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物事を見るとき、これまでの経験に基づく主観で物事を判断してしまいがちです。見方が偏ると、物事の本質がわからず、見えていない問題点に気付きにくくなってしまいます。思考の偏りをなくし、物事を本質で捉えるために大切なのがメタ思考と呼ばれる思考法です。
本記事では、メタ思考のメリットやメタ思考がある方の特徴、メタ思考を活用する具体例を解説します。身につけるためのトレーニング方法を併せて紹介するので、メタ思考に興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
メタ思考とは
メタ思考とは、物事や問題を一段高い視点(メタレベル)から俯瞰的に見て捉える思考法のことです。思い込みやこれまでの思考パターン、感情などに影響されず、客観視することで物事の本質を見極められるようになります。
メタ思考では、上から全体を見渡すように客観的に物事を見ることで、それまで気付けなかった問題点に気付き、解決方法を見いだすことも可能です。問題の一部に偏った狭い見方ではなく、広い視野を持って考えられるようになるため、ビジネスにも必要な思考法として注目されています。
メタとは
メタには「超越した」「高次の」という意味があり、外からの視点を持って異なる次元で見ることを指します。ギリシャ語で「あとに」という意味の「meta」から由来する言葉です。
メタは哲学やIT、フィクションなどさまざまな分野で用いられています。他の言葉の前に付ける接頭語として使われるのが一般的です。例えば、メタ認知、メタ視点、メタ言語、メタデータなどが挙げられます。

メタ思考のある人の特徴
メタ思考を身につけている方には、以下のような特徴があります。
- 落ち着いて状況を把握できる
- 問題を見抜く力がある
- 自分の行動を客観視できる
- 言語化するのがうまい
メタ思考のある方は感情に流されて動くことが少なく、物事を広い視野で客観的に捉えられます。そのため、落ち着いて状況を把握し、何が問題なのかを見抜けます。周囲の物事や問題だけでなく、自分自身の言動も客観視できるのも、メタ思考の特徴です。
また、主観や感情を入れずに客観的に説明できるので、状況を的確に言語化できます。周囲にわかりやすく上手に説明できることで、コミュニケーションの質を高められます。
メタ思考ができないと?
一方、メタ思考ができない方には、以下の特徴があります。
- 物事の本質がわからない
- 同じ問題を繰り返す
- 感情的に判断・行動してしまう
- 他人からのアドバイスを受け入れられない
- パフォーマンスが安定しない
メタ思考ができない方は先入観や感情に囚われてしまうため、客観的に分析することができず、物事の本質を捉えられません。結果として、同じ問題を何度も繰り返したり、感情的になるために安定したパフォーマンスを常に同じ状態でできなかったりします。
また、自身の思考に偏ってしまうため、他人からアドバイスをされても受け入れられない傾向があります。
メタ思考のメリット
ここでは、メタ思考があると享受できるメリットを解説します。

新しい「気付き」を得られる
自身の思考パターンや思い込みを外し、異なる視点で物事を見られるため、今までに気付かなかった新しい気付きを得られます。そのため、問題に対する新しい解決方法を見つけられたり、業務の改善や効率化につなげられたりします。
問題解決能力が向上する
俯瞰的な見方ができると、問題の一部だけでなく全体を見渡せるようになり、あらゆる側面から原因や現状を分析することが可能です。結果として、問題の本質を見極められ、最適な解決方法を見つけられるようになります。今まで思いつかなかった解決方法に気付けるため、問題解決能力の向上につながります。
ひとつの問題だけでなく、関連する物事も含めた全体を見渡せれば、問題解決だけでなく、再発防止にも役立つでしょう。
冷静な判断ができるようになる
メタ思考があると、物事や問題を外から見る目線を持てるため、客観的な分析をもとに冷静に判断できるようになります。
冷静に見極めて適切に判断することで、感情や思い込みで偏った見方をするのを避けられます。
コミュニケーション能力が向上する
メタ思考は、自分自身を客観視するだけでなく、周囲の思考や行動を理解するのにも役立ちます。相手が欲しい情報を見極め、わかりやすく伝えられるため、コミュニケーションを円滑にするのに役立ちます。
創造力が向上する
メタ思考を持つと、今までと違う視点から物事を見られるため、発想が広がり新しいアイデアにつながります。
また、メタ思考はひとつの物事の具体的な事例を抽象化して、他の物事との共通点を見つけられるため、汎用性のある思考法です。新しい分野や未経験の業務へ応用するなど、幅広く役立てられます。
メタ思考のデメリット
メタ思考があると、メリットだけでなく、以下のようなデメリットもあります。
- 常に考えていて疲れる
- 考えすぎて発言や行動に移せない
- プレッシャーが増える
メタ思考が強すぎると、考えすぎてしまうことによる弊害が出る可能性があるため、注意が必要です。例えば、常に考えているために疲弊してしまったり、考えすぎるあまりに発言や行動を躊躇してしまったりすることが考えられます。
また、自分を客観視することで自意識が高まり、自分に過度のプレッシャーをかけてしまう傾向があります。
いずれも考えすぎてしまうことが原因です。適度にリフレッシュしてリラックスする時間を持つことで、デメリットを避けられるでしょう。
メタ思考の具体例
メタ思考があると役に立つシーンを具体的に紹介します。
- クライアントから依頼されたシステム開発を仕様に沿ってプログラムしたが動かない機能があったとき、仕様にミスがないかチェックするだけでなく、そもそもその機能が必要かを考えて、代替機能や他の解決方法を提案する
- 上司から、部署ごとに販売促進費のデータが欲しいと依頼されたとき、かかった費用をまとめるだけでなく、なぜまとめる必要があるのかを考えて、他部署との比較や部署ごとで差がでる原因を併せてまとめる
このように、そもそもの原因やなぜ必要なのかを考えられるのが、メタ思考です。メタ思考によって相手のニーズを読み取り、解決方法の選択肢を増やせます。
メタ思考のトレーニング方法
ここでは、メタ思考を身につけるためのトレーニング方法を紹介します。
常に自己分析をする
メタ思考の第一歩は、自分を俯瞰して見つめ直すことです。
「自分は何のためにこれを行うのか?」「方法はこれでよいのか?」「ほかによい方法はないか?」など、まずはもうひとりの自分が自分を観察するように、外から自分を見つめ直してみましょう。
そうすることで、自分の感情や行動を客観的に分析でき、自分の思考や行動のパターンがわかるため、改善するための行動をとれます。
なぜ?と考える習慣をつける
「なぜ?」と考える習慣は、メタ思考を身につけるのに大切なプロセスです。常に、なぜ?と疑問を持つことで、物事の表面や一方向からだけを見るのではなく、根本的な問題へ目を向け、多方面から理解することにつなげられます。
ビジネスにおいて、クライアントや上司からの要望は表面的なもので、問題の本質は違うところにある場合もあります。なぜ?と疑問を持つことで、本質を見抜けるようになり、潜在的なニーズにも対応できるでしょう。
他人の意見を聞く
他人の意見を聞くのも、メタ思考を身につけるのに効果的な方法のひとつです。自分の思考にこだわりすぎて俯瞰的な見方ができないとき、他人からのフィードバックを受けることで自分では気付けなかった問題点に気付き、客観的な視点を養えます。
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メタ思考は、物事の本質を見極め、根本的な問題解決を図れるとして、ビジネスにも応用できる思考法です。クライアントからの要望の潜在的なニーズに対応できるようになり、ビジネスの幅を広げるのに役立ちます。
メタ思考を身につけることで個人も成長し、スキルアップにもつなげられます。転職でキャリアアップしたい方にも、メタ思考を身につけることはおすすめです。
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執筆者: エンワールド編集部
外資系・日系グローバル企業のハイクラスに精通するエンワールドの編集部員が、転職やキャリア、日々の仕事のお悩みに役立つ情報を執筆します。