【人事用語FAQ】モチベーション理論とは

2023.05.31
【人事用語FAQ】モチベーション理論とは

従業員がやる気を持って積極的に仕事に取り組めるかどうかは、企業の業績や成果に繋がる重要な課題のひとつです。そのため、人の心の中でどのように意思決定が行われモチベーションが高まるのかを解明することが重要になります。
この記事では、モチベーション理論とは何か、それらを活用して得られる効果、具体例などについてFAQ形式で解説します。

モチベーション理論とは?

モチベーションとは、「何かをやろうとする意欲・やる気・行動のための原動力や動機づけ」のことで、モチベーション理論は、そのモチベーションがどのようなプロセスで駆り立てられるのか、やる気を高めるにはどのような要因が関係しているのかなどを研究した理論です。

 

モチベーション理論を活用することで得られる効果

モチベーション理論は、職業や職種に関係なく万人に共通して効果を発揮しうるものです。

モチベーション理論を活用し、従業員のモチベーションを高めることで、「企業の生産性の向上」や「従業員が企業に対して抱く信頼感や貢献意欲であるエンゲージメントの向上」などの効果をより高いレベルで期待できます。

これにより結果的に、従業員の離職率の低下や優秀な人材の採用につながる可能性もあります。

 

モチベーション理論の具体例は?

ここでは、代表的なモチベーション理論に注目し、それぞれの概要と人事戦略への応用について紹介します。

 

マズローの欲求5段階説

アブラハム・マズローは、人の欲求を基本的欲求から高次の欲求まで「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」の5段階に大別し、一段階の欲求が満たされると、もう一段階上の次元の欲求が現れるという欲求段階説を唱えました。

 

人事戦略への応用

人の欲求は、各々置かれた環境によってさまざまに変化するというのがこの理論のポイントです。従業員それぞれの環境や経歴、立場などを鑑み、満たすべき欲求を見極め、モチベーションが向上するドライブ(動因)やインセンティブを構築していくことが重要です。

 

ハーズバーグの二要因理論

フレデリック・ハーズバーグは、仕事のモチベーションを決定づけるのは、「仕事の内容からもたらされる満足感に関わる動機づけ要因」と「仕事の環境からもたらされる不満に関わる衛生要因」の2つの要因であると発表しました。

前者は、仕事における達成感や承認で得られる満足感のことで、仮にこれらの満足感が欠けていても職務上の不満足には繋がらないとも示しています。

一方で、後者の会社の政策や管理方式、報酬、対人関係など職務環境における基本的欲求が満たされない場合、仕事上の不満に繋がると述べています。

 

人事戦略への応用

従業員のモチベーション戦略を考える際には、衛生要因である企業内の制度面・環境面を重視し整備を行うことと、仕事での達成感を味わえるような目標設定など動機付け要因に関する方法を実施することの両輪を考慮して行う必要があります。

 

マクレガーのX理論・Y理論

ダグラス・マクレガーは、マズローの欲求5段階説を参考に、経営組織の観点から2つの対立する「X理論」と「Y理論」を提唱しました。

 

X理論:人間は本来仕事が嫌いで責任からも逃れたい傾向にあるため、仕事をさせるには強制や命令、処罰といった抑圧的なマネジメントが必要

 

Y理論:仕事をするのは人間の本性で、自分が設定した目標に対し積極的に行動するため、管理者は従業員と協力関係を構築し、権限移譲や能力開発などの自我欲求や自己実現を認めていくようなマネジメントが必要

 

人事戦略への応用

制度や施策の目的に応じて、X理論とY理論を使い分けることが有効です。

例えば、リスク管理に直結する従業員のモラル向上、業務上のガバナンスの強化を目的とする制度や施策を実行する際には、X理論に基づくアプローチが向いています。

一方、Y理論は、社員のエンゲージメントの向上を目的とする制度や施策を実行する際に適しています。

 

期待理論

現代モチベーション研究の代表的な理論の一つで、ビクター・H・ブルームによって基礎が作られ、レイマン・ポーターとエドワード・ローラー三世により精緻化され、ステファン・ロビンスが広めたと考えられている理論です。

理論の根底には「人の行動は、その行動が定められた報酬に繋がるという期待と、達成させる成果が本人にとってどれだけ魅力的であるかによって決定される」という考えがあり、行動に対するモチベーションは、「努力」×「成果」×「魅力」の3つの変数の掛け算で左右されると論じています。

 

人事戦略への応用

従業員のモチベーションを高めるためには、「努力が成果に結びつくと期待できる」「成果が報酬に結びつくと期待できる」「報酬が魅力的である」などの掛け合わせの施策が重要です。また、同時に、それが何にどう結びつき、従業員自身が自分はどのようなメリットや報酬が得られるのかを明示していくことも大切です。

 

 

今回はモチベーション理論について解説しました。エンワールドは、企業のグローバル人材に関する採用課題をあらゆる方面からサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

 

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