日系・外資・スタートアップ就業者比較:企業のDEIへの取り組み「信頼できない」37%、信頼性が応募意欲に影響
日本最大級のハイクラス/グローバル人材に特化した人材紹介会社エンワールド・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:山本 裕介)は、日系・外資系・スタートアップ企業(※1)の就業者を対象に、「企業のDEIに関する認識調査」を実施しました。
近年、企業におけるDEI(※2)への関心が高まり、多くの企業で制度整備や方針策定が進められています。しかし、企業が発信するDEI施策に対する就業者の認識や評価、さらには企業選択や応募意欲への影響については、十分な実態把握がなされていないのが現状です。
こうした背景を踏まえ、エンワールドでは企業のDEI施策に対する就業者の認識や、転職時に重視されるテーマについて、企業タイプ別に調査しました。
(※1)本調査において、就業先タイプは「日系」「外資系」「スタートアップ」としています。スタートアップは、日系・外資系問わず事業フェーズが「立ち上げ期・急成長フェーズ(スタートアップ)」と回答した就業者としています。「成熟・安定フェーズ」と回答し、かつ日系・外資系のいずれかを選択した方はそれぞれ日系企業就業者・外資系企業就業者としています。
(※2)本調査におけるDEI (Diversity, Equity and Inclusion) とは、多様な背景(性別・国籍・年齢・性的指向・性自認など)を持つ人材が尊重され、公平に機会が提供される状態を指します。
調査概要
1.企業のDEI発信、「信頼できない」が37%で「信頼できる」を上回る
2.企業のDEIへの取り組み、54%が「応募意欲に影響」、DEI発信の信頼性との関係が明らかに
3.信頼できない理由「実際の働き方や職場環境が見えない」55%、「発信内容と外部情報のギャップ」42%
4.転職時に重視するDEIテーマ「柔軟な働き方」71%が最多、「年齢」41%は「性別」34%を上回る
調査詳細
1. 企業のDEI発信、「信頼できない」が37%で「信頼できる」を上回る
企業のDEIに関する発信の信頼性について質問したところ、「信頼できない(形式的だと感じる)」は全体で37%となり、「信頼できる(実態が伴っていると感じる)」の25%を12ポイント上回りました。
就業先企業タイプ別にみると、「信頼できない」と回答した割合は、日系企業就業者およびスタートアップ企業就業者でともに41%となり、外資系企業就業者の31%を10ポイント上回りました。【図1】
【図1】企業のDEIに関する発信について、どのように感じることが多いですか?
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2. 企業のDEIへの取り組み、54%が「応募意欲に影響」、DEI発信の信頼性との関係が明らかに
次に、企業のDEIへの取り組みが応募意欲に与える影響について質問しました。「影響する」(※)と回答した割合は54%となり、過半数を占めました。企業のDEIへの取り組みが企業選択時の判断材料の一つになっていることが明らかになりました。【図2】
【図2】企業のDEIに関する姿勢や取り組みは、転職先を検討する際、あなたの応募意欲にどの程度影響しますか?
※「影響する」は「非常に影響する」13%、「ある程度影響する」41%の合計、「影響しない」は「あまり影響しない」16%と「まったく影響しない」9%の合計となります。
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さらに、「応募意欲に影響する/しない」別に企業のDEI発信の信頼性を比較しました。「応募意欲に影響する」層では「信頼できない」(33%)と「信頼できる」(34%)がほぼ同水準だった一方、「応募意欲に影響しない」層では「信頼できない」(55%)が「信頼できる」(9%)を46ポイント上回りました。
これらの結果から、企業のDEI発信に対する信頼性評価と応募意欲には一定の関連がある可能性が示唆されました。【図3】
【図3】転職先を検討する際、企業のDEIの取り組みが「応募意欲に影響する/影響しない」と回答した方:企業のDEIに関する発信について、どのように感じることが多いですか。
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3. 信頼できない理由「実際の働き方や職場環境が見えない」55%、「発信内容と外部情報のギャップ」42%
続いて、企業のDEI発信を「信頼できない」と感じる層に信頼できない理由を質問したところ、「社員の実際の働き方や職場環境が見えない」(55%)が全体で最も高く、次いで「企業の発信内容と口コミ・評判など外部情報にギャップがある」(42%)、「特定のテーマ(女性活躍など)のみに偏っている」が42%となりました。
就業先の企業タイプ別にみると、日系企業就業者では「企業の発信内容と口コミ・評判など外部情報にギャップがある」(44%)が高く、DEIが制度としては存在する一方で、現場での運用実態との接続が見えにくく、実態との乖離があるものとして受け止められていることが考えられます。外資系企業就業者では「特定のテーマ(女性活躍など)のみに偏っている」(50%)が高く、個別施策としては認識されやすい一方で組織全体としての一貫性や包括性が十分に伝わりにくいことが信頼形成に影響している可能性があります。スタートアップ企業就業者では「社員の実際の働き方や職場環境が見えない」(60%)および「経営層の関与やコミットメントが感じられない」(42%)が高い結果となり、組織運営の中で体系的に機能している実感が持ちにくいことが、実態が見えないという評価につながっていることが推測されます。
この結果より、DEI発信の信頼性に対する課題は、取り組みそのものよりも、実際の働き方の可視性の低さや、発信内容と外部評価とのギャップに起因していることがうかがえます。また、就業先の企業タイプによって発信に対する課題認識が異なる傾向も明らかになりました。【図4】
【図4】「企業のDEIに関する発信について、どのように感じることが多いですか?」で「信頼できない(形式的だと感じる)」と回答した方:そのように感じる理由を教えてください。(複数選択)
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4. 転職時に重視するDEIテーマ「柔軟な働き方」71%が最多、「年齢」41%は「性別」34%を上回る
最後に、転職先を検討する際に重要だと感じるDEIテーマについて尋ねたところ、「柔軟な働き方」が71%で最も高く、次いで、「公平な評価・昇進」が57%、「育児・介護との両立支援」が42%となりました。就業者が重視するDEIテーマは、日々の働きやすさやキャリア形成に直結する項目が中心となりました。また、「年齢」(41%)は、「国籍・人種」(36%)や「性別」(34%)を上回りました。就業先企業タイプ別にみても「年齢」は40~44%で推移しており、企業タイプによる大きな差はみられませんでした。この結果から、就業者は多様性に関するテーマの中でも、年齢にかかわらず活躍できる環境を重要な要素として捉えていることが示唆されました。
就業先の企業タイプ別にみると、日系企業就業者では「公平な評価・昇進」(59%)が相対的に高く、評価制度の透明性や公平性が重視されていることがうかがえました。外資系企業就業者では、「育児・介護との両立支援」(47%)に加え、「国籍・人種」(40%)も比較的高く、仕事と家庭の両立支援に加え、多様なバックグラウンドへの配慮も重視される傾向がみられました。スタートアップ企業就業者では「年齢」(44%)が相対的に高く、他の就業者層と比較して同テーマへの関心がやや高い傾向がみられました。【図5】
【図5】転職先を検討する際、企業のDEIに関して、特に重要だと感じるテーマや取り組みを教えてください。(複数選択)
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考察
今回の調査から、DEIは企業の取り組みの有無そのものではなく、現場での運用実態や働き方の具体像が十分に伝わっているかが応募意欲に影響する可能性が示されました。
企業のDEI発信に対する認識は、「信頼できない」が「信頼できる」を上回る結果となりました。特に「応募意欲に影響しない」と回答した層において、その傾向が顕著であることから、発信の信頼性が応募意欲に影響している可能性がうかがえます。その背景には、実際の働き方や職場環境の把握のしづらさや、発信内容と外部評価とのギャップ、特定テーマへの偏りといった要素があり、制度の有無ではなく運用実態の把握や情報の一貫性が課題の中心にあることが示唆されます。
一方で、就業者が重視するDEIは柔軟な働き方や公平な評価・昇進、育児・介護との両立など日々の就業環境に直結する要素が中心であり、DEIが理念ではなく、働きやすさやキャリア形成を測る実務的な評価指標として捉えられていることがうかがえます。
これらの結果から、DEIは「取り組みの有無」で差別化が難しいフェーズに入りつつあり、今後は制度設計そのものよりも、現場でどのように運用され、どのような形で成果や変化として示されているかがより重要になると考えられます。人材獲得競争が激化する中で企業に求められるのは、DEI施策の発信に加え、運用実態の透明性・可視化です。こうした点を踏まえると、「制度として存在するDEI」から「機能しているDEI」への転換が、信頼形成と応募意欲向上の鍵になると考えられます。
調査概要
調査方法:インターネット調査 調査地域:全国
調査実施期間:2026年5月21日~5月24日
有効回答数:1369名
回答者所属企業:日系企業600名、外資系企業466名、スタートアップ303名
回答形式:単一回答および複数回答形式
▼ニュースリリース
企業のDEIに関する認識調査
本ニュースリリースに関するお問い合わせ先
エンワールド・ジャパン株式会社 広報担当(佐久間) Email: enworld-pr@enworld.com