アメリカなど、海外で働くエンジニアにとってプロフェッショナルエンジニア(PE)は必須の資格とされています。日本においても、エンジニアとしてのスキルを証明できるほか、就職や転職の際にも有利となるとされ、取得する人も多いです。
この記事では、プロフェッショナルエンジニアとは何か、資格取得のメリットや取得するまでの流れ、最新の試験概要についても詳しく紹介します。プロフェッショナルエンジニアの資格取得を目指している方はぜひ参考にしてみてください。
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■プロフェッショナルエンジニア(PE)とは
プロフェッショナルエンジニア(PE=Professional Engineer)は、 「公共の安全・健康・福祉に奉仕する」ことを目的に、アメリカ各州が設けるエンジニアの公的資格です。NCEES(全米試験協議会)が試験を実施しており、日本では内閣府認定の特別非営利活動法人JPEC(日本PE・FE試験協議会)が試験を行っています。
現在アメリカでは、65万人がプロフェッショナルエンジニアとして活躍しており、アメリカだけでなくヨーロッパでも社会的評価の高い資格となっています。
| プロフェッショナルエンジニア(PE)が活かせる職場
プロフェッショナルエンジニアの資格が活かせる職場には、次のようなものがあります。
・プラントエンジニアリング会社
・ゼネコン
・原子力関係会社
・鉄鋼、化学、機械などのメーカー
・研究所
海外でのプロジェクトを担当する際に必要になる可能性があるため、日本では、海外勤務の多い会社や外資系企業などでも資格を活かせるでしょう。
■プロフェッショナルエンジニア(PE)を取得するメリット
プロフェッショナルエンジニアの資格を取得するメリットを以下で解説します。
☑ 世界で通用するエンジニア資格
プロフェッショナルエンジニア資格は、100年以上の歴史がある資格で、世界的に高い認知度があります。エンジニアとして一定以上の専門知識や能力を持っていることを証明でき、世界で活躍するエンジニアになるためには必須といえるでしょう。
☑ アメリカでは業務独占資格である
アメリカの多くの州では、民間業務において技術諮問や技術役務、契約、設計図、仕様書の提出などに携わる場合はプロフェッショナルエンジニアの資格が必要とされており、事実上の業務独占資格となっています。アメリカでエンジニアとして働くことを考えているなら、資格取得は必須です。
☑ 英語の能力をアピールできる
アメリカ以外の場所でプロフェッショナルエンジニア資格試験を受験する場合も試験は英語で行われます。そのため、この資格によって、一定以上の英語力があり、実務を英語で行えることを客観的に証明できます。
☑ 就職・転職活動の際に有利になる
日本では、プロフェッショナルエンジニア資格を有している人が少ないため、海外展開している企業へ就職・転職する際に有利になります。また、工学系大学の4年生などが一次試験に合格していれば、就職の際に技術者としての知識や英語力をアピールすることもできます。
■プロフェッショナルエンジニア(PE)取得までの流れ
プロフェッショナルエンジニアの資格を取得するまでの流れを紹介します。「日本で受験する場合」と「アメリカで受験する場合」に分けて解説しますので、参考にしてください。
| 日本で受験する場合
日本で受験する場合の流れは次のとおりです。
1)受験資格を確認する
日本で受験するためには、国内に在住している必要があります。そのほかの受験資格については、後半で詳しく説明します。
2)FE試験(一次試験)を受験
まずは、FE試験を受けます。これに合格しなければPE試験を受験できません。
3)PE試験(二次試験)を受験
PE試験を受験します。FE試験に合格すればすぐに受験できます。
4)ライセンス登録をする
PE試験に合格後、ライセンス登録をします。ライセンス登録はアメリカでしかできません。登録する州を決め、その州の資格登録局が求める要件を確認して登録申請します。
| アメリカで受験する場合
アメリカで受験する場合の流れは次のとおりです。
1)受験を申請する
アメリカで受験する場合、登録を希望する州の資格登録局へ受験申請を行います。
2)FE試験(一次試験)を受験
FE試験を受けて合格すると、PE試験の受験資格が得られます。
3)PE試験(二次試験)を受験
PE試験に合格すれば次のステップに進めます。
4)登録証が発行される
PE試験に合格後、4年以上の実務経験を積み指定のアンケートに回答すれば登録ができます。
■プロフェッショナルエンジニア(PE)試験の概要
合格率や受験資格、出願料、申し込みから合否までのスケジュールなど、プロフェッショナルエンジニア試験の概要を解説します。
| 合格率
過去2年(2016年・2017年)のFE試験、PE試験それぞれの受験者数・合格者数・合格率を見てみましょう。
合格率 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | |||
2017年 | FE試験 | 68.9% | 148 | 102 | |
PE試験 | 10月 | 67.3% | 49 | 33 | |
4月 | 62.6% | 37 | 23 | ||
2016年 | FE試験 | 73.7% | 179 | 132 | |
PE試験 |
10月 | 63.6% | 44 | 28 | |
4月 | 55.2% | 29 | 1 |
| 受験資格
日本でのFE試験・PE試験の受験資格は次のとおりです。
FE試験
FE試験を受験するためには、以下3つの条件を満たしている必要があります。
・日本に住んでいる(日本の年金番号がある)
・受験申請時に、アメリカか日本にある4年制の工学系大学を卒業した人、または4年生で卒業見込みの人
・Bachelor of EngineeringまたはBachelor of Science in Engineeringの学位を取得している
・アメリカもしくは日本の年金番号を持っている
上記のほか、日本またはアメリカのMaster of Engineering または Doctor of Engineeringの学位を取得している人も受験が可能です。
PE試験
・FE試験の受験資格を満たしている
・FE試験に合格している
以前は工学分野での実務経験4年も条件となっていましたが、2017年11月に廃止されました。ただし、アメリカでライセンス登録をする際には、一定の実務経験を求められることがほとんどです。
| 試験形式・科目
FE試験は、2014年より筆記試験からコンピュータを用いたCBT(Computer Base Test)形式に変更になりました。また、PE試験のうち「Chemical Engineering(化学)」と「Nuclear Engineering(原子力)」は2018年より、「Environmental(環境)」と「Petroleum(石油)」は2019年より、ペーパーテストからCBTに移行しています。
試験形式、科目については次のとおりです。試験形式、科目については次のとおりです。
科目 | 問題数 | 試験時間 | |
FE試験 |
工学一般(数学、化学、電気、静力学、動力学、 基礎学力の知識を問う試験です。 |
110問 | 6時間 (休憩・ガイダンスを除くと 5時間20分) |
PE試験 |
機械、化学、土木、環境、電気・電子・コンピュータ *農業、石油、原子力、 専門分野工学の実践を問う試験です。 *の科目は、試験が年1回のみ。 |
午前40問 午後40問 |
8時間 (午前4時間/午後4時間) |
| 出願料・受験料
FE試験・PE試験それぞれの出願料・受験料は次のとおりです。
【FE試験】
・出願料:一般22,000円/大学4年生・大学院生17,000円
・受験料:US $200
【PE試験】
・出願料:35,000円
・受験料:US $400
| 受験地
FE試験・PE試験それぞれの受験地は次のとおりです。
【FE試験】
大阪・東京
【PE試験】
東京
| スケジュール(申込・試験・合否)
FE試験・PE試験それぞれの、2019年の受験スケジュールを紹介します。
| FE試験
FE試験の受験スケジュールは次のとおりです。
申込受付期間
出願締め切りは、2月末・5月末・8月末・11月末です。受験予定日の1~2か月前までに申し込んでください。
試験日程
2014年にCBT試験が導入され、年間通して随意に選択可能になりました。2016年以降、すべての月に受験できるようになっています。
合格発表日程
合格発表は受験日の7~10日後です。
| PE試験
PE試験の受験スケジュールは次のとおりです。
申込受付期間
受験申し込みは5月上旬~7月31日(水)まで受け付けています。
試験日程
2019年の試験日は10月27日(日)です。
合格発表日程
合格発表は12月を予定しています。
■まとめ
プロフェッショナルエンジニア資格は、アメリカをはじめ、海外で働くエンジニアにとって必須の資格といえます。また、持っていることで外資系企業やグローバル企業へ転職する際に有利になるでしょう。外資系・グローバル企業への転職を成功させるには、事前の情報収集が大切です。業界・職種に精通した転職エージェントを利用するのがおすすめです。
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