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マタハラは、セクハラ(セクシャルハラスメント)やパワハラ(パワーハラスメント)に並び、働く女性を悩ませる3大ハラスメントのひとつといわれており、近年大きな問題となっています。
この記事では、マタハラとは何か、起こる原因、具体例、マタハラ防止のために企業ができることなどについてFAQ形式で解説します。
Q. マタハラとは?
「マタハラ」とは、「マタニティハラスメント」の略で、働く女性が妊娠・出産をきっかけに不利益を被ったり不当な扱いを受けたりするハラスメントを指します。妻の妊娠や出産、育児にかかわることから、男性労働者もマタハラ被害の対象となります。
不利益や不当な扱いには、職場で上司や同僚から受ける精神的・肉体的な嫌がらせ、妊娠・出産を理由とする解雇や雇い止め、自主退職の強要、降格、減給が含まれます。
Q. マタハラが起こる原因は?
ここでは、マタハラが起こる原因について解説します。
女性は結婚したら家庭を守るという意識
働き方改革が叫ばれている今でも、「女性は結婚したら退職して専業主婦になり家族を守る」という意識が残り、仕事と出産・育児の両立を目指す女性への理解が進んでいない部分があります。
周囲の従業員の業務負荷増
休暇を取得する従業員の代わりの増員がない場合、周囲の従業員がその業務の穴埋めをしなければならず、業務負荷が増して不満を抱えてしまうことがあります。
会社を休むことは悪いことという思い込み
「会社を休むことは悪いこと」と思い込んでいる人も多く、休暇取得者に対し不満を抱えることも珍しくありません。
女性同士の軋轢
会社内における女性同士の軋轢もしばしばマタハラに繋がります。例えば、休暇取得者に対し「自分と違って優遇されている」と考えるケースもあります。
Q. マタハラの具体的な事例は?
ここでは、マタハラの対象になりうる具体的な事例を紹介します。
妊娠の報告に対してネガティブな反応をする
「忙しい時期に妊娠しないでほしかった」「体調がつらいなら会社を辞めてもらうしかない」などと、妊娠の報告に対しネガティブな反応をしたり、急に仕事を与えなくなったり、配慮をせずに放置したりするケースがあります。
出産や育児のための休暇取得を認めない
産前・産後休業の取得や時間外労働の免除などを申し出る際に「休みが多すぎる」「休むなら辞めてもらうしかない」「次の人事考課では昇進しないようにする」などと言われ、休暇取得が困難となるケースもあります。
個人的な価値基準を押し付ける発言
個人的な価値基準を押し付ける発言のケースも多々あります。
例えば、「女性は妊娠したら家庭に入るべきだ」「子供のために専業主婦になるべきだ」と言われ退職を促されたり重要な仕事から外されたりするケースがあります。また、立会い出産や育児休暇を希望する男性労働者に対する「男のくせに」などの発言もマタハラにあたります。
仕事内容や就業時間を一方的に変更する
仕事内容や就業時間の変更や配置転換を一方的に行うことは、それが配慮の結果だとしてもマタハラになります。
Q. マタハラ防止のために企業ができること
ここでは、企業がマタハラを防止するためにできることを解説します。
マタハラに関するアンケートの実施
水面下で発生しているマタハラを見つける方法のひとつには、マタハラに関する社内のアンケート調査実施があります。結果を元に対策を検討することが可能です。
相談窓口の設置と体制の整備
被害者が相談できる社内窓口の設置も大切です。併せて、相談窓口を利用しても解雇などの不当な扱いを受けないことを明確化し従業員に周知しましょう。
また、相談を受けたら迅速に対応できるようにマニュアルの作成やフォロー体制の構築も必要です。
社内研修
従業員のリテラシーを高めマタハラを許さない社内風土醸成のために、ハラスメント研修を実施することも重要です。マタハラの基礎知識や予防方法、自社ルールなどをはじめ、管理職には対応策を学べる研修を行います。従業員の負担が軽いeラーニングの活用も効果的です。人事担当者は従業員の学習チェックを行い個別に促せる利点もあります。
Q. マタハラが発生した場合の対応は?
最後に、マタハラが発生した場合の対応について解説します。
相談者や行為者にヒアリングなどの調査
マタハラ事案が発生したら、相談者・行為者にそれぞれ事実関係を確認し、第三者からも話を聞きます。
ただし、相談者は相談窓口に相談したことを知られたくない場合もあるので、どのような解決を望むのか事前に確認しておきましょう。
加害者と被害者に適切に対処する
マタハラが事実であれば、加害者に対しマタハラ行為の頻度や回数、悪質性によって懲戒処分や配置転換、研修などの措置を行います。被害者に対しては、加害者から引き離すための配置転換などの対応を行いましょう。対応を誤ると企業の責任が問われたり労働問題に発展したりするリスクがありますので、慎重な判断が求められます。
再発防止策の策定と周知
マタニティハラスメントが起きた原因を調査し、再発しないような仕組み作りおよび従業員への周知徹底を行うことも重要です。
今回はマタハラについて解説しました。エンワールドは、企業のグローバル人材に関する採用課題をあらゆる方面からサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。