金融経済新聞「金融人の転職事情」 第1回 退職希望者との対話を

2020年04月06日

第1回「金融人の転職事情」退職希望者との対話を

今回から連載を担当させていただく玄間と申します。私は、グローバル人材に特化した人材紹介会社エンワールド・ジャパンで、金融業界専門の転職コンサルタントをしています。

エンワールドは、人材大手エン・ジャパンのグループ会社で、昨年創業20周年を迎えました。

  当社の定義する「グローバル人材」とは、英語ができることはもちろん、日本国内だけでなく、世界中の優秀な人材と競争できる、高い専門性やスキルを持った人材であり、現在はミドル~ハイクラスの方々の採用・転職のご支援を中心としています。

金融業界の転職は、一昔前は40~50代の方々が中心でしたが、昨今20~30代の若い方々の転職も増えてきています。若手には、新しいフィンテックの業界や、資産運用のコモディティ化を背景としたアセットマネジメントに人気があります。

  昨年当社が扱った金融関連の求人数は前年比で10%程度増えており、金融業界の転職市場は活発です。

CFOなど、高い役職の募集も数多くみられました。採用件数として、安定して多いのは、外資系の保険会社と資産運用会社で、この傾向は今後も続くと考えています。 

最近目立った動向として、企業における「離職者の引き止め」がとても増えています。

人材不足と市場の不透明性が理由であり、当社サービスを利用して転職活動をしている方の引き止めによる入社辞退数は前年比約5倍にも上りました。

  しかし、企業が人材を慰留しても、引き止めにあった半数以上の方々が6か月以内に転職活動を再開しています。

企業の人事、および上司の方々にとって優秀な人材の流出は避けたいものですが、退職者が退職を考えるにあたった根本的な理由に立ち返る時間を人事がきちんと設け、目先の事だけを考えた引き止めという「取引」になってしまわないよう適切な判断を下すべきです。

管理職の方々が管轄の部下に正直かつ誠実な対応、フェアな評価をしているのかなど、組織としての成長をする上で、退職希望者との対話から得られる情報は沢山あると思います。

結果として優秀な人材が辞めることになったとしても、そこに耳を傾け、組織の向上に繋がるような受け止め方をすることが、これからの企業には求められてくると思います。

企業は人で作られています。

人材不足が継続する中、人事担当者は優秀な人材を探す一方、今社内で活躍している方々がオープンに意見を述べ、意思表示ができる環境を作ることで、社員のエンゲージメントを高めていけるでしょう。

◆プロフィール

金融チーム チームマネージャー玄間勇介

金融チーム チームマネージャー
玄間勇介 (げんま・ゆうすけ?)

アメリカの大学を卒業後、イギリス系の人材紹介会社で転職コンサルタントとしてのキャリアを積む。2018年にエンワールド・ジャパンへ。業界歴10年以上。金融xIT業界を専門とし、外資系、およびグローバル企業のミドル~ハイクラスの採用支援、転職支援を得意とする。

2020年4月6日号 「金融経済新聞」掲載 ※無断転載・引用を固く禁じます。

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