今回のウェビナーではCode Chrysalis JapanからCEOのカニ・ムニダサさんと日本語プログラム事業責任者の新徳雅隆さんをお迎えし、「20XX年まで仕事に困らない 先端IT人材になる条件」をテーマにトークセッションを開催しました。 当日のウェビナーはYoutubeでご覧いただけます。
セッションでは、カニさんがファシリテーターとして問いかける質問に、それぞれの立場と経験を交えて答える形式でディスカッションしました。
Q1. 日本とシリコンバレーとの違いについて
シリコンバレーの現在はいずれやってくる日本の未来とも言えます。現在の両者の大きな違いは、日本ではIT機能は自分の会社で作らずにSIerに任せていますが、シリコンバレーでは基本的に自分たちで作るのが一般的だということです。
シリコンバレーの場合
- IT開発はアジャイルで作るのが一般的。ソフトウェア開発手法というだけではなく、いろいろな人を巻き込むという意味でのアジャイルで作っている。
- フラットな組織。ビジネスサイドもITも巻き込んだ環境を自然に作れるので、マーケットに沿ったITソリューションの提供ができる。
日本の場合
- IT開発はまだウォーターフォール型が主流で、アジャイルの導入に苦戦しているところが多い。
- ウォーターフォール型に沿ったIT部門の構成になっている。
Q2. 日本の市場で求められる・不足しているスキルとは?
ソフトウェアエンジニアの観点で必要とされるスキルは2つ。1つがオートノミー、自律性です。
技術は日々新しくなるので、エンジニアは自分のテクノロジーのレベルも上げていく必要があります。ある一定の段階までは学習のメソッドを通じて学べますが、それ以降は自分で学んでいかなければなりません。
2つめはソフトスキル、コミュニケーション力などの生きる上でのスキルです。
ひと昔前のエンジニアは一人で黙々と作業して、人とあまりコミュニケーションしないイメージがあります。これからのエンジニアは、それでは厳しいでしょう。
デジタルがあらゆる産業の中心になる今後、プロダクトやサービスは発案する時点でエンジニアの観点が必要になってきます。ビジネスサイドやデザイナーと話をしながら作り上げていくため、コミュニケーション力が大事になってくるのです。
市場で求められている人材
- 英語ができ、コーディングの技術があり、プロジェクトマネージャーとしてアジャイル方式を導入した経験があること。
- デザインシンキング(デザイン思考)、ユーザー目線の考え方を持っている人。
- 自ら手を動かしてリードできる中間管理職。実際に基幹システムを自分で開発できて、ユーザーからヒアリングをして開発を行うことができる人。
Q3. 第一線で活躍している人たちのマインドセットの共通点は?
近年、事業や経営戦略を考えるとき、ITはバックオフィスではなく中心になってきています。
第一線で活躍している人は、ビジネスサイドに会社の課題をどうやってITで解決できるかなどを説明し、一体となって進めることができているのです。

第一線で活躍している人とは?
グロースマインドセットを持っている人
どの時代でも通用する人材になるためには、いかに自分をアップデートしていくかがカギになります。新しいことにも積極的に取り組む姿勢が求められています。
共感性を持って働ける人
エンジニアの場合には、デザイナーの立場もプロダクトマネジャーの立場もビジネスサイドも理解するといったマインドセットを持つことが、今後は必要とされていくでしょう。
Q4. 先端IT人材は、実際にどういうワークスタイル、ワークライフを送っているのか。
先端IT人材は、時間の自由、場所の自由を手に入れるとよく言われます。それは、ワークライフバランス、自分の人生を豊かにするためだけでなく、自己成長のために時間を使うためでもあります。
先端IT人材のワークライフ
- ワークバランスを重視。
- 仕事以外での勉強の機会、自己成長の機会を十分に設けている。
- 知識の共有のために自分たちでコミュニティを設計。
- コミュニケーションを大切にし、フィードバックのやり取りを惜しまない。
Q5. 先端IT人材になるためには、今度どのようなキャリアを歩むべきか。
忘れてほしくないのが、今までのキャリアは決して無駄ではないということ。というのも、ITはすべての業界で必要になるので、それまで歩いてきたキャリアの知識が役に立つ場面があるからです。今までの知識経験×ITというのは、1+1=2ではなくて1+1は10にもなります。
先端IT人材としてのキャリア形成で必要なこととは?
自分を常にアップデートする
変化を恐れず、新しいことを学んでいく姿勢は最も必要とされる条件となるでしょう。将来どういったテクノロジーやプログラミング言語が流行るのか。今はAIやPythonなどを耳にしますが、今勉強を始めてマスターしたときに、ニーズがあるかどうかはわかりません。というのも、この新型コロナでクラウド化が急速に進んだように、この先何が起こるか予測がつかないからです。
プログラミング言語の土台をつくっておく
リテラシーを高めることによっていろいろなことが見えてきて、理解でき、エンパシーを持って行動できる人間になれるからです。これからはマシンがますます多くの仕事をする時代になるので、マシンと話ができる言語を何か一つ身につけておくこごは、決して損はありません。一つの言語をきちんと学び、強い土台を作ることで、さらに新しい言語を学びやすくなります。
まとめ
フルスタックとは、自分で全て設計できるという意味。インフラを理解しているアプリエンジニアと、アプリの作り方をわかっているインフラエンジニアがコラボレーションできると、思わぬ発想が出てくるうえに、コミュニケーションも円滑になります。ですから、これからはフルスタックな人材が必要とされていきます。
これまでのIT転職市場で価値の高い人材
- 大規模なチームとプロジェクト予算を持ち、それを管理できる人材。
これからのIT転職市場で価値が高い人材
- 技術を理解してエンジニアと同じレベルで話ができて、かつリーダーシップを発揮できる中間層やリーダー。
- コミュニケーション能力、ファシリティーション能力、コラボレーション能力を持つ人材。
- 仕事の外でも自分で勉強したり、テクニカルコミュニティ、ミートアップなどの勉強会に参加して、最新の技術をIT人材の中でも共有ができている人。
Free Q&A
Q. ホリゾンタルに開発できるT型人材に関して、ソフトスキル・技術・語学力のうち、優先順位が高いのはどれか?
<回答>
- ソフトスキルが一番大事
技術はハードスキルだから毎日コツコツ勉強していけば身につくが、ソフトスキルと語学力は一朝一夕に身につかないので比較は難しいというのが答えです。 ただ、何を学ぶべきかは、いろいろな人とコミュニケーションを取ることによって見えてきます。コネクションやネットワークを大事にするのは、自分のキャリアを見定めるうえでも必要です。そう考えると、ソフトスキルが一番大事と言えるでしょう。
Q. 自己成長が大切な一方、モチベーションが折れてしまった場合、どのようにモチベーションを上げたり、自分をコントロールするか?
<回答>
- 「なぜ?」を自分に問いかけ、目標に対する気持ちを確認する。
- 同じ志を持つ人と一緒にやること。
- 賛同できるプロジェクトへ転職し、自分捜しをしてみる。
最後になりましたが、お忙しい中ご参加いただいたCode Chrysalis Japanのカニ・ムニダサさん、新徳雅隆さん、ご参加いただいた全てのリスナーの皆さま、本当にありがとうございました。