【人事用語FAQ】社外取締役とは

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【人事用語FAQ】社外取締役とは

2021年6月に施行された上場企業が守るべき行動規範を示した指針「コーポレートガバナンス・コード」の改訂により、日本においても社外取締役を選任する企業が急速に増加しています。
しかし、ガバナンスの水準を底上げすべく社外取締役を導入したものの、期待通りに機能していない企業も見受けられ、対策として社外取締役の選任を企業価値の向上につなげる取り組みが
求められています。
この記事では、社外取締役とは何か、登用するメリット・デメリット、登用に当たっての人事部門の役割についてFAQ形式で解説します。

Q. 社外取締役とは?

「社外取締役」とは、取引や資本関係といった利害関係のない社外の人材を、経営陣として迎える取締役のことです。

組織や他の取締役、社長などとのしがらみもないことが要件で、その会社の業務執行に従事せず第三者として株主の視点を持って経営を監視することで、経営の透明性を高めたり企業統治を強化したりする役割を担います。

Q. 社外取締役を登用するメリット・デメリットは?

社外取締役を登用する主なメリット・デメリットは次の通りです。

メリット

コーポレートガバナンスの強化

企業の経営に利害関係のない第三者である社外取締役によるチェックが加わることは、企業経営を監視するコーポレートガバナンス(企業統治)の仕組みを強化することになります。その結果、自社の組織的な不正行為や不祥事の防止を阻止し、透明かつ公正な経営活動を推進することが期待できます。また、コーポレートガバナンスが機能していることは、企業の信用やブランドイメージの向上にもつながります。

経営幹部の暴走や誤った意思決定の防止

社外取締役は組織とのしがらみがないため、経営陣に対しても反対意見を述べやすいメリットもあります。つまり、取締役会に社外取締役が参加し客観的な視点や独自の知見・経験などに基づいた指摘を行うことによって議論が正され活性化し、経営幹部の暴走や誤った意思決定を防止する効果も見込めます。

社外の知見やノウハウなどの取り入れ

自社以外の会社経営の経験が豊富な社外取締役の参加により、新規分野での知見やノウハウ、自社にはない斬新なアイデア、難局での対処法への助言が期待できます。

また、女性や外国籍の社外取締役を登用しダイバーシティを図ることは、取締役会の活性化や議論の質の向上にもつながります。

デメリット

誤った判断を下す可能性

社外取締役は企業内の情報に精通しているわけではなく、限られた情報で業務執行や経営監督などを行います。そのため、企業としての最終的な意思決定には慎重な判断が重要です。

人件費の負担増加

社外取締役の登用は人件費の負担増となります。経済産業省の「社外取締役の現状について」の調査結果によると、社外取締役の年間報酬額は600〜800万円未満が最多となっており、企業規模が大きいほど報酬額は高くなる傾向があります。

経営者の高いリーダーシップが必要

社外取締役の見識や客観的な意見により取締役会の議論活発化が期待できますが、経営者は、それらさまざまな意見を取りまとめて正しい方向へかじ取りをする高いリーダーシップが求められます。

Q. 社外取締役登用に当たっての人事部門の役割とは

最後に、社外取締役を登用する際に人事部門に求められる主な役割について解説します。

社外取締役の人事要件の明確化

自社が必要とする社外取締役の人材要件を設定し、選考基準を明確に定めます。具体的には、自社のビジネスを踏まえ、能力・スキル・経験について、現在の取締役に不足しており今後欲しい要素を抽出し具体化します。株主に対して選考基準を分かりやすく説明できるようスキルマトリックスも作成しましょう。

社外取締役の選定・契約締結などのサポート

社外取締役の人事要件に加えて勤務時間や職務価値に見合った報酬なども策定し、求人票を作成します。その後、社内からの推薦の他、求人媒体への掲載や人材紹介会社に依頼するなど社外のリソースも活用し、社外取締役候補者を選定します。

その際、一次選考や二次選考、面接、業務提案、書類審査などの選考プロセスにおいて、進行管理や面接の質問準備のサポート、選考結果のフィードバックなどを行うのも人事部門の役割です。

選考プロセスが完了し採用候補が決定したら、取締役会での承認を経て契約内容の交渉や契約書の締結、就任手続きなどのサポートを行います。

社外取締役の業務に応じた評価基準の策定

社外取締役の役割や業務に応じた評価基準の準備も必要です。適切に評価するため取締役会に対する貢献を量と質の観点で判断できるよう、定量項目と定性項目を含むものが望まれます。

また、評価結果をフィードバックする仕組みの整備も行いましょう。

社外取締役の受け入れ体制の整備

労力と時間をかけて招聘した社外取締役に機能してもらうためには、受け入れ体制の整備も必要です。例えば、社外取締役が発言しやすい体制構築、十分な情報を得られる環境の整備、社内への社外取締役の役割の周知などが挙げられます。

今回は社外取締役について解説しました。エンワールドは、企業のグローバル人材に関する採用課題をあらゆる方面からサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

 

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