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一口に「外資系金融業界」といっても、外資系金融業界に属する企業の業種や業務内容は多岐に渡ります。そのため、外資系金融業界への転職を成功させるには、業界の動向や特徴を正しく把握しておくことが重要です。
本記事では、外資系金融業界の動向をはじめ、外資系金融企業の平均年収や転職難易度、転職時に求められるスキルなどについて詳しく解説します。外資系金融企業への転職を実現させたい方は、ぜひ参考にしてください。
外資系金融業界の動向
外資系金融業界は、主に5つのカテゴリに分けられます。ここでは、カテゴリごとに業界の動向を解説します。
銀行系
2008年に起きたリーマンショックや債務危機などの影響を受け、外資系銀行の多くは一時期業績が低迷状態にありました。
しかし、欧米諸国に本行を構える外資系銀行は、自国での経営改善に対する取り組みが功を奏し、近年では日本での事業を縮小する動きが収まりつつあります。
思うように業績を再建できなかった外資系銀行は今なお日本から撤退する動きも見られますが、その一方で中国系の外資系銀行は日中間での貿易拡大の影響を受け、日本国内で急成長を遂げています。
代表的な外資系銀行は、以下のとおりです。
- モルガン・スタンレー
- ゴールドマン・サックス
- バンク・オブ・アメリカ
- 中国信託商業銀行
クレジットカード系
私たちが日常使いしている「Visa」や「Mastercard」、「American Express」などの各種クレジットカードの多くは、国内外でも使用できる国際ブランドカードです。このことからもわかるように、日本国内のクレジットカード市場は、外資系企業の影響を非常に大きく受けています。
なかには単独で海外利用を実現している日系のクレジットカード企業発行のカードもありますが、日系のクレジットカード企業が発行するカードの多くは、国際ブランドを扱う外資系クレジットカード企業と提携することで海外利用を拡大しているのです。
キャッシュレス決済の普及により、クレジットカード業界は近年安定的な成長を続けています。実際に、一般社団法人日本クレジットカード協会が公表しているデータを確認してみると、2024年のクレジットカードショッピングの信用供与額は約116兆円にのぼり、2020年の約74兆円と比較すると約1.5倍も増加しています。
代表的な外資系クレジットカード企業は、以下のとおりです。
- ビザ・ワールドワイド・ジャパン
- マスターカード
- アメリカン・エキスプレス
参照:一般社団法人日本クレジットカード協会|<クレジット関連統計:一覧>
ファンド系
日本国内のファンド系金融企業は、市場における競争が激化しているなかで、外資系企業・日系企業がそれぞれ得意分野を持って事業を展開しています。
例えば、外資系投資銀行は大規模な債務データの分析や、大企業向け大型投資などを得意としています。一方、日系投資銀行は中小規模の案件を含めたM&Aや不動産投資など、幅広い層の顧客に向けたきめ細やかなサービス提供が得意です。
双方にはそれぞれの強みがありますが、近年では最新のAI技術を積極的に導入する外資系ファンド企業が、国内でのシェアを拡大しつつあります。
代表的な外資系ファンド企業は、以下のとおりです。
- コールバーグ・クラビス・ロバーツ
- カーライル・ジャパン
- サーベラス・ジャパン
生命保険系
日本国内における生命保険のシェアは、日系の大手生命保険グループが大半を占めています。
2024年7月に金融庁が公表したデータによると、2023年3月末時点での生命保険料ベースのシェアは、国内大手生命保険グループが約53%であるのに対し、外資系生命保険企業は約23%です。
しかし、近年ではオンライン上で手軽に申し込める外資系生命保険が徐々にシェアを拡大しており、その動きは今後加速傾向にあることが予測されます。
代表的な外資系生命保険企業は、以下のとおりです。
- アフラック生命保険
- メットライフ生命保険
- アクサ生命保険
- チューリッヒ生命保険
参照:金融庁|2024年保険モニタリングレポート <参考1 保険会社の概要>
損害保険系
生命保険と同様に、損害保険における国内シェアも日本企業が大半を占めています。
2024年7月に金融庁が公表したデータを参考にすると、2023年3月末時点での日本国内における損害保険の正味収入保険料ベースのシェアは、日系企業が84.1%であるのに対し、外資系企業は4.6%です。
損害保険の分野では、外資系企業は苦しい戦いを強いられているのが現状です。しかし、近年では日系企業があまり取り扱っていない分野の商品を精力的に提案し、シェアが少ないながらも独自の路線で事業を展開している外資系企業も多く見られます。
代表的な外資系損害保険企業は、以下のとおりです。
- AIG損害保険
- チューリッヒ保険
- アメリカンホーム医療・損害保険
- ミュンヘン再保険
参照:金融庁|2024年保険モニタリングレポート|<参考1 保険会社の概要>

外資系金融企業の平均年収
具体的な数字は企業ごとに差が生じますが、外資系金融企業の平均年収は、同業界の日系企業よりも比較的高水準であることが多いです。
特に平均年収が高いとされている外資系金融企業3社を、以下の表にまとめました。(※)
(※)2025年5月時点で参照したデータをもとに作成しています。具体的な数値に関しては、時期によって変動する可能性があります。
企業名 | 平均年収 |
クレディ・スイス証券株式会社 | 2,201万円(※1) |
ドイツ証券株式会社 | 2,000万円(※2) |
BofA証券株式会社 | 1,446万円(※3) |

ただし、同じ企業でも配属される部門や役職によって、具体的な年収額は異なります。外資系金融企業に転職して高年収を狙いたいと考えている方は、志望企業の職種や部署ごとの細かな給与体系についても事前に調べておくことをおすすめします。
(※1)参照:クレディ・スイス証券株式会社の評判| エンゲージ会社の評判
(※2)参照:ドイツ証券株式会社の評判| エンゲージ会社の評判
(※3)参照:BofA証券株式会社| エンゲージ会社の評判

外資系金融企業への転職難易度
一般的に、外資系金融企業への転職難易度は高いといわれています。上述したように、外資系金融企業は比較的高収入を狙いやすいため、1つの求人に応募が集中し、求人倍率が高くなりやすいのです。
このほかにも、ジョブ型採用やポジション採用を導入している企業が多いことも、外資系金融企業への転職難易度が高まる要因のひとつです。
外資系金融企業の多くは、転職希望者に対して即戦力としての活躍を期待しています。未経験者を一から育てるのではなく、金融のプロフェッショナルを迎えるために採用活動を行っていることが大半であるため、採用基準も高くなりがちです。
そのため、金融業界の豊富な経験と知識を備えている方であれば、外資系金融企業への転職は決して夢ではありません。日頃から各社の求人情報に目をとおし、気になる企業をピックアップしておきましょう。
外資系金融企業へ転職するための必要スキル
ここでは、外資系金融企業へ転職するために必要な、4つのスキルについて紹介します。
語学力
高い語学力を保有している方は、他の転職希望者と差別化を図れる可能性が高いです。
外資系金融企業のなかには、国際取引や海外支社とのやりとりを行う際に、日常的に英語を使用するところもあります。英語を使って円滑にコミュニケーションが取れる方は、入社後の活躍の場も多岐に渡るため、企業からも好印象を持たれやすいでしょう。
ただし、すべての外資系金融企業が必ずしも転職者に対して高い語学力を求めているわけではありません。企業によっては語学力以外の金融スキルを重視して採用活動を行っていることもあり、部署や役職によっては日本語のみで日常業務を執り行える場合もあります。
金融知識
上述したように、外資系金融企業の多くは金融のプロフェッショナルを採用したいと考えているため、金融知識の豊富さは転職時の大きな武器となりえます。
これまでの業務で得た金融関連の豊富な経験やスキルは、面接時にぜひ積極的にアピールしてください。このほか、専門性の高い金融系の資格を保有していれば、自身の金融知識の高さをよりわかりやすく主張できます。
向上心
どのような状況下に置かれても前向きに業務に取り組める向上心の高さは、外資系金融企業への転職を実現させるうえで非常に重要です。
外資系金融業界は政治情勢や自然災害などの影響を受けやすい、変化の激しい業界として知られています。向上心の高い方であれば、苦しい状況下でも常に積極的な姿勢を崩さずに、ストレスなく業務に取り組めるでしょう。
コミュニケーション能力
高いコミュニケーション能力のある方は、外資系金融企業への転職を有利に進められる可能性があります。
外資系金融企業のなかには、多様なバックグラウンドを持つ人材が多く所属するところもあるため、誰とでも分け隔てなくコミュニケーションが取れる方は企業側からも重宝されやすいです。
そのため、相手の文化や言語にとらわれずに意思疎通が図れる高い対人能力を保有している方は、企業側から好印象を持たれやすいでしょう。

外資系金融企業への転職を効率的に成功させる方法
上述したように、外資系金融企業への転職は比較的難易度が高いため、一人で転職活動を行っていても、場合によっては思うように選考を突破できない可能性があります。
効率的に転職活動を成功に導くには、外資系・日系グローバル企業の転職に特化した転職エージェントを利用するのも選択肢のひとつです。
外資系金融企業の採用方針や求める人材は、同業種の日本企業とは異なる場合が多くあります。外資系金融の転職市場に詳しいエージェントを利用することで、自分に合った外資系金融求人を紹介してもらえるだけでなく、選考を通過するための具体的な対策を取りやすくなるでしょう。

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外資系金融企業への転職を実現させるには、業界の動向や特徴を正しく把握しておくことが重要です。
外資系金融企業は比較的高年収が狙いやすい点が魅力ですが、その分転職難易度も高くなりやすいので、スムーズに転職活動を進めるには具体的な対策を取ることが大切です。
一人で転職活動をしていても思うような成果が出ない場合は、外資系・日系グローバル企業に特化した転職エージェントの利用をおすすめします。
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エンワールド編集部
外資系・日系グローバル企業のハイクラスに精通するエンワールドの編集部員が、転職やキャリア、日々の仕事のお悩みに役立つ情報を執筆します。