アンラーニングとは?企業が導入するメリット・デメリット、具体的な進め方を解説

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アンラーニングとは?企業が導入するメリット・デメリット、具体的な進め方を解説

アンラーニングとは、これまで培ってきた知識やスキル、価値観を一度リセットし、自分自身のアップデートのために、新たな知識やスキルを習得することを意味します。

企業がアンラーニングを導入する際は、アンラーニングの必要性やメリットだけでなく、注意点やデメリットについても理解しておく必要があります。

本記事では、アンラーニングの意味や必要性のほか、企業がアンラーニングを導入するメリット・デメリット、具体的な進め方について詳しく解説します。

アンラーニングとは

アンラーニングとは、これまでの経験で得た知識、スキル、価値観などをあえてリセットし、新しい知識やスキルを習得することを指します。

人は教育や経験を通じて多くの知識やスキルを身につけていきますが、それらが必ずしも自身にとって有効な要素であるとは限りません。

アンラーニングを行うことで、自分のなかに蓄積された情報を整理し、現状に合わない古い知識や、不必要な価値観を取り除くことができます。そして、今の自分に必要とされる知識やスキルを習得することで、自分自身をアップデートすることができるのです。

変化の激しい現代社会に柔軟に対応していくためにも、アンラーニングの必要性は今後一層高まることが予測されます。

アンラーニングとリスキリングの違い

アンラーニングと混同されやすい言葉のひとつに、リスキリングが挙げられます。

アンラーニングへの理解を深めるためにも、ここではアンラーニングとリスキリングの違いについて紹介します。それぞれの主な違いについて、下記の表にまとめました。

アンラーニング リスキリング
目的 変化への適応力を高める 新しいスキルや知識の習得
必要性 最新技術や新たなビジネスモデルの登場によって、これまで使っていたスキルや知識が役立たなくなった場合に重要 社会や企業のニーズ、技術の進歩に合わせて、個人が自分のスキルを更新する際に重要
学び方 自ら内省し、時代に合わない知識・スキル・価値観を取捨選択する OJTや社内外の勉強会などを通して、新たな技術や知識を学ぶ

一見似通ったように思えるアンラーニングとリスキリングですが、上記の表のとおり、両者は目的や必要性、学び方という観点から見ると、それぞれに大きな違いがあります。

ただし、どちらが優れているというわけではなく、この2つは相互に補完する関係にあります。アンラーニングによって古い情報を整理することで、より効率的にリスキリングを行うことができるのです。

アンラーニングとリスキリングは、どちらも変化の激しい現代社会で求められる、重要な教育手法といえます。

アンラーニングが必要な理由

アンラーニングが必要な理由は、現代社会の激しい変化に適応するためです。

IoTやAIなどの新たなテクノロジーが次々と登場することに伴い、人々の働き方は一層多様化しています。陳腐化した知識やスキルにとらわれていては、時代の変化に乗り遅れ、現代社会で求められている働き方に対応できない場面が出てくるかもしれません。

そのような事態を避けるためにも、ベテランや若手、個人や組織を問わず、社会で働く多くの人々が積極的にアンラーニングを行うことが重要です。

特に企業が意欲的にアンラーニングを取り入れることで、時代の変化にうまく適応できる優秀な人材を確保しやすくなります。

企業がアンラーニングを導入する3つのメリット

企業がアンラーニングを導入すると、以下のようなメリットがあります。

  • 従業員の成長を促進する
  • 業務効率の向上につながる
  • 変化に強い組織を作れる

それぞれ詳しく解説します。

従業員の成長を促進する

従業員の成長を促進できる点は、企業がアンラーニングを導入する大きなメリットのひとつです。

アンラーニングを導入することで、従業員は過去の価値観や思考パターンにとらわれず、常に積極的に新しい知識やスキルを学ぼうとする姿勢を身につけることができます。そして将来的には、何事にも柔軟に適応できる人材に成長できる可能性が高まります。

また、自己変革を繰り返す習慣が根付いた従業員が増えることは、前向きな組織文化の形成にもつながります。個人の成長が、いずれは組織全体を大きく発展させられるのです。

業務効率の向上につながる

企業がアンラーニングを導入すると、社員が新しい知識やスキルの習得に物怖じしなくなるため、結果的に業務効率化が図れます。

例えば、ひとつの組織がアンラーニングによって従来の業務ツールを一新することを決め、最新のITツールを取り入れた場合、生産性の向上や業務時間の短縮などの効果が期待できます。

また、アンラーニングを通じてそれぞれの従業員が問題解決力やコミュニケーション能力を磨くことで、業務上の課題にスムーズに対応できるようになります。従来の方法にこだわらず、新たなアプローチ法で解決策を見出せるようになるのです。

変化に強い組織を作れる

企業がアンラーニングを導入すると、組織全体の意識統一が図りやすくなり、変化に強い組織作りができます。各従業員が過去の価値観や慣習にとらわれない姿勢を持つことで、新しいアイデアや革新的な解決策を受け入れやすくなるのです。

変化を恐れず、むしろ変化を歓迎するマインドセットが組織全体に浸透することで、組織に何らかの問題が生じたときも、スピーディーな改善や変革を行うことができます。

環境の変化に柔軟に適応し、常に進化し続ける強靭な組織を作るうえでも、アンラーニングは非常に大きな役割を担っています。

企業がアンラーニングを導入する2つのデメリット

上述したように、企業がアンラーニングを導入すると多くのメリットがありますが、一方でデメリットがあることも忘れてはいけません。主なデメリットは、以下の2つです。

  • 従業員のモチベーションが低下する可能性がある
  • チームや組織が混乱しやすくなる

それぞれ詳しく解説します。

従業員のモチベーションが低下する可能性がある

企業がアンラーニングを導入する際、従業員のモチベーション低下に注意が必要です。新たな変化を促すアンラーニングですが、なかには急激な変化にストレスやプレッシャーを感じる従業員もいるかもしれません。

また、アンラーニングが順調に進んでも、従来のプロセスを大きく変更することで、一時的に業務パフォーマンスが悪化することもあります。場合によっては、それが原因で組織のモチベーションが低下する可能性もあり得ます。

アンラーニングを導入しようとしている企業は、上記のデメリットを十分に理解したうえで、従業員のモチベーションを維持できる仕組みや体制を整えておくようにしましょう。

チームや組織が混乱しやすくなる

アンラーニングは有用性が高い一方で、個人や組織の一部のみで無理に行おうとすると、チームや組織の混乱を招きやすくなります。

特にアンラーニングにより業務フローを大幅に変えようとする場合、チーム全体の足並みが揃っていないと、業務フローの改善がかえって逆効果になる恐れがあります。

具体例を挙げると、組織内の一部の従業員のみにアンラーニングを実践し、その従業員たちが積極的に新たな業務スタイルを取り入れようとしても、アンラーニングを受けていない他の従業員はその変化を受け入れられない可能性があります。

業務フローの変化にうまく対応できないことからコミュニケーション齟齬がうまれ、かえって業務効率が低下してしまうかもしれません。

このような事態を避けるためにも、企業がアンラーニングを導入する場合は、小規模な単位ではなく、できるだけ大規模な単位でアンラーニングを実践することが大切です。

アンラーニングの具体的な進め方【3ステップ】

ここでは、企業がアンラーニングを進める際の、具体的な3つのステップについて解説します。

  1. 従業員の内省を促す
  2. 価値観やスキルを取捨選択する
  3. フォローアップ体制を整える

それぞれ詳しく見ていきます。

従業員の内省を促す

企業がアンラーニングを導入する場合、まずやるべきことは従業員の内省を促すことです。

知識や経験の棚卸、客観的な視点での振り返りなどを通じて、それぞれの従業員がしっかり内省できる時間を設けましょう。そうすることで、これまでに培ってきた知識やスキルが逆に新たな学びの妨げになっていないかを、各従業員がしっかりと見つめ直すことができます。

なかには1人で内省するのが苦手な方もいるので、ワークショップや社内交流会などを企画し、複数人で内省の時間を設けるのもひとつの手です。

価値観やスキルを取捨選択する

次に行うことは、各従業員に内省で明らかになった自身の具体的な価値観やスキルの必要性を見極めてもらうことです。

まずは現在の業務で求められるスキルや知識を洗い出し、それを自身の強みと照らし合わせてもらうことで、効率的に価値観やスキルの取捨選択がしやすくなります。

この他、上司や同僚との1on1ミーティングを行うことも、価値観やスキルを取捨選択するうえで有効な方法です。客観的な評価を得ることで、それぞれの従業員が捨てるべき価値観や習慣、今後身につけるべき新たなスキルについて、理解を深めやすくなります。

フォローアップ体制を整える

最終的に行うべきことは、企業内のフォローアップ体制を整えることです。

価値観やスキルの取捨選択が済んだあとは、各従業員に新たな知識やスキルを習得してもらう必要があります。その過程で特に難しいのが、新たな価値観を定着させることです。

価値観を変える作業は、そう簡単なことではありません。同様の価値観を持つ相手と定期的に話す機会を設ける、新たな気付きの場を提供するなどして、企業はアンラーニングを行った従業員が無理なく新しいことを受け入れられるよう、フォローアップ体制を整えておく必要があります。

また、従業員が常に新しい知識や視点に触れられるよう、外部セミナーや勉強会への参加を奨励するのもおすすめの方法です。多方面から従業員をフォローできる体制を整えることで、効率的にアンラーニングを推進しやすくなります。

アンラーニングの導入による人材育成を図るには、エンワールド・ジャパンを活用する方法も効果的

アンラーニングとは、これまでの学びや経験で得た知識、スキル、価値観などをリセットし、新しい環境や状況に適応するために自分自身をアップデートしていくことです。

企業がアンラーニングを導入することで、従業員の成長を促し、変化に強い組織づくりができます。

アンラーニングの導入により効率的に人材育成を図るには、自社のビジョンにマッチした人材を確保しておくことが重要です。そんな人材を確保するために、転職エージェントであるエンワールド・ジャパンを活用するのも一つの方法です。

エンワールド・ジャパンでは、業界・職種に精通したキャリアコンサルタントが、あらゆる企業にマッチした優秀な人材をご紹介いたします。ぜひお気軽にお問合せください。

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