海外での残業事情とは?|海外の残業に関する意識や法律を紹介

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2020.03.01
海外での残業事情とは?|海外の残業に関する意識や法律を紹介

海外勤務の可能性があるグローバル企業で働くことを目指して、就職や転職を検討している人の中には、残業について気になっている人もいることでしょう。
 
この記事では、さまざまな国の残業に対する意識、世界各国の残業代に関する扱いなどを解説します。海外勤務や、グローバル企業への転職を検討する際に参考にしてください。

海外での残業事情とは?日本との違いは?

海外での残業はどのようになっているのでしょうか。日本と海外での残業代に関する法律について解説します。

日本での残業の扱いとは?

日本では、労働基準法によって労働時間は週40時間、1日8時間と決められています。この基準を超えた労働時間のことを「法定時間外労働」といい、一般的に残業呼んでいます。

会社は残業に対して、1時間あたりの賃金に25%上乗せした賃金(残業代)を支払う義務が生じます。また、残業時間分の代休を取得した場合も、会社は従業員に対して上乗せ分の残業代を支払う義務があります

 

また、「時間外労働の限度に関する基準」が定められており、残業は月45時間、年間360時間までが上限です。つまりこれを超える残業は違法となります。

 

ユーロ圏での残業の扱いとは?

ここでは、ユーロ圏内における、各国の残業の扱いについて紹介します。

ドイツ

ドイツでは、1日10時間以上働くことが法律で禁じられています。一方で、ドイツには、残業代に対してはする法的な規定がありません。代わりに「労働時間貯蓄制度」という仕組みが採用されており、残業時間を貯めて有給休暇として消化することができます。

また、残業代が支払われる場合は、平日2時間の残業までは25%、2時間を超えると50%、土日曜祝日は100%上乗せの割増賃金が支払われるのが一般的になっているようですます。

 

イギリス・アイルランド

イギリス・アイルランドの労働時間は、任意となる残業時間を含めて全体で週48時間となっています。

イギリスの残業代は、平日50%、土日祝日100%上乗せの割増賃金が支払われるのが一般的のよです。アイルランドもイギリスと同様の慣習となっているようです。 また企業によっては、残業分を休暇に振り替えて支給するところもあります。

 

ベルギー

ベルギーの労働時間は、1日8時間・週40時間です。また残業代は、平日50%、土日祝日は100%上乗せの割増賃金となります。会社は残業に対して、残業代で支払うか代休を取得させるかが選択できます。

 

オランダ

オランダの労働時間は、原則として1日12時間・週60時間が上限とされています。ただし、オランダは年間労働時間が最も短い国のひとつとして有名です。

また、残業代に関する法的規定はありません。残業代はドイツとほぼ同じように支払われるようですが、オランダでは土曜日は50%の上乗せとなります。

 

スウェーデン

スウェーデンの労働時間は、週40時間となっており、残業は月48時間・年間200時間です。この国にも、残業代に関する法的規定はありません。平日20時までは50%、それ以降は70%、土日祝日は100%の上乗せ賃金となるのが一般的なようです

 

フィンランド

フィンランドの労働時間は、1日8時間・週40時間で、残業は年間250時間までです。残業代は、平日2時間まで50%、それ以降は100%上乗せの割増賃金が支払われます。また、土日祝日も100%上乗せです。残業を支払わない場合は、それに見合う労働時間を休むこともできます。

 

イタリア

イタリアの労働時間は週40時間で、残業は年間250時間までです。また、イタリアの残業代は、週41〜48時間までは15%、それ48時間を超えると20%、土日祝日は30%上乗せの割増賃金が支払われます。

 

フランス

フランスの労働時間は、週35時間であり、1週間に6日を超える労働は禁じられています。そのため、週35時間を超えて勤務した分が残業時間となります。

残業代は、企業内、業種別の労働協約により、10%以上の割り増し賃金率を自由に規定でき、労働協約がない場合は週8時間まで25%、それを超えると50%上乗せの割増賃金が支払われるのが一般的のようです

ただし、年間の労働時間1607時間と決められており、残業枠を超える場合は、会社は割増賃金を支払う他に法定代休を与える義務があります。

 

オーストリア

オーストリアの労働時間は、1日8時間・週40時間です。それを超過する労働に対し、会社は残業代を支払う義務があります。ちなみに、平日は50%、土日祝日は100%上乗せの割増賃金が支払われます。

 

ハンガリー

ハンガリーの労働時間は、1日8時間・週40時間です。ハンガリーでは残業に対し、一律50%上乗せの割増賃金が支払われます。

 

ポーランド

ポーランドの労働時間は、1日8時間・週40時間と労働法典で定められています。また、残業の上限は150時間となっています。ポーランドでは残業に対し、平日は50%、土日祝日は100%上乗せの割増賃金が支払われます。また、日曜や休日の労働に対しては、振替休日を取得することも可能です。

 

ルーマニア

ルーマニアの労働時間は、1日8時間・週40時間となっており、残業を含めた全体の労働時間は週48時間が上限とされています。また、残業は30日以内に代休を取ることで相殺するのが基本となっています。それが難しい場合のみ、75%上乗せの割増賃金が支払われます。

 

アメリカでの残業の扱いとは?

アメリカでは、従業員が週40時間を超えて労働した場合、超過分に対して基本の時給に50%上乗せした割増賃金を支払うことが公正労働基準法で定められています。しかし、「ホワイトカラー・エグゼンプション」という制度もあり、残業代の支払いがなくとも違法とならない場合もあります。

 

「ホワイトカラー・エグゼンプション」は、専門職や管理職などのホワイトカラー(頭脳労働者)を対象とした制度です。この制度が適応されている場合、給与は労働時間にかかわらず1年単位で決められる(年俸制)ため、残業という概念がありません。また、期待された結果を期限内に出せるのであれば、仕事を早めに切り上げることも可能です。

 

アジア諸国での残業の扱いとは?

アジア圏での残業の扱いについても解説します。

 

シンガポール

シンガポールの労働時間は、週5日勤務以下の場合は1日9時間・週44時間、また週6日勤務以上の場合は1日8時間・週44時間となっています。この時間を超えると残業となりますが、

月給が一定額を超える場合は、残業代を支払う義務は発生しません。

この額は、ホワイトカラー(頭脳労働者)2,500シンガポールドル(約20万円)、ブルーカラー(肉体労働者)は4,500シンガポールドル(約36万円)を超える場合となっています。

 

韓国

韓国では、日本と同様に1日8時間、週40時間を超える労働を残業といい、残業に対しては50%上乗せの割増賃金を支払うことになっています。ただし、2018年7月から残業時間の上限は週12時間までに引き下げられました

 

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海外での残業に対する意識とは?

海外で働く人たちは残業に対して、どのような意識を持っているのでしょうか。海外での残業に対する意識について解説します。

ドイツの場合

ドイツでも残業は発生します。しかし、 、ドイツにかかわらず外資系企業の多くは、各人の職務要件が明確になっているため、想定外の仕事などによって残業が増えることはないといえるでしょう

また、日本と同様に勤勉なイメージのあるドイツですが、実際の労働時間は日本ほど多くありません。有給休暇とは別で最大6週間まで有給の病気休暇の取得が可能だったりするなど、休暇制度も整っておりプライベート大切にできるようになっています。

 

アメリカの場合

残業が少なく仕事プライベート両方が尊重されるイメージのあるアメリカでは、「ジョブ・ディスクリプション制」によって定時退勤しやすいという環境があるようです。「ジョブ・ディスクリプション制」とは、企業が職務内容や目的を書面に記載することです。自分の職務が明確になっているため集中して仕事ができ、自分の仕事が終われば、帰ることができるといわれています。

 

スウェーデンの場合

世界に先駆けて、多くの企業が6時間労働を採用したことでも有名なスウェーデンは、税率こそ高いものの、手厚い社会保障が整っている影響もあってか、ワークライフバランスを重視する傾向が強い国だとされています。 

 

韓国の場合

韓国では、長時間労働が慢性化している傾向あります。そのため「改正勤労基準法」によって2018年7月から労働時間の上限が週68時間から週52時間へと引き下げられました。違反した企業に対する罰則も設けられたため、企業は残業時間削減に取り組んでいるようです

 

この動きにより、韓国で働く人たちの長時間労働が減り、就業後にスクールに通うなど、時間的余裕を持つ人が増えてきているようです。しかし、残業が減った分残業代が減るなどの問題が生じたため、韓国政府は最低賃金を2018年には16.4%、2019年には10.9%と2年連続で2桁引き上げました。そして、2021年7月には2022年の最低賃金を更に5.0%引き上げ引き上げることが決定しています。

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世界の残業に関するペナルティは?

従業員の残業に対して法規制されている国と、そうでない国がありますが、法規制されている国では、違反した場合にどのようなペナルティがあるのでしょうか。世界の残業に関するペナルティについて解説します。

日本の場合

日本では、2019年4月1日から順次「働き方改革関連法案」が施行され、時間外労働に対する上限規制が導入されました。違反(月45時間、年間360時間を超える残業)をした場合、原則として労働者ひとりあたり「6ヶ月以下の懲役」または「30万円以下の罰金」が企業に科される可能性があります。

 

また、罰則を受けた企業は、懲役や罰金のほかに、厚生労働省によって企業名が公表されることになり、企業のイメージダウンにつながる恐れがあります。

 

ドイツの場合

ドイツには日本と同様の法律があり、労働時間は原則として1日8時間労働までです。ただし、6ヶ月または24週以内の労働時間が1日あたり平均8時間を超えない場合は、1日10時間まで延長できると定められています。これに違反すると、経営者は「最高1万5000ユーロの罰金」もしくは「最高1年間の禁固刑」を科されることになります。

 

アメリカの場合

アメリカにも日本と同様の法律があります。企業が従業員(ホワイトカラー・エグゼンプションや農業・水産業の被用者、船員などをのぞく)に対して週40時間を超える労働をさせたにもかかわらず、故意に割増賃金を支払わなかった場合は、「1万ドル以下の罰金」または「6ヶ月以下の禁固」、またはその両方が科されます。

 

イギリスの場合

イギリスでは、残業時間を含む週48時間(任意の17週間における平均)までの勤務を法定時間と定めています。48時間を超える労働が生じた場合、違反があった日から3ヶ月以内に、労働者は補償の判断を求めて雇用審判所に救済を申し立てることができ、有罪となった場合は罰金刑や禁固刑などが科されます。

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まとめ

国内の企業に比べて残業が少ないイメージがある外資系企業・日系グローバル企業ですが、実際には残業の取り扱いや残業に対する意識は国により異なります。自分にあった働き方ができる国を選べるよう、就職や転職をする際の参考にしてください。

 

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