現在、営業の仕事をしている人の中には、外資系企業への転職を考えている人も多いのではないでしょうか。外資系企業の中でも特に保険会社は、日系企業にはない待遇を受けられることも多いと、営業職の転職先として人気が高まっているようです。
この記事では、外資系保険会社の営業職へ転職を考えている人に向け、そもそも外資系保険会社とはどんな企業のことを指すのか、有名な外資系保険会社の例、仕事内容に加え、外資系保険会社の営業の年収、転職するメリット、向いている人について解説します。また、転職者の体験談も紹介しますので、ぜひ今後のキャリアアップに活用してください。
外資系の保険会社とは
最初に、外資系保険会社とは何か、その定義や種類について解説します。
外資系企業の定義
外資系企業とは、以下の特徴を持つ会社のことを指します。
・海外企業が経営
・株主が外国人(多くの資本が海外である)
・外国人または外国企業が株・持分のいずれかを3分の1以上保有
外資系保険会社の種類
外資系保険会社の種類は日系の保険会社と大きな変わりはありません。
さまざまな保険を提供していますが、大別すると「損害保険」と「生命保険」、その中間である「第三分野(医療・介護などの保険)」の3つに分けられます。
外資系の保険会社にはどんな企業がある?
外資系の保険会社には、大きく分けてアメリカ系とヨーロッパ系の2つがあります。
ここでは、それぞれ主な外資系保険会社を紹介します。
アメリカ系の保険会社
・アフラック
「『生きる』を創る。」をブランドプロミスに掲げ、人生におけるあらゆる不安を取り除くための「生きるための保険」を提供しています。日本では、1974年に日本で初めて販売開始したがん保険をはじめ、さまざまな医療保険・サービスを提供し、国内最大規模の契約件数を誇っています。
・メットライフ
日本初の外資系生命保険会社として1973年に誕生後、現在は国内に200以上の拠点、約6,000店に及ぶ保険代理店、金融機関代理店にて、時代と共に変化する顧客ニーズに合わせた商品・サービスを提供しています。
・プルデンシャル
米国最大手の金融サービス機関プルデンシャル・ファイナンシャル傘下の保険会社です。ライフプランナーと呼ばれる営業が、顧客ごとにオーダーメイドで商品やサービスを設計するコンサルティングセールスが強みです。
・ジブラルタ
同じくプルデンシャル・ファイナンシャルの一つで、専任のライフプラン・コンサルタントがライフプランに沿ったオーダーメイドの保障プランを提案します。日本では2001年に営業を開始し、2012年にはAIGエジソン生命およびエイアイジー・スター生命と合併しました。
ヨーロッパ系の保険会社
・アクサ(フランス)
世界57の国と地域で事業を展開する世界最大級の保険・金融グループAXAの一員で、日本国内有数の生命保険会社です。従来の「まさかの時の備え」としての保険に加え、安心で豊かな人生を実現するための革新的な保険商品・サー ビスの開発・提供が注目を集めています。
・チューリッヒ(スイス)
世界200以上の国と地域に展開するチューリッヒ・インシュアランス・グループの日本拠点として1986年に設立されました。複数のチャネルを通じて幅広い保険・サービスを個人の顧客に提供しており、ダイレクトビジネスでは、中間コストを軽減することで、リーズナブルな保険料を実現しています。
・エヌエヌ(オランダ)
170年におよぶ伝統を誇るNNグループの一つで、1986年に日本初のヨーロッパ生まれの生命保険会社として営業を開始しました。日本全国およそ5,000店の代理店を通じ、主に中小企業とその経営者を対象とする事業保障、事業承継、退職準備などの事業保険サービスを提供しています。
・イオン・アリアンツ(ドイツ)
100年を超える歴史を持つドイツ発のアリアンツ・グループは、世界70カ国以上でサービスを展開しています。日本では、1990年に外資系保険会社として初めて損害保険事業の認可を取得しました。2020年に株式の60%をイオングループが取得したことにより、イオン・アリアンツ生命保険株式会社へ商号変更しました。
外資系保険営業の仕事内容とは
外資系保険会社の営業の仕事内容は自社の保険サービスを販売するという主軸は、日系の保険会社の営業と同じですが、どのような点が異なるのかここでは主な特徴を紹介します。
販売する保険は「オーダーメイド型」
保障内容が固定されたセットから選ぶ日本の保険会社とは違い、外資系の保険会社は、顧客のニーズやライフプランに合った保険を選んで設計する「オーダーメイド型」の保険がほとんどです。
営業の対象は富裕層や法人がメイン
外資系保険会社では、営業の対象は富裕層や企業が主軸であるため、契約額が高額になるケースも多く、成果報酬型の場合は社員の報酬が高くなることが期待できます。
新規契約の獲得に特化
外資系保険会社での営業職の業務は新規契約の取得のみで、アフターフォローは基本的に行いません。一方日本の保険会社は、契約後もクライアントのケアに応じるのが一般的です。
外資系保険会社の営業職の年収は?
一般的に外資系企業は高収入であるというイメージを持つ人が多いでしょう。
実際に、外資系保険会社全体の平均年収は、700〜800万円とされており、日系企業も含めた保険業全体の平均年収443万円と比較すると、高い傾向にあります。
高収入だが完全歩合制
外資系保険会社の営業職の収入は、歩合制の比率が高いケースが多いため成果を出すと高収入になる可能性があります。
一般的に、入社後は研修期間が設けられ、月額10〜15万円程度の支給に成果報酬が加算されることが多くあります。
そして、入社3年目以降は完全歩合制となり、成果に伴って報酬が上がる結果、営業成績の上位層では、年収が数千万円になる人もいます。しかし、成果が出せなければ、年収200万円以下になってしまうケースがあることも、同時に理解しておいた方がよいでしょう。
給与は保険料ベースで加算される
一般的に、外資系保険会社の営業職の給与は、獲得した契約の保険料をベースとして基本給に加算されます。例えば、保険サービスの契約が決まった初年度は、保険料の30~50%が給与に加算され、2~4年目あたりには保険料の8~12%となり、5年目以降は加算が0円となります。そのため、新規契約を取り続け、契約後すぐに解約されないことに留意しておかないと、給与が減ってしまう可能性があります。
福利厚生は手厚くない
外資系保険会社の営業職には、日本企業ほど福利厚生が手厚くないケースがあります。住宅手当や家族手当などの各種手当についても同様です。また、営業の際に必要となる経費も自己負担となることがあります。
ただし、雇用保険や健康保険などの社会保険は、日本の法律に基づき加入することができます。また、退職金は基本的に出ませんが、ボーナスが支給される企業もあります。
外資系保険営業のメリット
外資系保険会社の営業職として働くことで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、収入面とスキル面から解説していきます。
成果を出せば報酬が一気に上がる
外資系保険会社の営業職の収入は歩合制のことが多いため、契約を獲得できれば報酬が一気に上がる可能性があります。特に契約を獲得した初年度は、その保険料の30~50%が給与に加算されることがあるため、大口の契約や多数の契約を獲得することで月収100万円を超える可能性もあります。これは、外資系の給与体系ならではのメリットといえるでしょう。
どこにでも通用する営業スキルを得られる
外資系保険会社の営業職は、セールスパーソンというよりもコンサルタントに近く、顧客も富裕層から企業と個別性が高いため、さまざまな営業スキルを磨くことが可能です。
顧客獲得のために必要な幅広い知識や交渉力、提案力は別の業種へ転職する場合でも活かして活躍することができるでしょう。
勤務時間の自由度が高い
成果を上げていれば、オフィスにいる時間や勤務時間の自由度が高く、完全フレックス制を採用している会社も多くあります。しかし、顧客の都合に合わせて商談するため土・日曜日に商談を入れるなど、自身で就業時間を調整・管理する必要もあります。
ヘッドハンティングされる可能性も
営業実績がそのまま自身の評価に繋がる傾向にあるため、短期間でのキャリアアップの可能性が考えられます。また、外資系企業ではヘッドハンティングも多いので、実績次第では同業他社や他業種から声がかかることも期待できるでしょう。外資系企業は人材の流動性が高く、日本企業に比べてキャリアアップのチャンスが多いといえます。
外資系保険会社の営業職に向いている人
ここでは、外資系保険会社で力を発揮できるのはどのような性格やタイプの人なのかを解説します。
成果を出し続ける自信のある人
外資系保険会社の営業職は、成果報酬型の給与体系のケースが多いため、能力に自信があり、結果を求め続ける強い意志のある人は向いているでしょう。
逆に、安定志向が強く、与えられた仕事を遂行していくことが得意な人は向いていないといえるかもしれません。
どんな状況においても粘り強く対応できる人
どんな時でも成果を上げ続けるためには、どんな状況にも粘り強く対応していくことが重要です。
例えば、顧客優先で予定を調整したり、時には顧客との難しい折衝が必要となる場合もあります。
目標達成のために努力できる人
また、外資系保険会社の営業職には、目標達成のために努力を惜しまない人も向いているといえます。見込み客の獲得といった目標を自身で設定し、目標達成に向けて日々努力が続けられる人は、結果的に多くの契約を結ぶことができ、高収入を得ることもできるのではないでしょうか。
コミュニケーションに自信のある人
外資系保険会社に限ることではありませんが、営業職にはコミュニケーション力が大事です。特に、個人向け保険の営業の場合、新規顧客を獲得するためには、自身で新しい人脈を広げていく必要があるため、初対面の人との出会いに抵抗がなく、人と会話するのが好きな人は向いていると言えるでしょう。
外資系保険会社の営業職に転職した人の事例
外資系保険会社の営業職に転職をした人は、実際にどのような体験をしているのでしょうか。ここではその体験談を紹介します。
化粧品メーカーの企画・営業職から転職
・転職のいきさつ
新卒で化粧品メーカーに入社し、販売職を長く続けていました。その後、企画・営業の部署に異動となり、30歳の時に外資系保険会社のスカウトを受けて転職しました。
・転職して大変だった点
前職では販売職に加えて企画・営業職も経験していたため、顧客獲得には自信がありました。しかし転職後は、全くの異業種だったために苦労もしました。特に、入社1年目は研修や勉強することが多く、給与もなかなか上がらなかったのを覚えています。しかし、2年目以降は前職の経験を活かすことで契約も取れるようになり、人脈の幅も広がりました。
自動車関連企業の法人営業職から転職
・転職のいきさつ
自動車関連の企業に勤めていましたが、業務で知り合った外資系保険会社の方にヘッドハンティングされて転職しました。
・転職して大変だった点
前職で法人営業を担当しており、転職後にはその経験を活かすことができました。大変だったのは、時間の使い方が変わったことです。顧客の都合に合わせて休日を返上することが増えましたが、その甲斐もあって今のところ順調に契約を獲得できています。
日系の生命保険会社の営業職から転職
・転職のいきさつ
日系の生命保険会社で営業をしていましたが、より顧客に寄り添った保険提案をしたく、外資の保険会社に転職しました。
・転職して大変だった点
転職前にイメージしていた業務はできるようになりましたが、想像よりもノルマ達成のプレッシャーがありました。完全歩合制のため、転職直後は給料がだいぶ下がりましたが、現在では前職の給与を上回ることができ、自力で新規顧客を獲得することにやりがいも感じています。
まとめ
外資系保険会社の営業職は、「年齢に関係なく重要な仕事を任されたい」、「勤務時間や在籍期間よりも成果で評価してほしい」と考える人にとっては、向いている仕事といえるのではないでしょうか。
外資系保険会社の営業職に転職する際は、専門の転職エージェントを利用するとスムーズです。エンワールドは、グローバル企業とのつながりも深く、外資系企業の求人も豊富に保有しています。ぜひ一度お問い合わせください。