金融経済新聞「金融人の転職事情」第10回 フィンテック業界の動向は

2021年01月11日

第10回「金融人の転職事情」フィンテック業界の動向は

今回は、フィンテック業界の採用動向についてお話しします。

2020年、フィンテック業界における仮想通貨、キャッシュレス、モバイル決済などは、新型コロナウイルス禍にありながら、採用に前向きに取り組んでいました。

外資系フィンテック企業は、顧客管理を含めた、顧客獲得に向けた営業系の採用ニーズが高くなりました。ポジションにもよりますが、外国人の採用も積極的に行われています。ITエンジニア関連のポジションについては、日本語能力の必要性は限りなく低くなってきています。

少数精鋭の体制で経営している企業が多いため、入社までのハードルは高い傾向にあります。コミュニケーション能力、英語力、業務経験など高いスキルと経験を求める企業が多く、グローバルとの面接も含めると平均して6-8回ほどの面接が行われています。

日系フィンテック企業は新しい顧客獲得に向けた営業職、新規事業を推進する経営企画職に注目が集まっています。また、自社の海外展開を視野に入れた採用も多く、日英のバイリンガルかつ金融機関での経験者は自身のキャリアを伸ばせる可能性が高い転職が可能となっています。

以前は日系金融企業出身の方が外資系金融企業に転職するケースが多く見受けられましたが、最近の転職傾向としては、伝統的な外資系証券会社や銀行からフィンテック業界への転職もかなり増えてきています。転職希望者の心理状態としても、これから10年、20年先に起きる変化を見据えて、今から新しいスキルを学ぶための転職をしたいと考える方が増えています。

流動性が高いフィンテック業界では常に新しい技術や革新的なサービスを考え、実行している企業が多いため、その中で活躍していくために、常に変化を求め、楽しみ、学びとして受け止められるマインドを持つ方が転職に成功している傾向にあります。

一方で、東京都からの転出者が転入者を上回る「転出超過」が続いており、地方銀行の採用ニーズも動きがあった一年でした。

 

特に、地方の金融機関からの採用ニーズは非対面による顧客対応を行うためのインターネットバンキングの導入、社内システムのインフラ整備を行うための追加採用が多く見られます。また、新規のプロジェクトとしてデジタルトランスフォーメーション、テレワークの導入、社内業務のオンライン化を進めるプロジェクトマネジメントなどの採用ニーズも高まってきています。

今年もデジタル化の波は加速するとともに、デジタル関連人材の需要が増えると予測されます。各社優秀な人材を獲得するため、より高度な採用戦略が必要となるでしょう。

◆プロフィール

金融チーム チームマネージャー玄間勇介

金融チーム チームマネージャー
玄間勇介 (げんま・ゆうすけ?)

アメリカの大学を卒業後、イギリス系の人材紹介会社で転職コンサルタントとしてのキャリアを積む。2018年にエンワールド・ジャパンへ。業界歴10年以上。金融xIT業界を専門とし、外資系、およびグローバル企業のミドル~ハイクラスの採用支援、転職支援を得意とする。

2021年1月11日号 「金融経済新聞」掲載 ※無断転載・引用を固く禁じます。

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