現在、IT関連の仕事に就いていて「ITコンサルタント」へチャレンジしようと考えている方もいるのではないでしょうか。
ひと口に「ITコンサルタント」といっても、その仕事は多岐にわたります。
この記事では、その仕事内容やSE・SIerとの違いなどについて解説しています。ITコンサルタントへの転職を考えている方は参考にしてください。
ITコンサルタントの仕事内容
ITコンサルタントの職務とは、顧客企業のビジネス上の課題や悩みに対して、システムの構築や改善など、IT分野からアプローチすることで解決策を提案し、問題解決のサポートを行うものです。それぞれの会社は個別の事情を抱えており、その多種多様な課題に対して適切な解決法を提示する必要があるため、ITコンサルタントはIT分野全般にわたる幅広い知識と経験を求めるといってよいでしょう。
その業務内容は、おおまかに3つのステップに分かれます。最初に顧客企業の現状を分析するための観察やヒアリングを行い、次に分析結果にもとづいて特定した課題を解決するための提案を策定します。最後に、業務改善プロジェクトを立ち上げるためのチームづくりや、進捗管理などのプロジェクト統括を行います。
このようにITコンサルタントの業務は多岐にわたるため、ITコンサルタントはそれぞれの分野ごとに役割分担をして業務にあたります。続いてITコンサルタントのそれぞれの職種について解説していきます。
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ITコンサルタントの職種
ここではITコンサルタントのそれぞれの職種を5つに分け、それぞれについて解説します。
IT戦略コンサルタント
IT戦略コンサルタントの業務は、オペレーションの効率化などのような現場レベルでのIT活用ではなく、全社的な戦略においてITをどのように活用して価値を生み出していくかを提案するものです。
全社的なITの導入や活用の促進、ITに関連した資本投下から得られる効果の最大化など、経営の視点から見たITガバナンスの実行をCIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)など企業の情報部門の責任者とともに行っていきます。
ERPコンサルタント
ERP(Enterprise Resources Planning)とは、ヒト・モノ・カネ・情報といった企業の経営資源をどのように分配し、生産性を向上させ、経営の効率化を計るかという概念です。
ERPコンサルタントは顧客企業の各部署における現状の業務プロセスに対して分析を行い、どのようにERPパッケージ(ソフトウェア)を適用していくべきかを判断し、企業に対して提案します。この過程では現場ユーザーの顕在的需要だけではなく、潜在的なニーズを汲み取る必要があります。効果的な業務改善を行うには高いコミュニケーション能力が必要となるでしょう。
SCMコンサルタント
SCM(supply chain management)とは、供給者から消費者までのサプライチェーン全体の過程をどのように効率化・最適化するかという管理手法です。具体的には原材料の購買コストや物流コストの低減、在庫の適正化などを行います。
SCMコンサルタントは、ITの活用によるサプライチェーン改善のための戦略策定や計画立案、プロジェクトの実行を支援し、顧客企業の課題解決と収益の改善をサポートします。
PMOコンサルタント
PMO(Project Management Office)とは、プロジェクトを成功させるために必要な情報収集や資料作成、進捗管理などのマネジメント業務です。全社を対象とすることもあれば、ひとつの部門、あるいはひとつのプロジェクトのみを対象とすることもあります。
PMOコンサルタントは、プロジェクトが期限内に所定の品質の成果を上げ、かつ定められた予算内にコストを抑えられるようにプロジェクトの支援・管理・指揮などを行います。
CRMコンサルタント
CRM(Customer Relationship Management)とは顧客関係管理などと訳され、企業が顧客の満足度やロイヤルティを向上させ、顧客との間に信頼関係を築くことを通じて収益の拡大を目指す手法です。
CRMコンサルタントは、企業と顧客あるいは商品・サービスと顧客との出会いをつくるチャネル改革や、顧客が商品・サービスの購入に至る過程などの顧客体験を、IT技術を用いて改善し、企業と顧客との結びつきを強める支援をします。
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「ITコンサル」とSE・SIerの違い
「ITコンサル」とは、ITコンサルタントという職種を指す場合と、ITコンサルティングを行う会社を指す場合とがあります。ここでは、混同されがちであるITコンサルタントとSE、ITコンサルティング会社とSIerとの違いについて解説していきます。
ITコンサルタントとSEの違い
それでは、職種としてのITコンサルタントとSE(System engineers)との違いとは何なのでしょうか。その役割と業務内容を対比させて解説します。
役割
ITコンサルタントの役割は、クライアントが抱える課題を解決するためにどういったシステムが必要であり、ツールとしてのITをどのように活用して顧客企業の課題を解決するかの考案です。それに対してSEの役割は、顧客希望が求めるシステムの開発です。
ITコンサルタントの役割はSEがシステム設計を行うより前の段階にあり、SEの業務よりも、より経営側に近い業務といえるでしょう。
業務内容
ITコンサルタントはその役割を果たすため、まずは顧客企業が抱える課題を把握することから始めます。そして、すでに顕在化している課題や、将来のリスク回避として潜在的に隠れている問題を未然に解決することが求められます。そのため、顧客企業の経営者や情報・システム部門の責任者へのヒアリングと、そこで得られた情報の分析が必要となります。
一方、SEはITコンサルタントと顧客企業が求める機能を満たすシステムを構築するために要件定義を行い、プログラミングや動作確認も行います。つまり、どのようなシステムが必要であるかを考えることがITコンサルタントの業務であり、要求に応じてシステムを作り上げることがSEの業務だといえるでしょう。
ITコンサルティング会社とSIerの違い
SIerとはSI(System Integration)を行うものという意味で、SEやプログラマーなどを雇用して、顧客企業の求める情報システムを構築する会社や組織を指します。その業務内容はシステムの設計・開発・導入サポートから、保守管理などのアフターサービスにまで及びます。
一方、ITコンサルティング会社は顧客企業が抱える課題を解決するために、その改革案の検討や策定の段階からプロジェクトに参加します。すでに表出している問題を解決するだけではなく、潜在的な課題を解決するための本質的な課題を特定し、その解決まで伴走することが求められる点がSIerとITコンサルティング会社との違いだといえるでしょう。
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ITコンサルタントへの転職の際にあると有利なスキル
ITコンサルタントには、IT関連のスキルや経歴の他に、以下で紹介するようなスキルが求められる傾向にあります。
☑ コミュニケーション能力
ITコンサルタントの仕事は、まずはじめに顧客企業の課題を特定するところからスタートします。そのために、社外の人間でありながら、顧客企業の経営者や各部署の責任者、あるいは従業員などから情報収集をする必要があります。彼らの十分な協力を得て、有益な情報を引き出すためには、高いコミュニケーション能力が必要となるでしょう。
また、業務改善プロジェクトの立案や遂行の段階で、顧客企業の社員たちを巻き込みながら課題の解決にあたる上でも、同様に高いコミュニケーション能力が求められるでしょう。
☑ 論理的思考
ITコンサルタントは、顧客企業の課題を解決するために具体的な提案をすることが求められます。売上が低下しているという問題があったとして、それが商品の競争力低下にあるのか、競合他社の攻勢あるいは需要の減少にあるのかなど、いずれが本質的な課題であるかを特定し、適切な対応策を提案することが期待されます。
そのため、複雑な物事の因果関係を解きほぐしながら、それを論理立てて分かりやすく説明することが求められます。顧客企業が納得するだけの説得力のある提案を行うために、論理的思考能力はITコンサルタントにとって重要なスキルのひとつだといえるでしょう。
☑ ITに関する広い知識
ITコンサルタントは顧客企業の課題を解決するために、ITを活用した業務改善の提案をします。さまざまな問題に対して、より適切な対処法を見つけるためには、ハードウェアやソフトウェア、セキュリティ、ネットワーク、データベースなどITに関連する幅広い知識が必要となるでしょう。
また、提案を行うにあたっても、知識が豊富であれば顧客企業にとって受け入れやすい、より説得力のある提案ができるようになるでしょう。
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まとめ
ITを活用した業務改善は、業界・業種を問わず多くの企業から需要があり、ITコンサルタントはキャリアアップの選択肢として将来性が期待できる職種だといえるでしょう。また、現在SEとして活躍中の方にとっても、上流の工程であるITコンサルタントは、より経営者に近い場所で活躍が望めるキャリアアップとなるのではないでしょうか。
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