株式会社三菱UFJ銀行
佐藤 剛氏 / 島野 浩平氏
三菱UFJ銀行では、AIとデータを銀行業務の“中核”に据えた変革を本格化させている。2024年に新設したデジタル戦略統括部の取り組みを起点に、2026年4月にAI等デジタル領域・データマネジメント領域の基盤・プロダクト実装に“より特化”した体制として「デジタルソリューション部」へ機能を再編。
国内最大の金融グループとして蓄積してきた膨大なデータを、いかに事業価値へ転換し、“社会インフラ”としての銀行をアップデートしていくか。その鍵を握るのが、デジタルソリューション部 データマネジメントGr 次長 佐藤 剛氏と、デジタルソリューション部 AI・ソリューションGr 次長 島野 浩平氏だ。
全社データ基盤の再構築、生成AIを活用した業務横断の生産性向上、さらには企業融資の高度化など推進中のテーマは単なるDXの枠を超え、「銀行の再発明」とも言える。前例のない課題に挑み、現場起点で“本当に使われる仕組み”をつくる――その醍醐味、組織カルチャー、そしてここで広がるキャリアの可能性を聞いた。
なぜ三菱UFJ銀行を選んだのか
これまでのキャリアについてお聞かせください。
佐藤氏:大学を卒業後、SIerへ入社し、主にお客様の海外拠点向けのERPパッケージソフトの導入コンサルタントとして働いていました。
島野氏:私も大学を卒業後、SIerへ入社し、インフラエンジニアからキャリアをスタートさせ、アプリケーションフレームワークやUXデザイナー、コンサルティングと経験を積んできました。
その後、三菱UFJ銀行を選んだ決め手は何でしょうか。
島野氏:SIerでは、AIのモデルを書くことはできても、独自のデータを持っていないため、必要なデータを都度もらいに行く必要がありました。データがなければAIの知見・技術は生かされないと痛感し、自身の活躍のためにはデータをより保有している会社へ行きたいと思いました。MUFGは規模の大きい会社であり、かなりのデータ量を保有しています。持っている技術を生かして、活躍できる機会が豊富にある環境だと感じ転職を決めました。
部門・業務の紹介
所属のデジタルソリューション部について教えてください。
佐藤氏:デジタルソリューション部は三菱UFJ銀行のデータ活用、AI活用などを進める中核的な組織です。経営から600億円の投資判断を受けるなど、当部への期待は非常に高いです。データ基盤の整備や先端技術の研究、外部企業の連携・協業を含め、金融サービスを高度化するという目的に向かって一丸となって取り組んでいます。
なぜ今、三菱UFJ銀行でAI・データなのか
銀行でAI・データに本気で取り組む意義をどう捉えていますか。
島野氏:金融は「データ量」「業務の複雑さ」「社会的影響」の3点で、AI活用の余地が圧倒的に大きい領域です。加えて三菱UFJ銀行は、経営としてAI・データに本気で投資する意思が明確で、PoCで終わらせず“業務に組み込み、使われ続けるAI”を作り切る覚悟があります。技術を試す場ではなく、業務の中核に実装し、継続的に価値を出し続ける場がある。それが、ここでやる意味ですね。
佐藤氏:AIの価値は、結局インプットとなる“良いデータ”に尽きます。三菱UFJ銀行には長年蓄積してきた膨大な金融データがあり、「整備して終わり」ではなく、意思決定や業務に直結する“使われるデータ”に変えることにこだわっています。
現場で動くプロジェクトの今
具体的に、どんなプロジェクトが動いていますか。
佐藤氏:データマネジメントGrでは、第一に“AI-Ready”な全社データ基盤の整備に取り組んでいます。AWS、Databricks、Snowflakeなど、正解がない中で最適解を比較検討しながら、データの標準化・再利用を前提にアーキテクチャを設計しています。メタデータ整備やデータガバナンスも含め、「誰がやっても迷わず使える状態」を目指し続けています。
島野氏:AI・ソリューションGrは“水平”と“垂直”の二軸で攻めています。水平は、議事録要約・資料ドラフト・社内手続き検索など、銀行全体で日常的に使える生成AI基盤の拡張。垂直は、企業融資のようなドメイン特化の高度化です。例えば、面談記録から与信に関わる論点を抽出し、方針案を自動生成、財務シミュレーションまでを一気通貫で支援する――そんな“上司役のAI”を現場と共創しています。外部パートナーとの推進も進めており、Sakana AIやOpenAIとの協業・提携も進行中です。
「AI・ソリューションGr」と「データマネジメントGr」が 見ている風景の違い
両チームは、何を一番意識していますか。
島野氏:キーワードは“AI-Native”です。単発の精度勝負ではなく、経営・ビジネス戦略に寄与し続けるAIであるか。説明責任やレギュレーションも含め、“難しいAI”に真正面から向き合う設計思想を貫いています。実装後に現場で使われ続け、改善が回り続けることを重要視しています。
佐藤氏:スケーラブルなサービス設計と将来の再利用を意識しています。BIやAIのユースケースが増えるほど、基盤とデータ品質の差が成果を大きく分けます。個別最適ではなく、全社でも横展開できる“型”に昇華させることを常に意識しています。
仕事でのやりがい
「正解のない課題」を形にする面白さについて教えてください。
島野氏:毎日がトライ&エラーです。既存業務の影響やセキュリティ、ガバナンスを見極めながら、“説明できるAI”を業務中核に実装するのは難易度が高い。だからこそ、現場で使われ、成果に効く瞬間に大きな達成感があります。巨大な組織で“変革”を仕掛け、日本の金融を一歩ずつ前に進める実感が得られます。
佐藤氏:データは“システムでも業務でもない”中間にある存在です。システムと業務の両方を理解していないと価値は出せない。そこを越境しながら、全社スコープのプラットフォームを企画・運営できるのは希少な経験だと思います。
組織・カルチャー—想像以上に“意見が通る”
一般的に銀行に持たれがちな組織イメージと、実際に働いて感じた点に違いはありましたか。
佐藤氏:私がキャリア採用で銀行に入って驚いたのは、想像以上に自分の意見が反映されることです。AIやデータの領域は前例のないテーマが多い分、現場で考え、決断し、進めるスタイルが機能しています。マネジメントにもキャリア採用者が多く、話しやすいオープンな雰囲気があります。もちろん、銀行プロパーのマネジメントも、オープンでコミュニケーションが取りやすい人ばかりです。
島野氏:カイゼン文化も強くあります。生成AIの利用率を見ながらイベント設計を変えるなど、カルチャー形成にも本気です。トラブル対応や合意形成は大変ですが、その分“越え方”の引き出しが増えます。
働きやすさ
三菱UFJ銀行での働く環境についての考えを聞かせてください。
佐藤氏:リモート×出社のハイブリッド運用で、育児などライフイベントとの両立もしやすい環境です。5営業日以上の連続休暇やスポット休暇の取得なども積極的に推奨されており、“オフ”の確保を意識しています。マネジャー層は「無理を前提にしない」を徹底していて、1on1や日々のコミュニケーションでメンバーの様子を見ながら柔軟に運用しています。
島野氏:また中長期のキャリア形成のためには、エキスパート制度で専門性に応じたキャリア形成を支援する仕組みがあります。世界有数の外部パートナーと協働するプロジェクトへのアサイン機会もあり、技術面での成長角度は非常に高いです。
これから挑むこと—国内トップランナーから、世界と肩を並べる存在へ
今後の展開について教えてください。
佐藤氏:AI-Readyなデータ基盤をさらに高度化し、社内外の多様なデータを安全・安心に活用できる連携基盤へ進化させていきます。メタデータ起点の“使われる”データづくりを徹底し、さらなる飛躍を目指します。
島野氏:AI-Nativeな企業変革を加速し、国内トップランナーのAI企業にしていきます。将来は他国の外資系投資銀行とも比肩できるレベルの事例を創り、社会インフラとしての銀行をAIで再定義したいという意気込みで臨んでいます。
求める人物像—“正解がない”を楽しめる人へ
どんな方がデジタルソリューション部で活躍していけると考えますか。
島野氏:3つあります。一つ目が、事業と技術の両眼で考えられる方、二つ目が決め手のない状況を議論し、悩みながら前に進める方、そして最後に、評論家ではなくまず動き、進化が速いAIの領域で学び直しを厭わず、自走できる方であれば活躍機会があると思います。
佐藤氏:何はさておきデータ“愛”がある方です。地味に見えるデータ整備も、積み上げれば全社の攻め手になります。職種や年次に関係なく発言しやすい心理的安全性の高いチームなので、越境しながら価値を出したい人に合うはずです。
転職希望者へのメッセージ
最後に、転職希望者に向けてメッセージをお願いします。
佐藤氏:データマネジメントはこれからが本番です。攻めと守りの両面をやり切れる“舞台”がここにあります。共に、三菱UFJ銀行でトップランナーを目指しませんか。
島野氏:巨大なフィールドで、PoC止まりにせず業務の中核まで実装することは、難しいけれど面白いです。社会インフラをAIで進化させたい方、ぜひ一緒に挑戦しましょう。
佐藤 剛
株式会社三菱UFJ銀行
デジタルソリューション部データマネジメントGr 次長
2005年に新卒で大手SIer入社。主にお客様の海外拠点向けのパッケージソフトの導入コンサルティングとしての経験を積んだのち、2013年に三菱UFJ銀行に入行。
入行直後はシステム部に所属し、2020年にデジタル戦略統括部の前身であった、経営情報統括部へ異動。2024年に発足したデジタル戦略統括部(現: デジタルソリューション部)で、データマネジメントGrのヘッドとして、データ戦略の企画・立案や、データ基盤/データウェアハウスのデータマネジメント全般を手掛ける。
島野 浩平
株式会社三菱UFJ銀行
デジタルソリューション部AI・ソリューションGr 次長
2005年に新卒で大手SIer入社。高度なミッションクリティカルシステムの開発経験を積んだのち、コンサルティング部署に異動して主に電力業界、物流業界のAI導入・開発のコンサルティングに関わる。事業会社で直接データに触れる場を求め、2018年に三菱UFJ銀行に入行。
2024年にデジタル戦略統括部が発足し、現在はデジタルソリューション部にてAI・ソリューションGrのヘッドとしてAI戦略、導入、オペレーションまで全般を手掛ける。
塩﨑 えみ
エンワールド・ジャパン株式会社
NIKKEI部門 シニアコンサルタント
新卒以来約20年にわたり人材業界に従事し、派遣・フリーランス・正社員と幅広い支援を経験。
2024年エンワールドに入社。自身の転職や育児の経験を活かし、 IT・コンサル領域のミドルからハイクラス層を中心に、中長期的なキャリア形成を見据えた転職支援を行っている。
※2026年4月現在の内容です
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