休暇を整え、女性だけでなく男性も休暇を取りやすい環境を整えています。
(※)参照:エーザイ株式会社の評判・口コミ|エンゲージ会社の評判
協和キリン株式会社|862万円
第6位にランクインしたのは、平均年収862万円(※)の協和キリン株式会社です。
穏やかな社風が特徴的な協和キリンでは、世代を問わずにおおらかなコミュニケーションが取れる社員が多く在籍しています。
近年では中途採用も積極的に行っており、柔軟な働き方ができる、多様性のある組織作りに注力しています。フレックスタイム制度やリモートワーク制度なども意欲的に取り入れており、仕事とプライベートのバランスを取りやすい労働環境が魅力です。
福利厚生面では、退職金制度や住宅補助制度、育児支援制度などが充実しています。
(※)参照:協和キリン株式会社の評判・口コミ|エンゲージ会社の評判
小野薬品工業株式会社|858万円
第7位は、平均年収858万円(※)の小野薬品工業株式会社です。
小野薬品工業株式会社は、スーパーフレックスタイム制度や在宅勤務制度の導入など、ワークライフバランスを重視した環境作りに取り組んでいる企業です。
高い従業員エンゲージメントを実現するため、ライフプランに合わせて従業員が自由に福利厚生を選べる「選択型福利厚生制度」を導入している点も大きな特徴といえます。
(※)参照:小野薬品工業株式会社の評判・口コミ|エンゲージ会社の評判
第一三共株式会社|855万円
第8位にランクインしたのは第一三共株式会社で、平均年収は855万円(※)です。
第一三共株式会社は、ワークライフバランスを重視した労働環境整備に注力しており、その高い働きやすさが社員から高く評価されています。有給休暇の取得にも積極的で、リモートワークや直行直帰などにも寛容に対応しているのが特徴です。
福利厚生も充実しており、基本的な制度のほか、子供手当や社員持株制度などがあります。
(※)参照:第一三共株式会社の評判・口コミ|エンゲージ会社の評判
あすか製薬株式会社|655万円
第9位は、平均年収655万円(※)のあすか製薬株式会社です。
あすか製薬株式会社は内科(消化器、甲状腺)、産婦人科、泌尿器科の3分野に特化した企業で、コアタイムなしのフレックス制度や裁量労働制などを取り入れ、ライフワークバランスの充実を図っています。
また、育児・介護支援として、女性だけでなく男性の育児休暇取得の促進や、育児休業の一部有給化などを行い、ライフイベントと仕事の両立をサポートしています。
家賃補助や住宅補助などの福利厚生も充実しており、長く安定した働き方が実現できる環境が整っています。
(※)参照:あすか製薬株式会社の評判・口コミ|エンゲージ会社の評判
ペプチドリーム株式会社|504万円
第10位はペプチドリーム株式会社で、平均年収は504万円(※)です。
ペプチドリーム株式会社は、フレックスタイム制を活用し、社員の柔軟な働き方を実現しています。この他、パソコンの持ち帰りや、帰宅後のスマートフォンによる業務対応は原則認めておらず、ワークライフバランスを重視した働き方ができます。
福利厚生面では、女性の育児休業取得率が100%、男性は75%という高い結果が出ていることからもわかるように、幅広い社員が働きやすい制度が整っています。
(※)参照:ペプチドリーム株式会社の評判・口コミ|エンゲージ会社の評判
製薬業界の将来性
製薬会社への転職を検討している方のなかには、業界の将来性を懸念している方も多いかもしれません。近年の製薬業界は大きな変化を遂げている最中であり、今後も成長が期待される分野といえるでしょう。
高齢化社会の進行にともない、製薬業界は医薬品需要の高い高齢者に対して、限られた予算のなかで製品を開発・提供していかなければならない厳しい環境に直面しています。
医療費の膨張という大きな課題を抱えながらも、医療施設や保険制度など医療現場では、医療費抑制のためにジェネリック医薬品への切り替えを積極的に推進しています。一方で、製薬会社の中でも、ジェネリック医薬品を製造・販売する企業(ジェネリックメーカー)は、低コスト・同等の効果を武器に市場を拡大しています。
薬価の値下げの影響を受け、日本市場の成長率は横ばいの状況が続いていますが、医薬品自体の需要は常に安定しています。また、各社は生き残りをかけて合併や再編成を積極的に行っており、その結果世界規模で高い売上をあげる企業も見られるようになりました。
そのため、日系の各製薬会社は、今後グローバル展開を推し進めていくことが予測されます。近年では新興国の経済発展が顕著であるため、そこで海外市場のシェアを獲得できるか否かが、企業の将来を大きく左右するでしょう。
製薬会社の特徴|日本企業と外資系企業の違い
一口に「製薬会社」といっても、製薬会社は日系と外資系でそれぞれ特徴が異なります。自分に合った転職先を選ぶためにも、ここでは日系と外資系の製薬会社の違いを、それぞれ詳しく解説します。
働き方
製薬会社は、日系と外資系で働き方が異なることが多いです。
働き方改革の推進にともない、近年では少しずつ日本企業の働き方にも変化が見られるようになりましたが、一部の日系製薬会社では今なお年功序列を重んじる企業もあります。たとえ実力があっても、社歴の浅さが昇給や昇進に影響を与えることもあるでしょう。
一方、外資系製薬会社の多くは実力主義を重視する傾向が強く、結果を出せばそれが評価や収入に直結するのが一般的です。特に、外資系製薬会社のMRはインセンティブの割合が大きいため、自身の努力次第で早期年収アップを狙えます。
福利厚生
日系製薬会社の多くは、住宅手当や家族手当、退職金など、手厚い福利厚生が整えられていることがほとんどです。一方で、外資系製薬会社は最低限の福利厚生のみを備えている企業が多く、日本企業のような手厚さはありません。
ただし、外資系製薬会社は、そのぶん日本企業よりも給与水準が高く設定されていることが多いです。また、従業員が柔軟に働ける労働環境が整っていることも多く、福利厚生とは別の面でメリットを感じられるポイントがあります。
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製薬会社への転職を目指している方は、今回のランキングで紹介したような、売上高の高い大手日系製薬会社や高年収が狙える企業に候補を絞って転職活動を行うのも選択肢のひとつです。
なかには平均年収1,000万円以上を超える企業もあるため、高年収を狙いたい方は転職を成功させることで理想のキャリアに近づけるでしょう。
ただし、転職先を選ぶ際は年収だけでなく、働き方や福利厚生、社風などを調べたうえで、自分に合った企業を選択することが大切です。具体的な転職活動の進め方に悩む場合は、転職に関する専門知識が豊富な転職エージェントを活用することをおすすめします。
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エンワールド編集部
外資系・日系グローバル企業のハイクラスに精通するエンワールドの編集部員が、転職やキャリア、日々の仕事のお悩みに役立つ情報を執筆します。