
シーメンスヘルスケア株式会社
内野 洋平氏 / 山田 育代氏
医療機器業界のマーケットリーダーとして、最先端技術の開発と幅広い製品ポートフォリオを強みとするシーメンスヘルスケア株式会社。1887年の創業以来、レントゲン博士のX線発見の翌年に世界初のX線装置の開発に着手するといった革新的な医療技術で、医療従事者や患者など、医療に関わるすべての人の負担軽減やQOL向上に貢献してきました。 この度、取締役 ファイナンス管掌の内野氏と執行役員兼営業統括本部長の山田氏に、同社の魅力や求める人材像についてお話を伺いました。
多彩な経験が結実する医療イノベーションの最前線
お二人のこれまでのキャリアを教えてください。
内野氏:私はオーストラリアや米国に留学し、大学で経営学を学び、日系企業に就職しましたが、父が経営していた会社が買収されたことをきっかけに、会計の道を志すようになりました。さまざまな外資系企業で経験を積む中で、あるとき父が、がんを患ってしまったのです。病院を訪れる中で「ヘルスケアとデジタル・ITの分野で日本は弱い」と感じ、この領域の必要性と将来性に興味を持ちました。そして、2015年にシーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクスの体外診断薬事業部のファイナンスヘッドとして入社し、カスタマーサービス部門を経て、2024年よりシーメンスヘルスケアの取締役に就任し、ファイナンス管掌を担当しています。
山田氏:私は大学卒業後、不動産会社の営業職に就きました。ライフイベントで一度キャリアを中断した後、「外資系企業の営業職なら実績で評価される」と考え、外資系医療機器メーカーに入社したのが医療業界との出会いです。その後、営業やマーケティング、企業戦略などさまざまな経験を積みましたが、自分のコアは営業職であり、大きな組織を束ねて成果を上げたいという思いから、セールスのリーダーとしてのキャリアを歩んできました。米国系企業2社を経験した後、2024年にシーメンスヘルスケアに入社し、現在は執行役員兼営業統括本部長を務めています。
医療技術のパイオニアとして、すべての人々のQOLを革新する
内野様から見た、シーメンスヘルスケア社の特徴をお聞かせいただけますか?
内野氏:Siemens Healthineersには「Our Purpose」というグローバル共通の理念があります。「We pioneer breakthroughs in healthcare. For everyone. Everywhere. Sustainably.」というもので、日本語では「ヘルスケアをその先へ。すべての人々へ。」と補足しています。この理念に向かって投資を行い、最先端の技術で医療機器業界のマーケットリーダーになることを目指しているのが、私たちシーメンスヘルスケアです。
最大の特徴は、Siemens Healthineersグループ全体の製品ポートフォリオの広さにあります。例えばがん治療においては、健康診断での腫瘍マーカー検査や、CTやMRなどの画像診断、さらには放射線治療まで一貫した製品ラインナップを持っています。このように患者さんの診断から治療までをカバーできる企業は世界的にも我々だけだと自負しています。実際に身近な人が検査を受けたり、病院で製品を見かけると、日本人の死因トップであるがんの早期発見や治療に直接関わっているという実感があり、非常にやりがいを感じています。
医療環境の変化を見据えた先進的なデジタル戦略
医療機器業界の課題に対して、貴社がどのように取り組まれているか教えてください。
内野氏:生成AIの導入により、シーメンスヘルスケアのファイナンス業務も変革期を迎えています。形式的な作業の多くが自動化される中、ファイナンスの役割は成長戦略の立案やサステナビリティへの取り組みなど、より戦略的な分野へとシフトしていくでしょう。そうした中で、シーメンスヘルスケアではデジタル化を積極的に推進しており、ERP(基幹システム)の刷新はもとより、グローバルとの連携によるデジタルプラットフォームへの投資や、IoT(Internet of Things)技術を活用して病院にさまざまなサービスを提供しています。
こうした取り組みの背景には、日本の医療環境の変化があります。高齢化社会の進行によって、急性期医療よりも慢性期医療や在宅医療のニーズが高まっており、政府は財政が逼迫する中、高度医療を行う病院を集約し、地域包括ケアシステムの構築を目指しているのです。そこに対してSiemens Healthineersは、患者さんのデータがデジタル上に再現され、個別化医療の実現を可能とする環境の構築に力を入れています。また、AIを活用した画像分析、設備の遠隔モニタリングなども推進し、病院の運営効率化や財務体質の改善をサポートしています。
130年以上の歴史が育んだ、世界最先端の開発力
長い歴史の中で培われた、貴社の強みはどういったものですか?
山田氏:シーメンスヘルスケアの最大の強みは製品開発力です。1887年の創立以来130年以上の歴史があり、レントゲン博士がX線を発見した翌年に、世界で初めてX線装置の開発に着手し、さらにその翌年に実用化しました。現在も売上の約9%を研究開発に投資し、製品開発を続けています。
最近開発した製品に、「フォトンカウンティングCT」というものがあります。この製品は検出器を全く異なる技術に変えることで、より低被ばくで高精度な画像を短時間で撮影可能にしました。長い歳月をかけて実用化に成功したこの技術は、シーメンスヘルスケアのブランディングとなり、「品質の良い、革新的な製品を作る会社」という評価につながっています。
日本は高齢化による働き手の減少と人口減少が進んでおり、それに伴ってがんや心疾患などの疾患は増加する一方です。そのため、今は「良い製品」というだけでは不十分で、病院や医師が置かれている状況を深く理解し、その課題解決に寄与するソリューションを提案することがなにより重要なのです。製品は高額なため、導入の決定には医師だけでなく病院の経営層など多くのステークホルダーが関わります。そこに対して、それぞれのニーズを把握し、全体をリードしていくという営業アプローチが、他社との大きな差別化ポイントとなっています。
共に挑み、共に祝い、共に成長する
社内ではどのような人材が活躍されていますか?また、求める人材像についてお聞かせください。
山田氏:「待ち」ではなく「攻め」の姿勢を持っている人が活躍しています。社内外に多くのステークホルダーがいるため、自らアプローチしてそれらを巻き込み、指揮を執れる人が成功していると感じます。自分から行動を起こし、周囲を動かしていくことが重要ですね。
また、採用に関しては、異なる業界や診療領域を経験した人が望ましいと考えています。経験者だけを採用すれば、短期的には成長が早いかもしれませんが、中長期的に見ると多様な人材が混ざった組織の方が新しいアイデアや方法が生まれると思うのです。将来を見据えて、多様性のある組織づくりを目指しています。
内野氏:Siemens Healthineersは世界70カ国以上の拠点で、約7万人の社員が活躍している国際的な環境です。日本オフィスにもさまざまな国籍の社員がおり、向上心の強い方々と一緒に働いています。こうした環境で活躍するためには、英語力はもちろん、向上心やコミュニケーション能力なども重要です。また、急速に変化するデジタル技術を学ぶ柔軟性も欠かせません。海外赴任のチャンスもあり、世界中で働く機会があるため、成長したいと考えている方は特に相性が良いと思っています。
5つのバリューが根付く、フラットで風通しの良い組織風土
貴社の企業カルチャーについて教えていただけますか?
内野氏:シーメンスヘルスケアには5つのバリューがあります。「Listen First(お客様、患者さん、そして社員同士お互いの声に耳を傾け、お客様の成功に貢献する )」、「Win Together(組織を超えて協力し、共に成し遂げる)」、「Learn Passionately(より良い意思決定ができるよう、好奇心を持って常に学び成長し続ける )」、「Step Boldly(大胆な発想で、自分自身と可能性の限界を押し広げていく)」、「Own it(すべてにおいて主体的に最後まで取り組む)」です。これらは全社的に浸透し、日常業務の中で実践されているものです。
カルチャーとしては、社員同士が「さん付け」で呼び合うフラットな関係性で、率直に意見を交わせる環境があります。加えて、マネジメントに対しても意見を言いやすく、定期的に社員の声を集める匿名アンケートも実施しています。
山田氏:ビジネス面では、シーメンスヘルスケアの製品は数億円する高額なものが多く、受注獲得までに時間がかかります。そのため、営業だけでなくカスタマーサービスや工事部門など、多くの部署が一体となって商談に取り組む文化があります。全国約40の営業所に各部門のスタッフが常駐して協力体制を構築しているほか、商談を獲得した際には、社内で全員に共有され、異なる部門からも祝福のメッセージが寄せられる「賞賛のカルチャー」が根付いているのも特徴です。
加えて、多様な働き方の支援も当社の特徴で、フルフレックスやリモートワークを積極的に推進しています。育児休暇や介護休暇などの制度も充実しており、最近では男性の育休取得者が自身の経験や学びを社内で共有する機会もありました。こうした取り組みが社員の長期勤続や低い離職率につながっていると感じています。
社員一人ひとりの可能性を引き出す、多彩な成長機会
弊社では "enabling success=入社後活躍" をミッションにおいています。貴社では、社員の皆さまの持続的な活躍や成長を支援するために、どのような取り組みを行っていますか。
山田氏:入社者の円滑な立ち上がりを支援するため、中途入社者向けのオリエンテーションやバディ制度を導入しています。バディ制度は先輩社員が相談相手となり、業務上の疑問点やOJTを通じた学びをサポートするというものです。加えて、業務に必要な知識習得のために職種別の研修プログラムも充実させており、例えば営業職向けには、セールスの基本スキルや製品知識、関連部門との連携方法などのトレーニングを実施しています。
また、eラーニングは職務に応じたもののほかに、自ら選択して学ぶコンテンツも利用可能です。リーダーシップ開発や選抜式のグローバル研修プログラムも提供しており、より高度な能力開発の機会も豊富にあります。さらに、他部署や世界中のポジションに応募できるジョブポスティング制度も活発に運用していますね。これらの制度は社員自身が主体的にキャリアを構築し、社内の多様な才能を最大限に活用するための重要な仕組みとなっています。
未来志向の環境で、人間ならではの複合的なスキルが育っていく
最後にこのページをご覧になっている読者の皆様にメッセージをお願いします。
内野氏:将来的に価値を持つのは、戦略的思考やステークホルダーマネジメント、コミュニケーション能力、デジタル技術への適応力といった複合的なスキルです。単一の専門知識は将来的にAIに代替される可能性がありますが、人間の複雑な思考能力を活かした仕事は残り続けるでしょう。シーメンスヘルスケアではこうしたスキルを磨ける環境と、グローバルな最先端トレーニングや技術に触れる機会があります。自分の成長に投資できる環境を求める方には、シーメンスヘルスケアは合っていると思います。
山田氏:医療機器業界で求められる人材像は大きく変化しています。かつては「この通りにやればいい」と教わり、それを行うことで評価される、という時もありました。
今は市場も顧客のニーズも変化が激しいため、自分で考え、アイデアを生み出しながら実行を重ねていくことが求められます。また、顧客から、客観的な市場データや情報、時には海外の動向も求められますので、このような視点も重要になってきます。このような変化を前向きにとらえ、自分のキャリアを切り拓いていく意欲のある方は、ぜひシーメンスヘルスケアのドアを叩いてください。共に医療の未来を創造していきましょう。

内野 洋平
シーメンスヘルスケア株式会社
取締役 ファイナンス管掌
豪州・米国大学に留学、卒業後、日系、上場、複数の外資系企業のファイナンス部門にて経理財務・税務・内部統制、M&A、IR、ビジネスターンアラウンド、マネジメントなど幅広く経験を積む。
2015年にシーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス(株)に入社し、2024年より現職。戦略的ビジネスの成長、デジタルプロジェクト、キャリア開発を柱に変革を推進している。

山田 育代
シーメンスヘルスケア株式会社
執行役員 営業統括本部 営業統括本部長
大学卒業後、国内不動産会社の営業職に就き、その後、J&Jメディカルカンパニー、アボットジャパンと、外資系の医療機器企業にて、営業・マーケティング・企業戦略・事業開発等の部門で経験を重ね、2024年にシーメンスヘルスケア株式会社に入社。22年以上の医療機器業界での豊富な経験を持ち、営業を統括する初の女性マネジメントとなる。

舘 博之
エンワールド・ジャパン株式会社
Principal Consultant / Finance and Accounting Division
グローバル人材採用の分野で長きにわたり、採用支援や人材戦略の立案など豊富な経験を持つプロフェッショナル。 2011年にエンワールド・ジャパンに入社、Finance and Accounting領域を担当。 優れたリーダーシップと深い業界知識を活かし企業と転職希望者双方にとって最適なソリューションを提供している。

山口 翔平
エンワールド・ジャパン株式会社
Senior Consultant / Life Science Division
医療機器、診断機器並びにヘルステック領域の採用支援に強みを持つプロフェッショナル。エンワールド・ジャパン入社後は、人材業界での経験に加え、ヘルスケア企業での就業経験を活かし、専門性の高いポジションの採用支援に従事。市場動向や求職者の志向を的確に捉えながら、企業と転職希望者の双方に寄り添い、最適なマッチングを実現している。
※2025年2月現在の内容です
エンワールド・ジャパンについて
エンワールド・ジャパンは外資系・日系グローバル企業の求人に特化した人材紹介会社です。