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「VUCA(ブーカ)」とは、将来の予測が困難な状況である時代の特徴をとらえた言葉です。
今回は、VUCAとはそもそも何か、VUCA時代といわれる現代の企業・人事のあるべき姿や人材育成のポイントをFAQ形式で解説します。
VUCAとは?
VUCAは、次の4つの単語の頭文字をとった造語です。
- Volatility(変動性)
- Uncertainty(不確実性)
- Complexity(複雑性)
- Ambiguity(曖昧性)
VUCAとは、さまざまな物事が目まぐるしく変化する現代社会やビジネス環境を指す言葉で、未来の予測が難しい状況のことをいいます。
元々はアメリカの軍事用語で、2001年9月のアメリカ同時多発テロ事件以降、敵・中枢が誰なのか、また、何が勝利なのかもわからない、法則性のない戦争を行わなければならなくなった状態をVUCAと呼ぶようになりました。
現在は、ビジネスにおいても予測しづらい状況を表す言葉として使われています。
なぜVUCAの時代になったのか?
2016年に開催された「世界経済フォーラム(ダボス会議)」や国際経営開発研究所主催の講演で「VUCAワールド」という言葉が多く使われたことにより、現代は「VUCAの時代」だと広く認識されるようになりました。
VUCAの時代と言われる背景には、技術の急速な発展やビジネスのグローバル化、あるいは新型コロナウイルス感染拡大など、想定外に変わりゆく現状や不確実な未来に直面していることがあげられます。
また、ネットをはじめとする膨大な量の情報から、その時々の正確な情報を全て把握することは極めて困難であり、このことからもVUCAの時代にあるといえるでしょう。
VUCAの時代に企業が求められることとは?
ここでは、企業がVUCAの時代を生き抜くために求められる主なポイントを説明します。
人材マネジメントの変革
多様な価値観を持つ人材を社内に確保し活用するためには、終身雇用を前提とした長期的・安定的な雇用システムや新卒一括採用といったこれまでの方法から、多様な価値観やバックグラウンドを持つ人が活躍できるような雇用システムへ、人材マネジメントの変革を行う必要があります。
ステークホルダーへの積極的な発信と対話
VUCAの時代には、さまざまな立場の人々の知恵や意見を取り入れる必要があるため、経営陣は、「社員」「資本市場」「労働市場」といったステークホルダーに対し、積極的に経営戦略を情報発信し対話を重ねていくことが大切です。
テクノロジーを活用する
データやデジタルテクノロジーを活用し、ビジネスの効率化や事業拡大のスピードアップを図ることで、社会の変化に素早く対応できるようにすることも重要です。
アジャイル経営・開発をめざす
小さなサイクルで何回も回しながら進めるアジャイル経営・開発を行うことで、柔軟性やスピード感を持ち、変化に合わせて方針を軌道修正することが可能となります。
VUCA時代における人事のあるべき姿とは?
先ほど説明したように、VUCA時代では企業における人材マネジメントの刷新が求められます。多様な人材が活躍できる組織作りを行うために、人事には例えば次のようなマネジメントの導入の検討が求められます。
- 職務やスキルに応じた柔軟な人事制度の構築
- 新しいビジネスを推進するための従業員の再教育
- 自律的なキャリア支援施策
また、VUCA時代に適応できるような従業員の育成や組織作りを目指すため、人事として次のようなスキル向上の方策を検討し実施することも大切です。
- 情報収集力と処理能力
- 迅速な意思決定力
- 柔軟な思考で臨機応変に対応する能力
- 多様性を受け入れるコミュニケーション力
- 課題を発見し問題を解決する力
VUCA時代に適応できる人材を育成するためには?
VUCA時代に適応できる人材を実際に育成するためには、OODAループと呼ばれる意思決定のフレームワークを利用することが有効です。
「OODA(ウーダ)ループ」とは、緊急事態に直面した際に次のような意思決定過程を繰り返すことで善処していくという考え方です。
- Observe(観察)
- Orient(適応)
- Decide(決断)
- Act(行動)
OODAループには前述したVUCA時代に身につけたいスキルの要素が各段階に盛り込まれています。そのため、一つひとつのスキルを個別に習得するために時間をかけなくても、OODAループの意思決定を習得することで、VUCA時代に適応した迅速な判断ができるようになるでしょう。
今回はVUCAについて解説しました。エンワールドは、企業のグローバル人材に関する採用課題をあらゆる方面からサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。