公開日:
更新日:

こんにちは。エンワールド編集部です。皆様、いかがお過ごしでしょうか?
入社から9か月ほどが経ち、仕事にすんなりと馴染めた方、ようやく担当業務のことがわかってきて本領を発揮し始めた方など、さまざまかと思います。
いずれにせよ、多くの方が新しい環境で奮闘し、気を張りつめながらトップスピードで走り続けてきたのではないでしょうか?
そろそろ疲れも見えてくる頃かと思いますので、今回は「自身にちょっとの休息を」というテーマで、休暇についてお話をしたいと思います。

さっそくですが、他の先進国と比べると、日本は有給休暇、特に長期休暇が取りにくい国と言われています。
なぜそのように言われているのかを紐解くために、まずは日本企業と外資系企業の「働きやすさ」の違いを比較しながら、日本の休暇制度の現状を深堀りしていきましょう。
エンワールドが2024年に外資系企業社員346名、日系企業社員400名に対して行った『お仕事事情調査』によると、日系企業は「働きやすさ」の項目において、外資系企業の結果を下回ることが明らかになりました。
▼現在のお勤め先に働きやすさを感じていますか。

引用:エンワールド・ジャパン | 「外資越境転職」外資系・日系企業のお仕事事情調査
働きやすさを「感じている」「どちらかといえば感じている」と回答した方の割合は、外資系企業社員が70%であるのに対し、日系企業社員は61%と、10ポイント近くの差が出ています。

引用:エンワールド・ジャパン | 「外資越境転職」外資系・日系企業のお仕事事情調査
「働きやすさ」の年代別回答結果を見てみると、20〜30代までは両者であまり大きな違いは見られないものの、40代以降になると明らかな差が生じます。40代においては、日系企業は外資系企業よりも17ポイントも低い結果が出ました。
このことから、日本企業に勤める40代以降の中堅層社員は、年齢とともに「働きやすさ」を感じにくくなるという現状が伺えます。一方外資系企業は、どの年代においても「働きやすさ」を実感している方が多いようですね。
▼現在のお勤め先の働きやすさについて、当てはまるものをいくつでもお知らせください。(複数回答可)

引用:エンワールド・ジャパン | 「外資越境転職」外資系・日系企業のお仕事事情調査
働きやすさを感じている方を対象に行った「働きやすさの理由」についての回答結果も、実に興味深いものでした。
外資系・日系企業ともに、最も多い回答数を集めたのは「自分のやり方で仕事を進められる」、次いで「労働時間が適正・融通が利く」という結果に。
「働きやすさ」と聞くと、福利厚生の充実さや社内での人間関係などが大きく関わってくるイメージですが、実際のところは個人の裁量や労働時間の柔軟性が「働きやすさ」の要因になっているようです。
これらの結果を踏まえた上で、いよいよ日本企業の休暇制度の実情に迫ってみましょう。
▼お勤め先の休暇制度について伺います。当てはまるものとお知らせください。

参照:エンワールド・ジャパン | 「外資越境転職」外資系・日系企業のお仕事事情調査
「長期休暇や連続休暇の取得のしやすさ」に関する調査では、どの年代においても6割以上が「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」と回答しているものの、30〜40代に限っては、日系企業と外資系企業で顕著な差が見られます。
「当てはまる」と回答した社員の割合は、30代では日系企業社員33%に対し、外資系企業50%。40代では日系企業22%に対し、外資系企業41%と、その差は歴然です。
日系企業と外資系企業では、なぜこのような差が生まれるのでしょうか?
それには、日本企業に勤める中堅層を取り巻く、労働環境の厳しさが関係しているものと思われます。
働き方や労働時間の自由度が比較的高い外資系企業に対して、日本企業の多くは働き方に対する柔軟性が発展途上であるのが現状です。実際に、日本企業の中にはコロナ禍でせっかく導入に踏み切ったテレワーク制度やフレックスタイム制度を、コロナ禍以降廃止してしまうところも多く見受けられました。
先ほどもお伝えしたように「働きやすさ」は、個人の裁量や労働時間の柔軟性が大きく関与しています。日本企業は中堅層に近づくに連れ、オーバーワーク気味になる方が多く見られますよね。
すべての企業に当てはまるわけではありませんが、厳格なルールが緩和されないまま、年齢とともに仕事上の責任と業務量ばかりが増えていきがちなのが、日本企業に古くから根付いている特性なのかもしれません。
それが原因で、「日本は有給休暇が取りにくい国」という印象を海外から抱かれているのではないでしょうか。

調査結果にもあったように、日本企業に対し、外資系企業は年代を問わずに多くのビジネスパーソンが積極的に長期休暇を取得しています。
実際に、私の知人は以前フランスに住んで現地で仕事をしていたのですが、夏休みは社員のほとんどが1ヵ月ほどの休暇をとって、旅行や家族との時間を楽しんでいたそうです。上司も長期休暇を取得するため、日本のように「休んで申し訳ない」という雰囲気もまったくなかったとか。
会社全体が長期休暇取得を推奨していたため、チームメンバー全員が定期的にしっかりと心身をリフレッシュさせることができ、とても働きやすかったと話していました。
このように、ワーク・ライフ・バランスが整った企業で働き、長期休暇を取ることには、さまざまなメリットがあると言われています。
そもそも、1日や2日の休暇では、疲れが取れなかったり、仕事を忘れてリフレッシュすることは難しかったり、バカンスに行く余裕がなかったりしますよね。
しかし、長期休暇が取れると、普段できないような体験に触れることができます。たとえば、1週間の休暇を取って海外旅行に出かければ、心身がリフレッシュされ、帰国後も精力的に仕事に取り組みやすくなります。
また、日常ではできないことを体験して感性や発想力が養われると、仕事にもよい影響を与えることがあります。特に、企画職やマーケティング職などでは、プライベートで得たインスピレーションが業務に直結することもあるため、企業にとっても影響が大きいですよね。
社員が長期休暇を取得することの企業側のメリットは、これだけではありません。
長期休暇を可能にするためには、常日頃からチーム内で相互トレーニングをし、お互いの業務のカバーができるようにしなければいけませんが、これは社員のスキルアップや育成にもつながりますし、BCP(Business Continuity Planning)という観点では仕事の属人化を防ぐことにもなります。
このように、ワーク・ライフ・バランスを意識した働き方は、企業と労働者の双方にさまざまな恩恵を与えることができます。企業の種別を問わず、ワーク・ライフ・バランスの整った企業が今後より一層増えていくとよいですね。

エンワールド編集部
外資系・日系グローバル企業のハイクラスに精通するエンワールドの編集部員が、転職やキャリア、日々の仕事のお悩みに役立つ情報を執筆します。