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心理学において「回復力」を表すレジリエンスは、ビジネスにおいて必要性の高い能力として注目されています。
この記事では、レジリエンスとは何か、その必要性と高めるための方法についてFAQ形式で解説します。
Q. レジリエンスとはどういう意味?
レジリエンス(resilience)という言葉は、「回復力」や「弾性(しなやかさ)」を意味します。仕事をする上でレジリエンスがあると言われる人は、心が折れそうになる難しい問題や危機的な状況、ストレスに遭遇した場合も、それらに順応していく適応力やそれらを撥ね返す回復力を持つ人のことをいいます。
Q. レジリエンスの構成要素は?
レジリエンス研究の第一人者といわれるアメリカの心理学者ライビッチ博士によると、レジリエンスは8つの要素で構成されます。
そのうち2つは、「生物学的要素(遺伝子)」や「ポジティブな社会制度(家族、コミュニティー、組織)」という先天的な要素で、その他、個人が後天的に育むことのできる6つの要素は次の通りです。
1. 自己認識
自身の感情・思考に加え、強みや弱み、人生の目標や価値観などを常に正しく認識すること
2. 自制心
状況や環境変化に応じて自身の感情や思考、行動を制御すること
3. 精神的敏捷性
物事を冷静に大きな観点から多面的に捉え、迅速かつ適切に対処すること
4. 楽観性
自ら未来をより良くすることができるという確信を持つこと
5. 自己効力感
自分には問題を解決したり、外部の世界をコントロールしたりできるという自信を持つこと
6. つながり
逆境にぶつかった際などに助け支えてくれるような信頼関係を他者と築き、それを維持していくこと
Q. レジリエンスが高い人の特徴は?
レジリエンスが高い人には、例えば次のような特徴があります。
- 柔軟性の高い思考ができる
- 自身の感情をコントロールでき、落ち込むことがあった場合も回復できる
- 自身の力を過小評価せず、尊大な構えを持つことができる
- 困難や失敗に直面しても楽観的にポジティブに捉えることができる
- 恐れず挑戦し続けることができる
Q. なぜレジリエンスが必要なのか?
企業にとってレジリエンスが必要であるとされる理由は、従業員一人ひとりや企業のレジリエンスが高まることで、次のような効果が期待できるからです。
- 不測の事態にも臨機応変に対応することができるようになる
- 自己肯定感が高まり、自信や責任を持って判断や主張ができるようになる
- 精神疲労や疲労蓄積によって長期的に落ち組むことのないストレス耐性がつく
- 困難な課題や複雑な案件にも取り組むことができる目標達成の力が高まる
- 突如として起きる危機にも一丸となって取り組めるような組織の強化ができる
Q. レジリエンスの鍛え方は?
企業を存続させるためには、従業員一人ひとりのレジリエンスを高めると共に企業そのもののレジリエンスを高めることも重要です。次にそれぞれの鍛え方の例を紹介します。
企業におけるレジリエンスの鍛え方
企業のレジリエンスを鍛えるには、次のような方法があります。
- 俯瞰的に捉え、将来起こりうる複数の長期的な戦略を立てる手法である「シナリオプランニング」を用い、どのシナリオになったとしても迅速に対応できる体制設備を準備する
- レジリエンスをよく理解している講師を迎え社員に対する研修を行う
- 従業員が精神的に安定して働くことができる、コミュニケーションの活発な職場を作る
- 失敗してもフォローしてもらえるなど、どの立場の従業員もチャレンジしやすい環境を作る
- 従業員が辛いことがあったり立ち直れなくなったりした場合に備え、匿名などで気軽に相談できる窓口を設置する
従業員一人ひとりのレジリエンスの鍛え方
従業員一人ひとりのレジリエンスの鍛え方の例は次の通りです。従業員それぞれのタイプに合った方法から始められるようにすると良いでしょう。
- 乗り越えてきた経験や落ち込むような経験の過去を振り返り、パターンを踏まえておく
- 自身の思考の癖を理解し、良くない自身の感情もコントロールできるようにする
- 思考パターンを否定的から肯定的なものに変える感情コントロールの心理療法である「ABCED理論」を利用する
- 成功体験を書き出し視覚化することで、困難を乗り越えるヒントを得る
- 成功をイメージしやすいようロールモデルを見つける
- 些細なことでも自身の強みを探し、その良さを伸ばしていく
- 困難時も落ち着けるよう呼吸法を意識する
今回はレジリエンスについて解説しました。エンワールドは、企業のグローバル人材に関する採用課題をあらゆる方面からサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。