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会社の辞め時を見極めることは、理想のキャリアを築くうえで非常に重要です。
会社の辞め時に悩む方のなかには、早急に退職・転職を検討したほうがよい状況の方もいる一方、自身の状況を客観的に見極めたうえで、辞めるべきではない場合もあるでしょう。どちらにせよ、自身や自身の置かれた状況を客観視することが大切です。
本記事では、会社の辞め時といえる11のサインを紹介するとともに、退職・転職を考えたときにやるべきことや、円満退職するために押さえておきたいポイントについて詳しく解説します。
会社の辞め時がわかる11のサイン
まずは、会社の辞め時がわかる11のサインについて、それぞれ詳しく解説します。
ハラスメントを受けている
以下のような行為はパワハラやセクハラなどのハラスメントに該当する可能性があります。
- ほかの社員の前で繰り返し怒鳴られる
- 過剰なノルマを設定される
- 日常的に不必要なボディタッチがある
上記のような行為を日常的に受けている場合は、一度上司や人事担当者に相談してみましょう。声を上げることで、以下のような対策を取ってもらえる可能性があります。
- 人事担当者による状況調査
- ハラスメント加害者との接点軽減
- 部署移動
そのうえで状況が変わらないようであれば、別の職場を探してみるのも選択肢の一つです。
健康に影響が出始めた
仕事のストレスによる健康被害の例には、以下のようなものが挙げられます。
- 仕事の日だけ朝起きるのがつらい
- 仕事に行こうとすると体調が悪くなる
- 身体は疲れているのに眠れない
- 自宅にいても常にイライラしてしまう
上記のような症状が出ている状態で仕事を継続すると、業務のパフォーマンスが低下するだけでなく、いずれは私生活にも支障をきたしてしまう可能性があります。そのため、健康に影響が出始めたら、まずは身体を休めることを最優先事項として検討しましょう。その他には、産業医に相談するのも一つです。産業医に相談することで、安全で快適な環境で働けるよう、専門的な立場から健康管理や労働衛生に関する助言がもらえる場合があります。
人間関係にストレスを感じている
職場の人間関係にストレスを感じている状態で無理をして働き続けると、心身ともに疲弊し、本来の能力を発揮できなくなってしまう可能性があります。
人間関係にストレスを感じやすい職場環境の例として、以下のようなものが挙げられます。
- 同僚が職場に対する不満や、他の社員に対する悪口ばかり言っている
- 明らかに関係性のよくない社員同士への気遣いで疲れる
- 同僚が明らかな嫌がらせをしてくる
エン・ジャパンが3,700人に行った調査によると、退職経験のある方のうち約半数が「退職報告時に本当の理由を伝えなかった」と回答しています。本当の退職理由の第一位は「職場の人間関係が悪い」であり、全体の38%を占める結果となりました。
このことからも分かるように、表面上ではうまく繕っていても、多くの方が職場の人間関係を理由に実際に退職をしています。
自身も同じような状況下にある場合は、まずは人間関係にストレスを感じていることを上司や人事担当者に相談してみましょう。そのうえで状況が変わらない場合は、退職や転職も一つの手かもしれません。
参照:3700人に聞いた「退職の報告」に関する調査|エン・ジャパン
社風が合わないと感じる
体育会系の雰囲気が強く頻繁に飲み会がある、または伝統を重視して新しいことを受け付けないなど、企業によっては独自の文化が深く根付いているところもあります。企業に属するいち社員として、たしかに社風を尊重することは大切です。しかし、自身のあり方を社風に合わせすぎる必要はありません。
社風が合わないと感じた場合は、まず「なぜこの会社で働いているのか」を再確認してみましょう。
例えば「業務内容にやりがいがある」「スキルアップにつながる」など、自身の目的が明確になると、社風が合わなくても現在の会社で働く意味を見出しやすくなります。
自身の目的やあり方を見つめ直したうえでも、社風が合わず現在の会社で働く意味が見出せない場合は、退職や転職を含めた選択肢を検討してみてもよいかもしれません。
プライベートとの両立が難しくなってきた
プライベートの時間を確保できないほど日々の仕事に追われている場合は、会社の辞め時かもしれません。
平日にプライベート時間が一切ない、休日にも仕事の対応を求められるといった状況が続くと、心身の休息時間を確保できず、いずれ健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
また、家庭を持つ方の場合、ワークライフバランスが崩れた状態が長期化すると、家族との関係性にも支障をきたしかねません。
近年ではワークライフバランスを重視し、社員のプライベートを尊重する企業が多く存在します。もし転職を検討しているのであれば、働き方改革を積極的に進めている企業や、柔軟性の高い働き方ができる企業に絞って転職活動を進めてみるのも一案です。
仕事にモチベーションが持てない
仕事にモチベーションが持てない状態が続くと、現状の業務や今後のキャリアに以下のような悪影響をきたす場合があります。
- 業務効率が低下する
- 明確なキャリアを構築しにくくなる
- ストレスや疲労感が増す
仕事にモチベーションが持てない状態が長期化している場合は、まずは具体的な解決策を模索してみましょう。例えば、別の部署に異動届を出す、出社メインの働き方からリモートワークを取り入れた働き方に変更してもらうなどが挙げられます。
上記のような対策を取ってもモチベーションが上がらない場合は、退職・転職を選択肢の一つとして考えてもよいかもしれません。
自己成長できる場がない
自己成長が見込めない職場にいつまでも身を置くことは、自身の市場価値を高める機会損失にもつながりかねません。
自己成長しにくい職場環境の具体例は、以下のとおりです。
- 業務内容が単調
- ルーティンワークが多い
- 要求される業務レベルが変わらない
- 教育体制が整っていない
このような環境に違和感を覚えながらも長期的に働き続けてしまうと、いざ転職を考えたときにスキルや経験不足が原因で選考を通過しづらくなってしまうこともあります。
そのため、現在の職場で自己成長ができないと感じたら、まずは自己成長につながる業務を任せてもらえないかを上司に相談してみましょう。それでも業務内容が変わらないのであれば、自身の市場価値を高められる新たな環境を探すのも一つの選択肢です。
理想のキャリアとかけ離れた仕事ばかり任せられる
理想のキャリアとかけ離れた仕事ばかり任せられる状態は、キャリア構築の妨げとなるだけでなく、大きなストレスを抱える原因にもなりえます。
例えば、営業職として大口の契約を締結し、組織の成長拡大に目に見えるかたちで貢献することに生きがいを感じていたにも関わらず、その経験をもとに、事業開発に活躍を期待されて、事業開発部に配置転換を余儀なくされている場合、本来の自分とのギャップに、将来に対する不安も増えてしまうといったこともあるかもしれません。
理想のキャリアとかけ離れた仕事ばかり任せられる場合は、一度直属の上司や人事担当者に相談するなど、自身で具体的な行動を起こすことが大切です。
それでも状況が変わらないのであれば、退職・転職を含めた別の選択肢を考えてみてもよいでしょう。
正当な評価が得られず年収アップが見込めない
特に評価基準が不透明な企業では、評価を得るために必要な成果や実績が分からず、社員の不満が溜まりやすい傾向にあります。正当な評価が得られない状態が長期化すると、仕事へのモチベーション低下や、キャリアの停滞にもつながりかねません。
成果や実績を上げているにもかかわらず、正当な評価が得られず年収アップが見込めない場合は、会社の辞め時かもしれません。今一度自身の行動と成果と、評価制度・方法の客観的な視点で突き合わせをし、人事や評価者と相談することも一つの案です。
それでも、企業に対しての不信感が募る場合は、年収は自身の生活に直結する重要な要素なので、公平な評価制度が整っている職場を探すことを検討してみましょう。
優秀な社員の退職が続いている
優秀な社員の退職が続いている場合、企業になんらかの問題が潜んでいる可能性が高いため、会社の辞め時を示すサインと考えることができるかもしれません。
また、能力のある社員が立て続けに辞めてしまうと、職場の業務効率が低下し、既存メンバーへの負担が大幅に増加するといった悪循環を生む恐れがあります。そのような状況に陥った職場で理想のキャリア構築を目指すのは、あまり現実的ではありません。
このように、優秀な社員の退職が続いている職場では、安定した働き方が実現できなくなる可能性もあるため、無理のない範囲で少しずつ転職活動を始めてみてもよいかもしれません。
会社の業績が悪化している
勤め先の業績悪化を肌で感じるような状況であれば、今後の自身のキャリアプランに悪影響を及ぼす恐れがないか、立ち止まって考えることも必要かもしれません。 企業の業績が悪化すると、以下に挙げるような事象が起こる可能性が高いです。
- 賞与が減る、もしくはなくなる
- 給与が減額する
- リストラが頻繁に起こる
業績が悪化している企業に身を置いていては、いくら精力的に働いても将来に対する不安が拭えません。特に繁忙期や閑散期といった時期に関係なく、業績悪化が慢性化している場合は注意が必要です。
経営層から再構築に向けた具体的な計画が示されないのであれば、将来性のある業界や企業への転職を検討してもよいでしょう。
会社の辞め時だと感じたら|やるべき6つのこと
ここからは、会社の辞め時だと感じた際にやるべき6つの行動を解説します。

信頼できる人に相談する
1人で現状の不安を抱えていると、どうしても考えが主観的になり前向きな意思決定が難しくなるため、まずは信頼のおける家族や友人、上司、同僚などに相談してみましょう。
第三者に相談することで客観的な意見が得られ、物事を冷静に考えられるようになります。また、話を聞いてもらうだけで気が楽になることもあるでしょう。
もし「周囲に相談できる人がいない」「誰に相談すればよいかわからない」という場合は、転職エージェントを活用して、プロに意見を求めるのもおすすめです。
退職理由を整理する
会社の辞め時だと感じたら、退職理由を整理することも大切です。辞めたい理由を明確にすることで、本当に辞めるべきかどうかを冷静に判断できます。
紙のノートやスマートフォンのメモ機能などを活用して、辞めたい理由を箇条書きしてみましょう。些細な理由でも一つひとつを言葉にして残すことで、気持ちが整理され、自分が仕事において何を重視しているのかを客観的に判断しやすくなります。
また、退職理由を洗い出した際、特に不満度が高いものはどれなのかを考えてみてください。不満度の高い理由こそが、自身が企業や仕事に対して譲れない条件といえます。
例えば、成果が評価に反映されないことに大きな不満がある場合、実力主義に基づいた評価制度が整った企業の方が、自身に向いている可能性が高いです。
退職理由を整理したうえで、もし自身の努力で改善できそうな項目が多い場合は、今の職場でもう少し頑張ってみることを検討してみてもよいかもしれません。
退職後に想定される課題を明確化する
会社の辞め時を感じた際は、会社に退職を申し出る前に、退職後に想定される課題やデメリットを明確化してみてください。
安易に退職してしまうと、退職後に生計を立てるのが困難になったり、離職期間が予期せず長期化してしまったりすることがあります。
再就職先が未定のまま退職した場合、離職期間中は社会的信用も低くなるため、クレジットカードの新規作成ができない、ローン審査に落ちるといった事態も想定されます。
退職後に直面しうるこのような課題を事前に洗い出しておけば、退職に向けて自身がどう行動すべきかを整理でき、退職後もストレスなく日々の生活を送れるはずです。
キャリアプランを見直す
退職や転職を検討しているタイミングは、キャリアプランを見直すのにちょうどよい機会です。
将来的にどのような仕事がしたいのかをじっくり考えることで、転職活動時に自身との適正が高い企業を選びやすくなるでしょう。
キャリアプランを見直す際は、今の自分のスキルや経験を徹底的に洗い出すことが大切です。キャリアプランと現状のギャップを洗い出し、実際に転職活動を始める際は、そのギャップを埋められるスキルや経験を身につけられる企業を選ぶとよいでしょう。
在職中に転職活動をはじめる
転職を決めた場合は、できるだけ在職中から転職活動を始めることをおすすめします。
なかには退職後にゆっくり転職先を探そうと考える方もいるかもしれませんが、収入がない状態が続くと、精神的な不安を招いたり、転職先を妥協したりするなどのリスクが発生する可能性もあります。
退職理由の緊急性が高くなければ、在職中に転職活動をはじめた方が経済的にも精神的にも余裕を持って行動できるので、無理のない範囲で自分に合った職場を探してみましょう。
心身の休息を取る
「辞めたい」という気持ちが先行するあまり、本当に辞めるべきかどうかを冷静に判断できないと感じる場合は、心身の休息を取りましょう。
自己理解を深めないまま退職の決断をしてしまうと、転職に失敗したり転職先でも同じような悩みを抱えたりするなど、将来的に後悔する可能性があるためです。
休職や連休と有給休暇をうまく活用した長期休暇などで、心身を休ませる時間を確保してみてください。職場から離れてリラックスできる環境に身を置けば、思考を整理でき、退職や転職以外の選択肢が見えてくる場合もあります。
会社を円満退職するための5つのポイント
次は、退職や転職を決意した方に向けて、会社を円満退職するためのポイントを5つ紹介します。
退職の意向は1~2ヵ月前までに伝える
退職時には退社手続きや仕事の引き継ぎなどイレギュラーな業務が発生するため、周囲に迷惑をかけないよう、退職の意思表示は1〜2ヵ月前までには済ませましょう。
法律上は退職の2週間前までに伝えれば問題ないとされていますが、2週間で退職手続きや引き継ぎをすべてこなすのは、自身にとっても周囲にとっても大きな負担となる可能性があります。スムーズに退職するためにも、退職の意向は可能な限り早めに伝えた方が無難です。
また、退職を申し出るタイミングについては就業規則に記載されていることも多いため、事前に確認しておくと安心です。
直接口頭で伝える
近年では、仕事のやり取りでメールやチャットを活用する機会が増えていますが、退職の意向を伝える際は、上司に直接会って口頭で伝えるのがよいでしょう。
面と向かって話しをすることで双方の認識を擦り合わせやすくなり、自身の意向を誤解なく伝えやすくなります。
また、退職に関する話し合いは、引き継ぎの方針や退職日の日程など、さまざまな事項を取り決める必要があるため、想定外に時間がかかる可能性があります。そのため、上司にアポを取る際は、できるだけ相手のスケジュールに余裕がある日を候補に挙げましょう。
繁忙期は避ける
繁忙期での退職は周囲との摩擦を生みやすくなるため、よほどの理由がない限り避けた方が無難です。退職日を繁忙期以外の時期に設定することで、後任者への引き継ぎを円滑に進めることができ、チームへの負担も最小限に抑えられます。
業界や業種により差異はあるものの、多くの企業では12月や3月の年度末が繁忙期とされています。退職を希望する場合はこのような時期は避け、比較的業務量が落ち着く時期を見計らって退職日を設定しましょう。
退職理由はポジティブに言い換える
退職の意向を伝える際は、実際にはネガティブな退職理由であっても、ポジティブに言い換えて伝えるようにしましょう。職場の不満や愚痴を退職理由として伝えると、引き止められたりトラブルに発展したりして、円満退職が難しくなる可能性があります。
たとえ本当の退職理由がネガティブな内容であったとしても、それをうまく前向きな理由に言い換えることで、周囲から退職の意思を尊重されやすくなるでしょう。
前向きな退職理由の言い換え例を以下にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
ネガティブな退職理由 |
ポジティブに言い換えた退職理由 |
仕事内容が合わない |
新しい環境で業務の幅を広げたい |
給与が低い |
自分の価値を発揮しやすい環境でスキルアップを目指したい |
長時間労働に耐えられない |
業務に必要な資格の勉強に集中したい |
お世話になった方へあいさつする
円満退職するには、社内外でお世話になった方々へのあいさつ回りは欠かせません。
上司や同僚、取引先など、お世話になった方々へはできるだけ直接あいさつをして、これまでの感謝を誠心誠意伝えることが大切です。
遠方に住んでいる方やどうしても時間の都合が合わない方へは、電話やメールで連絡をしても問題ありません。感謝の気持ちを込めた丁寧なあいさつ文を送ることで、スムーズな退職につながるでしょう。
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健康に影響が出始めた、仕事にモチベーションが持てなくなったなど、会社の辞め時を示すサインにはさまざまなものがあります。
退職を検討し始めたら、具体的な退職理由や今後の生活、転職活動をどうするかなど、自身としっかり向き合うことが大切です。ただし、どうしてもひとりでは考えがまとまらない場合は、プロに相談するという選択肢もあります。
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エンワールド編集部
外資系・日系グローバル企業のハイクラスに精通するエンワールドの編集部員が、転職やキャリア、日々の仕事のお悩みに役立つ情報を執筆します。