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企業活動において重要な意味合いを持つとされるCSR活動。2000年以降に頻発した企業の不祥事を契機に再注目され、この言葉を目にする機会も増えているのではないでしょうか。
この記事では、「CSR」という言葉の意味や重要性、メリット・デメリットやCSRの種類などについてFAQ形式で解説します。
CSRとはどういう意味?
CSRとは「Corporate Social Responsibility」という言葉の頭文字をとったもので、日本語では「企業の社会的責任」と訳されます。
そして、ここでいう「社会的責任を果たす」とは、顧客、従業員、取引先、投資家といったあらゆるステークホルダーをはじめ、社会貢献や環境への配慮など幅広い内容に対して適切な意思決定をすることを意味します。
CSRの重要性は?
グローバル化やIT革命によって経済がますます発展する一方で、環境問題は深刻化しています。また、食品の偽装表示問題に代表されるような企業の不祥事が続いたことから、企業が目先の売上や利益だけを優先しないように監視する社会の目も厳しくなりました。
そのため、企業イメージの維持向上やステークホルダーとの信頼関係構築において、CSR活動を行うことが非常に重要な意味合いを持つようになってきました。
企業のステークホルダーには顧客や投資家だけではなく、従業員も含まれます。自分の仕事が社会貢献に繋がっていると認識して自信を持って働くことで、モチベーションが高まり生産性の向上が期待できます。
CSR活動を行うメリット・デメリットは?
ここでは、CSR活動を行うメリットとデメリットを説明します。
メリット
社会からの共感を得られるようなCSR活動は、企業価値や企業イメージの向上に繋がるとされています。
なぜなら、これらを内外へ効果的にアピールできれば、顧客や株主からの信頼を獲得でき、従業員の満足度向上や生産性の改善が期待できるからです。
また、企業価値が高まることで意欲的な従業員が多い活気的な職場になれば 、求職者へも好印象を与え、優秀な人材の採用においてもプラスの影響を与えられるでしょう。
デメリット
CSR活動は間接的に企業の成長に関係することはありますが、売上に直接的にはつながらないケースがほとんどなので、CSR活動を支える資金や工数が利益を圧迫する可能性もあります。そのため、必要なコストを事前に把握して計画的に進めるようにしましょう。
また、取り組みテーマによっては従業員教育を実施したり、CSRを担当する人員を増やしたりする必要性が出てくる場合もあるため、研修実施や新規採用も併せて検討するとよいでしょう。
CSR活動の種類は?
ISO(国際標準化機構)が2010年に発行した「ISO26000」と呼ばれる国際規格では、組織が社会的責任を果たす上で基本となる視点は、以下の7つだと規定されています。
- 説明責任
- 透明性
- 倫理的な行動
- ステークホルダーの利害の尊重
- 法の支配の尊重
- 国際行動規範の尊重
- 人権の尊重
そして、それら7つの視点に基づくCSR活動の種類には以下のようなものがあります。
- 社会貢献
- 地域貢献
- 文化支援
- 環境への配慮
- 健全な職場環境と従業員支援
- コンプライアンス
- 情報の開示
- 消費者への対応
- 取引先への対応
この中で、人事・労務に関わる「健全な職場環境と従業員支援」では、現在多くの日本企業が「女性の地位向上」や「人権保護」などに取り組んでいます。
労働CSRの例は?
人事部門で取り扱うCSR活動の領域(労働CSR)は多岐にわたります。主な労働CSRの例は以下の通りです。
- 人権に係わる差別問題への対応
- コンプライアンス(法令遵守)の徹底
- セクシャルハラスメントへの対処
- 過労死やサービス残業のような労働搾取問題への対応
これら労働CSRは、適切に対処しなければ企業の不祥事や訴訟問題に発展する可能性もあるため、リスクマネジメントの観点からも経営と人事部門とが連携して盤石な体制を築いていきましょう。
今回はCSRについて解説しました。エンワールドは、企業のグローバル人材に関する採用課題をあらゆる方面からサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。