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公認内部監査人(CIA)は、内部監査についての能力を証明する世界水準の認定資格です。
公認内部監査人の資格取得を検討している方は、難易度や合格率が気になるのではないでしょうか。
本記事では、公認内部監査人の概要から合格率などの難易度、将来性まで詳しく解説します。公認内部監査人の資格を取得すべきかどうかのヒントが得られるので、ぜひ参考にしてください。
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公認内部監査人(CIA)とは「内部監査の国際資格」
公認内部監査人(CIA)とは、企業内部における内部監査や内部統制について一定の知識や技能を持っていることを証明する、アメリカ発祥の国際資格です。
アメリカの内部監査人協会(IIA・The Institute of Internal Auditors)が主催している国際資格で、世界約190の国で試験が実施されています。
公認内部監査人の主な仕事内容は、内部監査やコーポレートガバナンス(企業統治)などに携わる業務です。企業内におけるルールの遵守状況や不正の有無を確認・評価することが、公認内部監査人の役割といえるでしょう。
公認内部監査人試験は新シラバスによる制度へ移行することが決定しており、新試験の開始時期は以下のとおりです。
- 英語による試験:2025年5月28日
- 日本語による試験:2025年7月28日
改定後の試験も問題数や試験時間に変更はなく、「現在の内部監査におけるグローバルな実務に適合させること」などを目的に試験内容が改定されます。
参考:CIAの新シラバスと試験に関するご案内|一般社団法人日本内部監査協会
公認内部監査人(CIA)試験の難易度
公認内部監査人試験の難易度について、合格率・学習時間・他資格との比較から解説していきます。独学での合格難易度についても説明するので、試験を受けるべきかどうかの参考にしてください。
公認内部監査人(CIA)試験の合格率は各パートで約40~60%
公認内部監査人(CIA)試験は3つのパートで構成されており、各パートの合格率は約40~60%です。各パートの具体的な合格率は以下のとおりです。
【世界規模の合格率】
パート1 | 合格率44% |
パート2 | 合格率48% |
パート3 | 合格率56% |
公認内部監査人の資格を取得するためには、3パートすべてに合格する必要があるため、最終的な合格率は10~15%となることが予測されます。
参考:Internal audit certification program pass rates|The Institute of Internal Auditors
公認内部監査人(CIA)試験合格には300~500時間の学習が必要
公認内部監査人(CIA)の試験合格に必要な標準的な時間は、300~500時間です。
仮に、1日2時間弱の学習時間が確保できれば、半年(25週)程度で合格できる可能性もあるでしょう。
3パートすべてに合格する必要はありますが、パートごとの受験ができるため、長期間にわたり少しずつ学習を進める方法も有効です。
ただし、初期登録から3年以内に、全パートで合格し実務経験の承認手続きまで完了しないと、合格したパートが失効してしまう点は注意が必要です。
公認内部監査人(CIA)資格と他資格の難易度比較
公認内部監査人(CIA)の難易度を具体的にイメージしていただくために、他資格と「合格に必要とされる標準的な学習時間」を比較しました。
資格 | 合格に必要とされる標準的な学習時間 |
公認内部監査人 | 300~500時間 |
中小企業診断士 | 1,000時間 |
公認会計士 | 3,500時間 |
簿記2級 | 250~350時間 |
学習時間で比較すると、公認会計士や中小企業診断士よりは難易度が低めのようですが、簿記2級よりは難易度が高めであることがわかります。
公認内部監査人(CIA)は、受験のために実務経験が求められますが、現場で培ったスキルがあれば比較的取り組みやすい資格といえるでしょう。
公認内部監査人(CIA)試験は独学で合格するのは難しいが可能
公認内部監査人(CIA)試験に独学で合格するのは難しいですが、方法次第では自分の力だけでも合格が目指せます。
公認内部監査人試験に独学で合格するのが難しい理由は、過去問や回答が非公開であるためです。過去問などの教材が少なく情報収集が難しいため、効率的に学習を進めにくいかもしれません。
教材選びに迷ったら、公認内部監査人試験のシラバスに掲載されている参考資料を参照するのがおすすめです。例えば、以下のような資料が掲載されています。
- The IIA’s Global Internal Audit Standards
- IIA Global PG: Assessing the Risk Management Process, 2nd edition
- IIA Global PG: Auditing Anti-corruption Activities, 2nd edition
日本語による試験を検討している場合は、公認内部監査人の試験傾向を分析したテキストや問題集を活用してください。
また、試験合格を目指すうえでは、無理のないスケジュールを立てて、十分な学習時間を確保することも大切です。

公認内部監査人(CIA)試験の概要
公認内部監査人(CIA)試験は「科目合格制度」を採用しています。科目合格制度とは一度にすべての科目に合格する必要がなく、合格した科目は次回以降の受験が免除される制度です。
公認内部監査人(CIA)試験の概要を、より具体的に解説します。
公認内部監査人(CIA)試験の出題範囲や合格点
公認内部監査人(CIA)試験の出題範囲は以下のとおりです。
内容 | 各セクションの詳細 | |
パート1 | 内部監査の基本 |
A.内部監査の基礎(35%) B.倫理と専門職としての気質(20%) C.ガバナンス、リスク・マネジメントおよびコントロール(30%) D.不正リスク(15%) |
パート2 | 個々の内部監査業務 |
A.個々の内部監査業務の計画策定(50%) B.情報の収集、分析および評価(40%) C.個々の内部監査業務の監督およびコミュニケーション(10%) |
パート3 | 内部監査部門 |
A.内部監査部門の運営(25%) B.内部監査の計画(15%) C.内部監査部門の品質(15%) D.個々の内部監査業務の結果とモニタリング(45%) |
新シラバスでは、3つのパート試験における内容重複を最小限にすることを目指して構成されています。
また、各パートの合格点や問題数、試験時間は以下のとおりです。
合格点 | 問題数 | 試験時間 | |
パート1 | 600点以上 | 125問 | 2時間30分 |
パート2 | 600点以上 | 100問 | 2時間 |
パート3 | 600点以上 | 100問 | 2時間 |
各パート試験では、正解した項目の数によって250~750点の範囲で採点され、600点以上を獲得すると合格となります。
問題はすべて選択式ですが、どのパートにおいても1問あたり平均72秒で問題を解かなければならず、スピーディーに解答することが求められるでしょう。
参考:CIAの新シラバスと試験に関するご案内|一般社団法人日本内部監査協会
公認内部監査人(CIA)試験の受験資格
公認内部監査人(CIA)受験の教育要件は、認定された大学や短期大学で、学士号または同等の学位を取得することです。
ただし、実務経験の要件を満たしている場合、教育要件を満たしていなくても公認内部監査人の受験が可能です。実務経験とは「内部監査経験または同等の経験」を指します。
最高学歴によって、必要な実務経験の期間は以下のように異なります。
最高学歴 | 実務経験が必要な期間 |
修士号 | 12ヵ月以上 |
学士号 | 24ヵ月以上 |
非学位 | 60ヵ月以上 |
修士号・学士号の学位を保持していない受験者は、少なくとも5年間の実務経験が必要です。
参考:CIA Eligibility Requirement|The Institute of Internal Auditors
公認内部監査人(CIA)試験に必要な費用
公認内部監査人(CIA)の資格を取得するために、必要な費用は以下のとおりです。
IIA個人会員 | IIA個人会員以外 | |
CIA登録料 | 18,000円 | 36,000円 |
CIAパート1受験料 | 46,000円 | 66,000円 |
CIAパート2受験料 | 42,000円 | 62,000円 |
CIAパート3受験料 | 42,000円 | 62,000円 |
CIA試験プログラム有効期限1年延長 | 41,000円 | 41,000円 |
CIAパート試験有効期限延長(75日) | 15,000円 | 15,000円 |
印刷版認定状 | 7,500円 | 7,500円 |
2024年7月に受験料が改定され、新料金となりました。
IIA個人会員の方であれば、登録料と受験料の合計額は148,000円です。IIA個人会員以外の方の場合は、登録料と受験料の合計額は226,000円になります。
IIA個人会員になれば、公認内部監査人の資格を取得するための費用を大幅に安く抑えられるでしょう。
「CIA試験プログラム有効期限1年延長」や「CIAパート試験有効期限延長(75日)」、「印刷版認定状」は必要に応じて選択します。
参考:CIA資格認定試験の料金改定に関するご案内|一般社団法人日本内部監査協会
公認内部監査人(CIA)の資格を取得するメリット
公認内部監査人(CIA)の資格取得には、多くのメリットがあります。まず、内部監査に必要な知識やスキルを体系的に学べ、客観的に自分の能力を証明できる点です。
とりわけ、すでに内部監査の実務に携わっている方にとっては、資格取得を推奨している企業も多く、昇進や転職で有利に働くでしょう。
また、公認内部監査人は内部監査に関わる唯一の国際資格であるため、外資系企業や日系グローバル企業への転職を検討している方にも役立ちます。約190ヵ国で有効であり、キャリアの選択肢を大幅に広げられます。
公認内部監査人(CIA)の資格取得によって、内部監査人のスキルを客観的に証明できるだけでなく、キャリアの可能性を世界に広げることが可能です。

公認内部監査人(CIA)の将来性は?今後の需要を解説
公認内部監査人(CIA)の将来性は高く、今後も需要が高まるのが予測されます。近年、企業の内部監査部門における体制整備が課題として認識されており、内部統制やコンプライアンスの重要性が高まっているためです。
内部監査人は比較的新しい職種であるため、人材の育成や監査経験者の中途採用を含めて、今後も高いニーズが見込まれます。
内部監査において高いスキルを持つ公認内部監査人が活躍する場面は、今後も広がっていくでしょう。
参考:内部監査人‐ 職業詳細|job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
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公認内部監査人(CIA)は3つのパートで構成されており、各パートの合格率は約40~60%なので、最終的な合格率は10~15%となることが予測されます。
中小企業診断士や公認会計士と比べると挑戦しやすいですが、合格のためには精度の高い情報収集が求められるでしょう。
公認内部監査人(CIA)の資格を取得すれば、内部監査人のスキルを客観的に証明でき、外資系企業や日系グローバル企業への転職も有利になります。
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エンワールド編集部
外資系・日系グローバル企業のハイクラスに精通するエンワールドの編集部員が、転職やキャリア、日々の仕事のお悩みに役立つ情報を執筆します。