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プロジェクトマネジメント能力があることを客観的に証明できるPMPは、業種や職種を問わずに役立つ注目の資格です。また、PMPは世界共通の資格であることから、取得することで将来グローバルに活躍できる可能性が高まります。
当記事では、PMP資格の概要や難易度、取得するメリットなどを詳しく解説します。受験を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
PMP(Project Management Professional)とは
PMP(Project Management Professional)とは、プロジェクトマネジメントの専門家であることを証明する国際的な資格です。ここからは、PMPへの理解を深めるために、PMPの詳細について詳しく見ていきましょう。
プロジェクトマネジメント能力の証明資格
PMP(Project Management Professional)とは、米国のプロジェクトマネジメント協会が「PMBOKガイド」と呼ばれるプロジェクトマネジメントのガイドブックに基づいて認定する国際資格です。
そもそもプロジェクトマネジメントとは、ひとつのプロジェクトを成功へ導くために、計画〜完了までの全ての過程をトータルで管理する業務を指します。
チームの人材管理や商品の品質管理、コスト管理やスケジュール管理など、多様なジャンルの管理能力が問われるため、プロジェクトマネジメント業務を円滑に遂行するには、高いマネジメント力や統率力を保有している必要があります。
PMPはそれらの能力を保有していることを客観的に証明できる専門性の高い資格であるため、業界や業種を問わず、多くの企業がPMPの有資格者を重宝しています。
「PMPは意味ない」といわれる理由
人によっては「PMPを取得しても意味ない」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。このようなネガティブな情報を耳にすると、PMPを本当に取得すべきか悩む方もいるでしょう。
「PMPは意味ない」といわれる理由のひとつとして、PMPが特定の業界や職種に特化した資格ではないということが挙げられます。弁護士や税理士のように、特定の資格を保有していなければ就くことができない仕事がある一方で、PMPはあくまでもプロジェクトマネジメントという汎用性の高い分野に関する専門資格です。
資格を取得したからといって一定の仕事へ就職できることが確約されるものではないため、なかにはPMPの必要性をあまり感じられない方がいるのも事実です。
しかし、上述したように、PMPはプロジェクトマネジメントの分野においては非常に専門性が高く、国際的にも評価されている資格です。働く業界や業種によっては別途専門知識が求められることもありますが、PMPを取得するうえで得た知識や経験とうまくかけ合わせれば、PMPは業界・職種を問わずに非常に実用性が高い資格であるといえます。
PMPと混同しやすい2つの用語
ここでは、PMPと混同しやすい2つの用語について解説します。
PMIとは
PMI(Project Management Institute)とは、1969年に設立された米国のプロジェクトマネジメント組織です。PMPを始めとする資格の認定や、標準策定、イベント開催などの活動をとおして、プロジェクトマネジメントの発展と普及を行っています。
PMIは、世界80ヵ国以上の300を超えるボランティア主導の支部で構成されており、世界中に広がりを見せています。
1998年にはPMI東京支部が発足し、2009年に一般社団法人PMI日本支部と改称されました。2025年現在、PMI日本支部には6,500人以上の会員が所属しています。
参考:Master, scale and transform with AI|© Project Management Institute, Inc.
プロジェクトマネージャ試験とは
PMP以外にもプロジェクトマネジメントに関する資格は複数ありますが、なかでも広く認知されているのは国家資格である「プロジェクトマネージャ試験」です。
プロジェクトマネージャ試験は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する試験であり、主にシステム開発プロジェクトにおいてプロジェクトマネジメント業務を行う方を対象としています。
そのため、PMPよりもITの専門的な知識が必要とされ、基本的にはIT関連の仕事をしている方に適した資格といえます。
また、受験資格が設けられておらず、かかる費用は受験料の7,500円であるため、PMPよりも比較的気軽に挑戦しやすい点が魅力です。
ただし、プロジェクトマネージャ試験よりもPMPのほうが世界的な知名度が高いため、国際的に活躍したい方はPMP資格の取得をおすすめします。
PMPの資格を取得する6つのメリット
ここでは、PMPを取得する6つのメリットを紹介します。
スキルアップにつながる
PMP取得の過程ではプロジェクトマネジメントの体系的な仕事の進め方を学ぶため、資格取得することが自身のスキルアップにつながります。
スキルアップすることで、多くの方がより円滑にプロジェクトマネジメント業務を進められるようになるでしょう。また、PMPで得た知識をチームメンバーに共有することで、チーム全体のスキルの底上げができます。
キャリアアップにつながる
PMPは将来的なキャリアアップにつながる可能性が高い資格です。
PMPを日本で取得している方は2025年1月末時点で48,811人しかおらず、有資格者の希少価値は非常に高いといえます。
PMPを保有していることは、グローバルに活躍できるレベルの専門性の高いスキルを持っていることの証明であるため、自身の希望次第で今後さらに裁量権のある仕事に挑戦しやすくなるでしょう。
参考:PMI日本支部 ニューズレター vol.102(2025年 春号)P.11|一般社団法人PMI日本支部
業務効率化につながる
PMPの資格取得は、業務効率化にも直結します。
PMPの資格取得過程で得た知識や経験を活かすことで、プロジェクトの進行管理をよりスムーズに行えるようになるため、不要な時間コストや人的コストを削減しやすくなります。
効率的にプロジェクトが進行することで、チームのモチベーションや企業側からの評価も上がる可能性があるでしょう。
年収アップの可能性がある
上述したように、日本国内におけるPMPの有資格は少数であるため、資格を取得することで自身の希少価値が高まり、年収アップを狙いやすくなります。
PMIが公表している「Earning Power Project Management Salary Survey Twelfth Edition」によると、日本のPMP取得者の平均年収は約1,072万円(1ドル=146円換算)です。
あくまでも平均年収であるため、企業やポジションによっても差が生じるものではありますが、比較的高年収であることがわかります。
人脈が広がる
PMPを取得するには、公式の研修を受けなければなりません。取得後は勉強会やセミナーに参加する機会が頻繁にあり、社外のプロジェクトマネージャーと顔を合わせる機会も生じるため、PMPを取得することで効率的に人脈を広げられます。
研修やセミナーなどで出会った方と親交を深めれば、仕事に役立つ情報を交換できるだけでなく、新たなビジネスチャンスを獲得できる可能性もあります。
転職時に有利になる
プロジェクトマネージャーの需要は近年一層高まっており、なかでもPMPの取得者は貴重な人材として扱われます。
特に外資系企業・日系グローバル企業はPMPの有資格者を積極的に採用しようとする動きが強く、なかには中途採用の条件にPMP取得を掲げている企業も見られます。
そのため、将来グローバルに活躍したいと考えている方は、国際的に認知されているPMPを取得することで、他の転職希望者と差別化を図りやすくなり、理想の転職を実現しやすくなるでしょう。
PMPの資格取得難易度と合格率
ここでは、PMPの資格取得難易度と合格率について解説します。

取得難易度は高め
PMPの合格率は非公開ですが、比較的取得難易度が高い資格であることは事実です。グローバルスタンダードのプロジェクトマネジメントの知識を幅広く問われるほか、各項目に対する深い理解が求められます。
また、PMP試験の設問には機械翻訳された日本語が用いられており、これもPMP取得の難易度を高めている要因のひとつです。問題を正しく読み取るにはPMP試験ならではの癖のある日本語に慣れておく必要があるため、繰り返し問題を解く、頻出する用語は丸暗記しておくなどの対策をしておきましょう。
PMPの合格ラインは60%
PMP試験は合格率と同様に合格ラインも公表されていませんが、合格者のスコアレポートの多くは正解率が60%台であるというデータがあります。
そのため、PMP試験に合格するには、60%以上の正答率を目指すことをひとつのボーダーラインとして考えるとよいかもしれません。
出題される180問のうち5問は予備問題であるため、残りの175問中105問を上回る正解数が必要です。問題そのものの難易度も高いため、正答率60%を目指すにはそれ相応の努力が必要といえます。
PMPの受験資格
PMPを受験するには、プロジェクトマネジメントの実務経験と研修の受講が必要です。
ここでは、具体的にどのような条件が設けられているのかを解説します。
プロジェクトマネジメントの実務経験
PMPを受験するには、プロジェクトマネジメントの実務経験が必要です。求められる実務経験は、最終学歴によって以下のように定められています。
最終学歴 |
プロジェクトマネジメント経験 |
大学院卒業あるいは相当する資格 |
24ヵ月 |
4年生大学卒業あるいは相当する資格 |
36ヵ月 |
高校卒業あるいは相当する資格 |
60ヵ月 |
このように、受験するにはプロジェクトマネジメントの実務経験が長期間必要となります。
実務経験の内容自体は問われず、明確な始まりと成果があるものと定められています。ただし、試験の申し込みから8年以内の実務経験しか認められない点には注意しましょう。
参考:Project Management Professional(PMP)® 試験内容の概要 – 2021年1月 P.11|PMI
35時間の公式なプロジェクトマネジメント研修の受講
PMPを受けるためには、35時間の公式なプロジェクトマネジメントの研修を受講しなければなりません。
プロジェクトマネジメントの公式な研修とは、自習やPMI支部のミーティングを含まない以下のようなプログラムを指します。
- E.P.(PMI認定教育プロバイダー)による研修
- PMI認定教育研修主催のプログラム
- 大学が行う教育プログラム
- 企業が行う研修プログラム
- e-learningなどのE.P.以外の研修会社もしくはコンサルタントが行うプログラム
これらのプログラムを、申請日までに修了していることが受験の条件です。
そして、研修名や研修を受けた場所、研修日、時間数などを、研修内容の資料をもとにして、受験申請書に記入する必要があります。研修に関する資料は監査に備えて、念のため保管しておきましょう。
参考:Project Management Professional(PMP)® 試験内容の概要 – 2021年1月 P.11|PMI
PMP取得の流れ・試験内容・試験日程
ここでは、PMPを取得するまでの主な流れや試験内容、試験日程について紹介します。
取得の流れ
PMPを取得する流れは、以下のとおりです。
- PMIサイトでアカウントを作成する
- PMIサイトで職務履歴などの申請書を作成する
- PMIサイトでPM研修を35時間受講する
- PMIが申請書の内容完成度をレビューする
- 受験料支払いメールに対応する
- 申し込み内容書でIDや有効期限を確認する
- 試験を予約して受験する
- 合格後に3年の間に60PDU(勉強時間を表す単位)を取得し、PMIサイトにログインして登録する
PMPの取得は7番目までのステップで完了しますが、資格を維持するためには3年間で60PDUを取得し、更新が必要です。
1PDU=1時間に相当するため、3年間で60時間はプロジェクトマネジメントに関する学習をしなければなりません。更新期限の直前で慌てないためにも、計画的にPDUを取得しましょう。
試験内容
PMPの試験は「人」「プロセス」「ビジネス環境」の3つの領域で構成されており、それぞれ以下の割合で出題されます。
領域 |
テスト項目の割合 |
I.人 |
42% |
II.プロセス |
50% |
III. ビジネス環境 |
8% |
試験は180問出題されますが、そのうち5問は予備問題です。予備問題は点数に影響せず、残りの175問で合否が判定されます。
試験時間は230分で、試験中の休憩は2回です。1回目の休憩は問題1〜60が終わったときに、2回目の休憩は問題120まで終わったタイミングです。
参考:Project Management Professional(PMP)® 試験内容の概要 – 2021年1月 P.2、15|PMI
試験日程
PMPの試験は1年間の受験期間が与えられ、受験者はこの期間内に合格しなければいけません。期間中3回まで試験を受けられますが、いずれも不合格だった場合は、最後の受験日から1年経過しなければ次の資格認定を申請できません。
試験は、試験会場もしくはオンラインでの受講を選べます。試験会場で受ける場合は、ピアソンVUEの公式サイトでテストセンターごとに検索すると受験できる日が表示されます。空き枠さえあれば、平日や土日に関係なくほとんど毎日受験可能です。
オンライン試験は月に2回実施されます。ご自身のパソコンを使って試験を行うので、オンライン試験のサイトから模擬試験を実施し、ネットワークに問題がないかをチェックしましょう。
PMPを取得するための費用
ここでは、PMPを取得するための費用について解説します。
研修受講費用
試験を受けるために必要な研修受講費用は、受講方法によって幅があります。チューターがついているものや初級コースではなく、上級コースを受講すると費用は割高になる傾向にあります。
e-learningだと10,000〜45,000円程度、講座受講であれば100,000〜300,000円程度かかると考えておきましょう。
受験費用
PMPの受験料はPMI会員か非会員かで異なり、金額はそれぞれ以下のとおりです。
受験回数 |
PMI会員の受験料 |
非会員の受験料 |
1回目 |
405ドル(59,130円) |
655ドル(95,630円) |
2〜3回目 |
275ドル(40,150円) |
375ドル(54,750円) |
※( )内は日本円換算の金額(2025年4月現在:1ドル=146円)
PMI会員のほうが受験費用は割安になるので、気になる方はPMI会員への登録をおすすめします。ただし、PMI会員になるには会費が必要で、初年度であれば合計149ドルかかる点に留意が必要です。
- 入会費:10ドル
- 本部年会費:139ドル
別途50ドルを支払ってPMI日本支部に登録することもできますが、本支部の登録だけでも受験料の割引は受けられます。
日本支部に登録しない場合であれば、試験回数を問わずPMI会員のほうが合格時の支払い額が少なくなります。
参考:PMI ® Certifications|© Project Management Institute, Inc.
取得した後にかかる費用
上述のとおり、PMI会員になっている場合は、本部139ドル・日本支部50ドルの年会費がかかります。このほか、PMP試験は合格後も3年ごとに資格を更新する必要があり、具体的な更新費用は以下のとおりです。
- PMI会員:60ドル
- 非会員:150ドル
また、PMI日本支部の会員になると、受験料や公式参考書の料金の割引を受けることも可能です。
PMBOKガイド内に記載のあるデータのダウンロード権限が得られる、日本支部主催のセミナー受講費の割引を受けられるなどの特典もあるため、入会を検討する際の参考にしてください。
参考:Continuing Certification Requirements (CCR) Handbook|© Project Management
PMPの勉強方法
ここでは、PMPの2つの勉強方法について解説します。
PMBOKガイドを活用する
PMPの効率的な勉強方法として、PMIが発行している公式の参考書「PMBOKガイド」の活用が挙げられます。
PMP試験は、PMBOKガイドをベースに作成されており、問題の約3割がテキストから出題されるといわれています。
ただし、ひととおり目を通した程度で理解できる内容ではありません。PMBOKガイドを完全にインプット・アウトプットできるレベルに到達するには、少なくとも3周程度の読み込みが必要です。
また、出題頻度の高い「スコープ管理」「スケジュール管理」「コスト管理」の項目を重点的に学習することも重要なポイントです。実務で行っていたことと、経験から得た知識を照らし合わせながら理解を深めてください。
問題集を繰り返し解く
PMPは公式で過去問が公表されていないため、問題集を活用する必要があります。
1度目は概要を把握し、2度目からはインプット・アウトプットできる段階に持っていきましょう。
以下の表ではおすすめの問題集と模擬試験が受けられるサイトをまとめているので、ぜひ
問題集・サイト |
特徴 |
・PKBOKガイドをもとに必要な情報がまとまっている ・分野ごとに演習問題と解説がある ・模擬試験を受けられる |
|
・著者がPMBOKガイド日本語版監訳を務めている ・試験の手続きや学習プランがわかる ・模擬試験を受けられる |
|
・模擬試験が受けられるPMIの有料サイト ・Google翻訳することで実際の試験のような日本語に触れられる ・ミニ模擬試験で短時間の学習にも対応している |
PMPを活かせる業界・職種例
ここでは、PMPを活かせる業界・職種例を紹介します。
IT業界
IT業界は、PMPホルダーの需要が非常に高い業界です。
大規模なシステム開発プロジェクトにおいては、PMP有資格者の専門性の高い知識とスキルが求められます。なかでも、プロジェクトマネージャー(PM)やITコンサルタントなどは、PMP取得の過程で得た知識を大いに活かせる職種といえます。
PMPの専門知識を活かせば、システム開発からプロジェクト管理まで、幅広い視点でチーム全体へ的確なアドバイスができるため、早期のキャリアアップ・年収アップが狙える可能性が高いです。
建設業
建設業はインフラ整備や大型建築物の建設といった大規模なプロジェクトが日常的に行われている業界なので、PMPの有資格者はプロジェクトマネジメントの専門家として重宝される傾向にあります。
建設コンサルタントや建設プロジェクトマネージャーとしてキャリアアップを目指したい方の場合、PMP有資格者としての専門性の高い知識を実務に活かせる機会が多くあるでしょう。
金融業界
プロジェクトの品質管理や、コンプライアンス体制の規制対応が重視される金融業界では、PMPの知識とスキルが求められる機会が頻繁にあります。
PMP有資格者ならではの体系的なプロジェクト管理能力と、金融業界に特化した知識をかけ合わせることで、厳格さが求められる金融業界でも、ビジネスの発展につながるような高い成果を挙げられます。
特に、高いコンプライアンス知識やIT理解力が求められるリスク管理プロフェッショナルや金融系システムエンジニアなどの職種では、PMP有資格者が重宝されます。
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PMPを取得することで、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルとして幅広い業界や職種で活躍できる可能性が高まります。
特に、外資系・日系グローバル企業では、国際的資格であるPMPの有資格者を求める企業が多くあります。将来的にグローバルに活躍したいと考えている方は、PMPの資格取得が、必ず自身のキャリア構築に役立つでしょう。
PMP取得後に外資系企業への転職を検討している方は、外資系・日系グローバル企業の転職に強い転職エージェントを利用してみてはいかがでしょうか。
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