【人事用語FAQ】ハインリッヒの法則とは

2023.05.29
【人事用語FAQ】ハインリッヒの法則とは

企業の経営には、リスクマネジメントが重要です。企業における重大なミスや事故を未然に防ぐために押さえておきたいことのひとつに、「ハインリッヒの法則」があります。
この記事では、ハインリッヒの法則とは何か、その活用事例、導入方法、また、ハインリッヒの法則に関連するドミノ理論との違いなどについてFAQ形式で解説します。

ハインリッヒの法則とは?

「ハインリッヒの法則」とは、アメリカの損害保険会社に安全技師として勤めていたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが、1920年代に提唱した事故の発生についての経験則のことです。

この法則は、「1:29:300の法則」とも呼ばれ、具体的には次のような内容です。

 

「1件の重大事故の背後には、29件の軽微な事故が隠れており、さらにその背後には300件の一歩間違えると大惨事になりかねなかった異常、いわゆるヒヤリ・ハット(ヒヤリとしたりハットしたりする危険な状態)が隠れている。」

 

ハインリッヒは、ある工場で発生した数千件の労働災害を統計学的に調査した結果、この法則を導き出し、その成果をまとめた著書を1931年に発行しました。

 

ハインリッヒの法則が広がった背景は?

ハインリッヒの法則は発表後、災害防止のバイブルとして世界中で活用されるようになりました。

日本でも、1951年にハインリッヒの著書が「災害防止の科学的研究」という名称で翻訳され、建設現場や医療現場をはじめ一般的なオフィスワークでも活用できる法則として、ハインリッヒの法則が伝わっていきました。

厚生労働省も、労働災害防止につながる労働安全衛生の考え方として紹介しています。

 

近年、インターネットやSNSを通じて企業の事件や不祥事が瞬く間に世の中に伝わるようになっており、何か重大な事態が起きてしまうとネット上に拡散し信用を失い、企業存続の危機に陥ってしまう可能性もあります。

そのため、人事部門においても全社員を対象としたセキュリティ意識向上トレーニングやリスクマネジメントを行うことの必要性が高まっています。

 

ハインリッヒの法則とドミノ理論の違いは?

ハインリッヒは、ハインリッヒの法則に関連する「ドミノ理論」も提唱しています。

ドミノ理論とは、労働災害や事故は、次の5段階の事象がドミノのように連鎖した結果に生じるものであるとする考え方です。

 

  1. 環境的欠陥
  2. 管理的欠陥
  3. 不安全状態・不安全行動
  4. 事故
  5. 災害

 

ハインリッヒは、労働災害を防ぐためには上記の不安全状態・不安全行動を除去するため、日常的な行動をしっかり管理することが重要だと主張しました。

 

ハインリッヒの法則は、実際の労働災害による統計的な経験則であり、ドミノ理論はその経験則に伴い提唱された労働災害を防ぐための方法を導くための考え方といえます。

 

ハインリッヒの法則の活用事例は?

ハインリッヒの法則は、さまざまな労働現場で事故への注意喚起に活用されており、特に、製造業や建設、運輸、医療など、重大事故が人の生死にかかわる分野では広く浸透しています。

 

例えば、病院などの忙しい医療現場では、「ハインリッヒの法則」にもとづき、いち早くミスに気づいてコミュニケーションを取ることがとても重要とされています。

 

さらに現在では、オフィスワークの領域でもハインリッヒの法則が活用されています。
例えば顧客クレームについても「大きなクレームの背後には29件の軽微なクレーム、300件の不満がある」と捉え、日頃から軽微なクレームから真摯に受け止めしっかりと対応することで、後々の重大なクレームを防ぐことができ、不満の解消のみならず先のビジネスチャンスを獲得するきっかけにもなる可能性もあります。

 

ハインリッヒの法則の導入方法は?

最後に、自社にハインリッヒの法則を導入する方法を3つ紹介します。

1つの方法だけ行うのではなく、複数の方法を組み合わせて効果的な導入を目指しましょう。

 

導入前に従業員の理解を促進する

ハインリッヒの法則を導入する前に、ハインリッヒの法則やヒヤリ・ハットについての従業員の理解を促進するため

  • ハインリッヒの法則を導入することでどのような効果があるのか
  • 導入する理由

など、従業員への教育を行うことが大切です。

 

また、過去の経験やケーススタディからヒヤリ・ハットの洗い出しなどを行うことも有効です。

 

導入後の定期的な勉強会の実施

事例を集め、

  • どのように対応するのが良いのか
  • 未然に防ぐ方法

など、同様のヒヤリ・ハットが生じない工夫や方法について議論します。

 

繰り返し発生しているテーマについては、根本的な解決策についての勉強会などを実施し、抑制に努めることも重要です。

 

実施に伴うグランドルールの作成

ヒヤリ・ハットなどの事例を収集する際は、収集のためのフォーマットなどのグランドルールや、収集サイクルやその後の勉強会、内容を精査し対応策を検討する担当者などの運用ルールを決めておくことが大切です。さらに、収集した意見や対応策を社内で周知し、抑制を促す活動も重要です。

 

 

今回はハインリッヒの法則について解説しました。エンワールドは、企業のグローバル人材に関する採用課題をあらゆる方面からサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

 

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