【人事用語FAQ】 ピグマリオン効果とは

2023.06.07
【人事用語FAQ】 ピグマリオン効果とは

「ピグマリオン効果」という心理効果をご存じでしょうか?教育の分野でよく使われてきた効果で、近年は人材育成においても有効であるという考え方が広まり、さまざまな企業で活用されています。
この記事では、 ピグマリオン効果とは何か、それらを活用して得られる効果、具体例などについてFAQ形式で解説します。

Q. ピグマリオン効果とは?

ピグマリオン効果とは、他者から期待を受けることでその期待に沿った仕事の成果が上がったり学習成績が向上したりする心理効果のことです。

アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールとフォードが1963年~1964年にかけて、大学生や小学生に対して行った実験により提唱された効果ですが、実施された実験に再現性がないという批判や対象者が自ら学習するという視点が不足しているのではないかと現在も議論が継続されていることも押さえておきましょう。

 

Q. ピグマリオン効果の例は?

人材教育の場面では、部下のマネジメントや新人教育などの際にピグマリオン効果を活用できる可能性があります。ここでは、その具体例をご紹介します。

 

部下のマネジメントにおける例

上司が部下に対し期待を伝えることで、部下は上司の期待に応えようと自分で考え行動を起こすようになります。そして、上司への報告や連絡、相談の機会が増え、上司はさらに部下を気にかけるようになるという好循環が生まれます。その結果、部下の成果や成績アップの期待ができます。

 

新人教育における例

新入社員向けのOJTにおいても、先輩社員が後輩社員に成長への期待を伝えることで、後輩社員は期待に応えようと作業スピードを向上させ、先輩社員とのコミュニケーション機会が増えるという好循環が生まれます。これは、後輩社員の業績や能力アップのみならず、先輩社員の教育能力の向上が期待できます。

 

Q. ピグマリオン効果のメリット・デメリットは?

ここでは、ピグマリオン効果を人材育成に活用する際のメリットやデメリットについて解説します。

 

メリット

上司が部下に「期待している」ことを表現や行動で示せば、部下は認められていると実感することができ、その結果次のような効果が期待できます。

 

  • 部下は上司に認められている安心感から相談や発言がしやすくなり、両者間の信頼関係がより強くなることで、職場の心理的安全性が高まる見込みがある
  • 部下は上司の期待に応えるためにどうすべきかを考えるため、仕事の質が向上し成長スピードが早くなる可能性がある
  • 従業員が自主的かつ前向きに業務に取り組めるようになることで、会社に対してのエンゲージメント向上 が期待できる

 

デメリット

前述のように、ピグマリオン効果は批判や議論が継続されているものです。次のようなデメリットも指摘されていますので、ビジネスで活用する際は、批判的な視点も持ちつつ多角的に判断していくことが大切です。

 

  • ある分野への偏った期待により他の分野は頑張らなくて良いという誤解を与えるなど期待が裏目に出てしまう
  • 必ずしも狙った通りに効果を得られるとは限らない
  • 期待の言葉を投げかけるだけでは、実質的な問題解決や本人の自助努力の成長には繋がらない

 

Q. ピグマリオン効果を人材育成で活用する方法は?

ここでは、ピグマリオン効果のビジネスにおける活用ポイントを紹介していきます。

 

部下に裁量権を与える

裁量権を部下に与えることで、部下は上司から信頼されていると感じることができます。自分の考えで仕事を進めさせることで、部下の新たなポテンシャルも引き出しやすくなるでしょう。

 

言葉で期待を伝える

部下への期待は具体的に言葉で伝えるようにしましょう。また、次のように褒めるタイミングと内容にも気をつけることで、部下のより高いパフォーマンスが期待できます。

 

  • 成果を出したプロセスを褒める
  • 部下が落ち込んでいるときにフォローする
  • 1on1ミーティングを活用し定期的にポジティブなフィードバックを行う

 

実現可能なノルマを課す

部下が成功体験をたくさん積み自己肯定感が上がるよう、達成できそうなノルマを課したり、高い目標は目標を細分化したりするなど工夫しましょう。

 

Q. ピグマリオン効果を活用する際の注意点は?

最後に、ピグマリオン効果を活用する際に特に注意しておきたいポイントを紹介します。

 

過剰な命令や要求をしない

部下は達成が難しいノルマを与えられると自信を失う可能性があります。もし一度達成できたとしても負担が重くなり、継続して成果を出せない可能性もあります。

部下に期待をかけるときは、部下のポテンシャルや現在の状況を見極め、過剰な命令・要求は避けるようにしましょう。

 

必要以上に褒めない

必要以上に部下を褒めると、部下は現状に満足し努力を止めたり、手を抜いてしまう可能性があります。褒める際は、あくまでタイミングと内容に気をつけましょう。

 

チャレンジする機会をたくさん与える

部下のポテンシャルや成長を促すために、チャレンジの機会をたくさん設けることも大切とされています。ステップアップできる仕事を任せられることで部下は成長を実感することができ、モチベーションの向上が期待できます。ただし、過剰なノルマを設定すると、逆にストレスやプレッシャーを与えることになりかねないため、注意が必要です。  

 

 

今回は ピグマリオン効果について解説しました。エンワールドは、企業のグローバル人材に関する採用課題をあらゆる方面からサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

 

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