【人事用語FAQ】男性版産休(出生時育児休業)の義務化とは

2023.03.22
【人事用語FAQ】男性版産休(出生時育児休業)の義務化とは

育児・介護休業法の改正により、男性版産休(出生児育児休業)制度が開始されました。
この記事では、男性版産休(出生時育児休業)の内容やメリット・デメリット、制度の義務化に際して企業が行うべきことについてFAQ形式で解説します。

Q. 男性版産休(出生時育児休業)とは?

男性版産休(出生時育児休業)は、男性(夫)が柔軟な育児休業を取得できるための促進策の一つです。

2021年6月に育児・介護休業法の改正案として衆院本会議で可決・成立したもので、子供が生まれる従業員に対し企業側から育休取得を促すことが義務付けられました。ここで注意すべきは、男性(夫)に産休取得が義務付けられているわけではないことです。

男性(夫)の育児休業取得を促進することで、女性の出産後の社会復帰や家事・育児の負担軽減、産後鬱(うつ)防止が期待されます。

 

Q. 男性版産休制度の概要とは?

制度の概要は次の通りです。

 

  • 子どもの誕生後、8週間以内に計4週分の休みが取得できる
  • 夫のみ利用できる
  • 2回まで分割して取得できる
  • 育休の申請期限は旧制度の1ヶ月前までから2週間前までに短縮
  • 育児休業給付金と社会保険料の免除により、最大で賃金の実質8割が保障される

 

Q. 男性版産休制度の義務化はいつから?

男性版産休制度は2022年4月から段階的に施行されています。ここでは、時期による主な改正点を説明します。

 

2022年4月〜

  • 企業が対象の男性従業員に対し育児休業制度を説明することが義務化
  • 対象の男性従業員に育児休業取得の有無を個別に確認することが義務化

 

2022年10月〜

  • 男性版産休の取得が可能に
  • 労働契約が満了することが明らかでなければ有期雇用者でも通常育児休業の取得が可能に
  • 育児休業中でも条件付きで就業可能に(生後8週間ならば育児休業を取得する半分の日数を上限に就業可能)

 

2023年4月〜

  • 従業員が1,000人超の大企業は男性従業員の育児休業取得率などの公表が義務化

 

Q. 男性版産休制度のメリット・デメリットは?

男性従業員の育児休業取得を推進することは、従業員だけでなく企業にとっても多くのメリットを生み出します。ここではそれぞれの主なメリットやデメリットを紹介します。

 

メリット

企業側のメリット

  • 高い育児休業取得率を公表することで企業イメージや評価を向上させられる
  • 男性従業員が実際に育児休業を取得した場合に助成金を得られるので、有給取得者の代替要員の確保のための金銭的な負担を軽減できる
  • 異なる経験を積んだ育児休業取得者の新たなイノベーションやアイデア創出が期待できる

 

従業員側のメリット

  • 妻と一緒に子育てをすることで育児のノウハウが身につけられる
  • 夫婦で協力し合えるので育児の負担が減らせる
  • 夫婦で子供の成長を見ることができる
  • 子供に接することで父親としての自覚を持ちやすい
  • ワークライフバランスが整い育児休業後も積極的に育児に参加しやすくなる
  • 第二子を検討する余裕が出てくる
  • 育児休業を有給とする企業に勤め所定の要件を満たす場合は、育児休業取得中も一定の収入が保証されるので安心して育休を取得できる

 

デメリット

企業側のデメリット

  • 育児休業取得者以外の従業員の仕事の負担が増える可能性がある
  • 育児休業取得者の代替要員を確保しなければならないことがある

 

従業員側のデメリット

  • 育児休業中の給与が無給になる企業では家計全体の収入が減る
  • 育児休業取得後の出世に影響するのではという懸念がある
  • 情報共有システムがない場合、これまで職場で得ていた社内情報や業界情報が得づらくなり、情報弱者になる

 

Q. 男性版産休制度に際して企業が行うべきこととは?

企業が従業員が育児休業の申し出や取得をしやすい雇用環境を整備することが義務化されています。そのために企業が行うべきことについて、ここでは3つ紹介します。

 

男性版産休制度をすべての従業員へ説明する

すべての従業員が育児休暇に対して理解し、対象者が気兼ねなく育児休業を取得できるような職場の雰囲気づくりが求められます。例えば、制度を説明する研修の開催や制度取得についての相談窓口の設置なども有効です。

 

対象者へ育児休業の情報を提供し取得を促進する

法改正により、これまでは努力義務であった育児休暇取得対象者への制度についての説明と、取得するかどうかの意向確認が義務化されました。

情報を提供し取得の意向を確認する方法としては、面談で制度の説明を行うことや書面で情報提供および確認することなどが挙げられます。

 

育児休業の取得状況を公表する

従業員が1,000人超の企業は、育児休業などの取得状況を公表することが義務付けられています。

具体的には、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」が想定されています。施行日は、2023年4月1日となっています。

 

 

今回は男性版産休(出生児育児休業)について解説しました。エンワールドは、企業のグローバル人材に関する採用課題をあらゆる方面からサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

 

 

その他のおすすめ記事情報

自社に合った優秀な人材を採用するために「面接」で大切なこと

自社に合った優秀な人材を採用するために「面接」で大切なこと

企業の成長や発展のために自社で活躍してくれる優秀な人材を獲得するためには、採用面接...

【人事用語FAQ】心理的安全性とは

【人事用語FAQ】心理的安全性とは

2015年にGoogleが「チームのパフォーマンスを向上させるためには心理的安全性...

【人事用語FAQ】リファレンスチェックとは

【人事用語FAQ】リファレンスチェックとは

外資系企業の中途採用でよく実施される「リファレンスチェック」。 人材の採用を判断す...

一覧へ戻る

グローバル人材に関する採用課題を解決します

外資系・日系グローバル企業のハイクラス転職ならエンワールド

エンワールド・ジャパンホワイトペーパー2022

業界・職種に特化した専門の採用コンサルタントによる「採用に成功している企業の特徴と成功要因」/グローバル人材1,100名を対象「転職意識・面接実態調査」/求職者の転職のきっかけ、企業選びの傾向/業界・職種別最新給与調査表

ダウンロード