採用最前線!2014年の採用はどう変わる?

February 4, 2014

Business people with the new year 2014アベノミクスは転職市場にどう影響しているのか?

2014年1月21日のIMF(国際通貨基金)による「世界経済見通し改訂版」の発表にあったように、概ねの経済予想において、2014年は先進国が回復する形で、世界経済は上向くものと見ているようです。

では実態経済と不可分な雇用について、アジア太平洋の各地域ではどのように見ているのでしょうか。en worldでは日本、シンガポール、韓国、韓国、オーストラリア、ベトナムの各オフィスにアンケートを実施し、2014年の人材採用についての潮流を予想しました。

 

Queries:

  • 2014年は2013年と比べ、経済状況、雇用状況はどのように推移すると思いますか。
  • 上記1で回答した理由について教えてください。
  • 2014年は2013年と比べて、どのようなセクターで人材需要が増加、減少すると思いますか?またその背景を教えてください。
  • 2014年に人材採用する際、採用担当者の方にアドバイスするとしたら、どのようなことをがありますか?

Interviewees:

flag-16-japanニール・ウォルターズ (en world Japan, Executive Vice President)
flag-16-singaporeブライアン・リチャーズ (en world Singapore, President)
flag-16-hong-kongリチャード・リュー (en world Hong Kong, Business Manager)
flag-16-south-koreaサイモン・キム (en world Korea, President)
flag-16-australiaトニー・ホロック (Calibrate Recruitment, General Manager)
flag-16-vietnamグエン・ティ・ヴァン・アン (Navigos Search, Managing Director)

ニール・ウォルターズ (en world Japan, Executive Vice President)

1. 2014年は2013年と比べ、経済状況、雇用状況はどのように推移すると思いますか。
2014年は昨年に引き続き日本は経済状況が改善し、雇用も順調に増えていくと見ています。

2. 上記1で回答した理由について教えてください。
まず企業からの求人も大幅に増えており、力強く求職市場が動いているのが感じられます。セクターにもよりますが、リーマンショック以前の水準に戻っただけでなく、それ以上によくなっているところもあると思います。実際数字にもそれは表れており、日本の失業率は4%まで下がり、有効求人倍率も1.00%を超える状況で、人材需要は逼迫しています。

今後の懸念点としては、円安進行による打撃と、4月の消費税増税におけるインパクトがあげられます。

3. 2014年は2013年と比べて、どのようなセクターで人材需要が増加、減少すると思いますか?またその背景を教えてください。
昨年後半から景気回復を受けて購買意欲が高まっているのか、円安にも関わらず、消費財、特に高級消費財での人員募集が増えています。今までのように人員を補充するだけでなく、新たにマーケティング関連の役職を新設した企業も多いようです。4月の消費税増税が一時的に影響する可能性がありますが、8%導入後以降、国内の景気が後退局面に入らなければ、この傾向が続く可能性もあります。

また昨年に引き続き消費財、サービス企業における、デジタル関連職、特にウェブマーケティングマネージャーへの需要は続いています。日本企業の回復とともに、設備投資への需要も高まるものと思われます。産業設備関連企業でのセールスやエンジニア需要も一層増えていくものと思っています。

外資系金融については完全にリーマンショック以前に戻ったわけではありませんが、昨年に比べ今年は求人が増えるものと見込んでいます。円安を背景に、香港やシンガポールなど海外に移転していたオペレーション関連の求人、時差や対応の質が問われるカスタマーフェイシングのポジションが日本国内に戻ってきています。また順守する法令が変化する中でリスク管理強化のため、コンプライアンス、監査、リスクマネジメントなどのポジションの募集が続いています。

またどの業界においても、営業、マーケティングを増やしたいという声を聞きます。長年採用を抑制してきたポジションについて、一気に需要が高まっているようです。

4. 2014年に人材採用する際、採用担当者の方にアドバイスするとしたら、どのようなことをがありますか?
外資系企業だけでなく日系企業でもバイリンガル人材の需要は高まっています。その上、求職市場自体が好調なため、売り手市場の傾向は今年はさらに顕著になるでしょう。

そうした中で優秀な候補者を獲得するには、

  • スピード感を持った採用プロセス
  • 新たに雇用する人材に求めるスキル、経験値のプライオリティづけ

などを行う必要があります。

それでもレジュメ、経験、年齢ともに揃った候補者にはオファーが殺到すると思いますので、年齢や転職回数などが譲歩できる場合は、柔軟に検討されることをお薦めします。

ブライアン・リチャーズ (en world Singapore, President)

1. 2014年は2013年と比べ、経済状況、雇用状況はどのように推移すると思いますか。
シンガポール経済は2013年に引き続き、堅調に推移すると思われます。シンガポール通商産業省の予測によると、2013年のシンガポール経済は、3.5~4%の成長が見込まれていました。2014年1月に発表された実際の統計では、年間3.7%の成長を達成しています。これに伴い、雇用状況も昨年よりやや上向きそうです。

2013年は3.7%の成長を達成し、堅調な推移が見込まれていますが、成長がやや軟化し3%程度になるのではないかというエコノミストもあり、私もそのように見ています。(リンク先は英文のみ)。
http://www.focus-economics.com/en/economy/charts/Singapore/GDP

2. 上記1で回答した理由について教えてください。
2014年の雇用について、企業の採用担当者を対象とした意識調査を当社が実施したところ、2014年は採用を増やすとした企業が50%、現状維持が40%、縮小すると答えた企業が10%でした。

賃金の安い労働力は近隣の東南アジア諸国に移動することも考えられますが、多くの多国籍企業にとって、シンガポールはアジアの戦略拠点です。企業は、ミッドレベル以上の管理職を中心に雇用を増やしていきたい考えがあると感じています。

またシンガポールは地理的にもアジアのハブ拠点です。一部近隣のアジア諸国は現在経済成長がやや鈍化していることを受け、シンガポールにも影響がでるのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際、シンガポール経済に影響を与える地域は、米国、欧州、日本、そして中国の割合が大きいです。2014年は先進国の景気回復が予想されており、これらの国からの投資が見込まれるため、全体としては明るい影響を受けるのではないかとみています。

3. 2014年は2013年と比べて、どのようなセクターで人材需要が増加、減少すると思いますか?またその背景を教えてください。
需要が増える分野としては、ライフサイエンス、石油・ガス、サプライチェーンマネジメントなどです。

ライフサイエンス分野に関しては、日系や欧州系製薬、医療機器業界がビジネス拡大を図るため、MR、セールス、マーケティング関連の雇用を増やす動きが見られます。

石油・ガス、サプライチェーンマネジメントは、アジアのハブ地域であるシンガポールならではの地の利が関係しており、アジア新興国地域でのビジネスが増えている関係で引き続き求人は堅調に推移してます。

なぜサプライチェーンマネジメントが伸びているかについては、以下のデータが参考になると思います(リンク先は英文のみ)。
http://www.edb.gov.sg/content/edb/en/industries/industries/logistics-and-supply-chain-management.html

石油・ガス分野には、商業的発見、調査、生産への新たな投資が流入しており、明るい見通しです。オフショア海洋分野の雇用水準は、石油採掘装置の修復作業が多くあることや造船関連で楽観的に推移する見通しです。
http://www.channelnewsasia.com/news/singapore/more-locals-employed/973228.html?cid=FBSG

4. 2014年に人材採用する際、採用担当者の方にアドバイスするとしたら、どのようなことをがありますか?
シンガポール地域の方はよくご存じだとは思いますが、現在は政府による国内の人員採用を優遇する施策が導入されています。しかし、シンガポールの雇用市場は、人材プールの規模に限りがあり、いまだに経験豊富な人材が全く足りていない状態です。

よって社内公募や採用プロセスの改善を検討する必要があります。また、シンガポールが「サービスバリューチェーン」を登っていくために、海外の人材層、特に「成熟市場」からの人材を引き付け、獲得するための積極的な採用手法も必要です。

リチャード・リュー (en world Hong Kong, Business Manager)

Richard Liu - large1. 2014年は2013年と比べ、経済状況、雇用状況はどのように推移すると思いますか。
香港の求職市場は、状況は横ばいか、やや上向くでしょう。

2. 上記1で回答した理由について教えてください。
現地の求人サイトが22の産業分野の124社を対象として実施した調査によると、31%が2014年は2013年に比べて雇用市場が活発化するとし、44%が鈍化すると答えています。10%は2013年とほぼ同等となると予想しています。ただ、市場感情としては、この地域の環境はポジティブに受け止められており、米国や中国といった世界各国の市場が上向いていることから景況感が改善しています。

3. 2014年は2013年と比べて、どのようなセクターで人材需要が増加、減少すると思いますか?またその背景を教えてください。
2014年に成長が予測される産業分野は、医療・医薬、土地開発です。これは香港で高齢化が進んでいること、住宅需要が引き続き好調であることが要因です。金融サービス、貿易・物流、観光、専門サービスその他生産サービスという香港の従来の4本の柱となる産業では、2014年の雇用意欲は比較的低い印象です。

4. 2014年に人材採用する際、採用担当者の方にアドバイスするとしたら、どのようなことをがありますか?
統計学的には、「転職に興味はあるが、活動はしていない」というような受動的な転職希望者が労働力の6割以上を占めているそうです。当社の強みは、こういった層にも積極的にアプローチし、市場にはいない最高の人材を確保することで、今後も取り組んでいきます。

サイモン・キム (en world Korea, President)

Simon-kim---large1. 2014年は2013年と比べ、経済状況、雇用状況はどのように推移すると思いますか。
韓国政府によると、2013年の経済は2.8%成長しましたが、2014年には3.9%の成長を達成すると予測されています。昨年より状況が改善する見通しです。雇用状況については、韓国雇用情報サービス(KEIS)の予測では、去年に比べ雇用者数が40万人増加する見込みです。

2. 上記1で回答した理由について教えてください。
2014年は世界経済が回復する見通しであり、その結果、輸出が増え、原材料の輸入価格が安定することがこの楽観的な見通しの根拠です。IMFによると、世界経済は3.7%の成長が予測されており、米国、ヨーロッパ、日本などの先進国で市場の回復が見込まれています。韓国の経済は、外的要因によるところが大きく、この回復が国内市場によい影響を及ぼすでしょう。2014年の雇用市場は主に次の3つの特徴があり、これにより雇用が拡大すると予想されます。

  1. 全般的な高齢化に伴い、高齢者(50歳以上)の雇用が増加
  2. 安定的な継続収入を求め、正社員の求人が好まれる
  3. 政府の継続的な施策により、非常勤の求人が増加

3. 2014年は2013年と比べて、どのようなセクターで人材需要が増加、減少すると思いますか?またその背景を教えてください。

  • 機械:大幅に増加。輸出と国内投資が増加し、機械の需要が増加
  • ディスプレイ:増加。OLED施設・設備の注文が増加し、この分野での求人が増加
  • 半導体:増加。2014年はIT事業の回復が見込まれる
  • アパレル:堅調。輸出増が見込まれるが、海外でも製造が拡大し、雇用は平行となる
  • 自動車:減少。家計の借金の増加と支出減により新車販売が縮小する見込み。これにより雇用が低迷
  • エレクトロニクス:増加。タブレット需要は非常に高いが、高機能スマートフォンの需要は減少
  • 鉄鋼:堅調。鉄鋼需要は全般的にまだ回復段階

4. 2014年に人材採用する際、採用担当者の方にアドバイスするとしたら、どのようなことをがありますか?
多くの雇用関連の専門家によると、シニアレベルや高齢の人材が退職後に新たな雇用機会を模索し始めることが予想されています。若い人材と違い、これらの人材は長年の知恵、知識、業務経験を有しています。

高齢の人材を雇用することには、

  1. 専門的な労働力を比較的低コストで確保できる
  2. 政府の助成を受けられる
  3. 組織は雇用の安定を得られる
  4. 企業の社会的評価を向上させることができる、といった数多くの利点があります。

トニー・ホロック (Calibrate Recruitment, General Manager)

1. 2014年は2013年と比べ、経済状況、雇用状況はどのように推移すると思いますか。2. 上記1で回答した理由について教えてください。
2013年は、オーストラリアでは停滞またはマイナス成長の年でしたが、現在の傾向は明るい兆しを見せています。政治的な好みの問題は別として、国が安定していることは、ほとんどの意思決定者にとって信頼感につながるでしょう。また州政府および連邦政府は、数々の道路、鉄道、病院建設事業に取り組んでいます。

財政政策により、主要通貨に対してオーストラリアドルが値を下げており、資源分野を含め輸出における競争力が格段に高まっています。直近のホリデーシーズンの個人消費が増えたこともあり、全般的に景況感が高まるでしょう。

2014年は大幅な成長は難しいかもしれませんが、少なくとも短期的には、市場に対する信頼感の低下は終わりを見たと感じています。

3. 2014年は2013年と比べて、どのようなセクターで人材需要が増加、減少すると思いますか?またその背景を教えてください。
資源、インフラ、消費財、ライフサイエンス、医療関連の分野で成長が予想されます。

ドルの下落により資源分野が活性化する一方で、国内の交通、道路、医療のインフラの急速な老朽化を政府が認識しつつあることから、民生・建設業界も活性化するでしょう。

低金利により消費者マインドと個人消費が改善し、これがドル安と相まって輸入品の価格上昇に伴い、国産製品の消費が促進されています。住宅市場も軌道に乗り始めており、住宅メーカーや業者による国内の建設に弾みがついています。

4. 2014年に人材採用する際、採用担当者の方にアドバイスするとしたら、どのようなことをがありますか?
オーストラリアの失業率はオーストラリアの水準としては依然として高く、労働力は安定した職からの転職に消極的です。採用担当者並びに企業は、スキルだけでなく候補者の意欲もくみ取ることが大切です。候補者はこれまで以上に長期的なキャリアに不安を持っており、人材業界はキャリアに行き詰っている人をどのようにカウンセリングしていくかが重要になっていくでしょう。企業は、「穴埋め的に」人員を補充するだけでなく、将来的なニーズを考慮し、特定のニーズがある時に限らず、真に優れた人材が現れた時に採用を考える必要があります。

本当に成功するのはこのような企業です。

グエン・ティ・ヴァン・アン (Navigos Search, Managing Director)

Van Anh 20141. 2014年は2013年と比べ、経済状況、雇用状況はどのように推移すると思いますか。
2014年の予測をするために、まずは2013年を振り返りたいと思います。2013年、ベトナム政府は銀行の弱体化に対応するいくつかの重要な施策を実施しました。銀行の不良債権を取得するアセットマネジメント企業が設立され、銀行再建の取り組みが実施されました。この取り組みは2014年も継続されると思います。銀行の健全化に向けた動きのおかげで、2014年の経済成長はやや上向きそうです。輸出は、携帯電話、電子機器、コンピューター関連の外資系メーカーの拡大の恩恵を受けています。

雇用市場は経済を反映する鏡です。2014年は、経済が成長することから、少し忙しくなりそうです。製造やFMCGといった部門も引き続き成長するでしょう。

2. 上記1で回答した理由について教えてください。
ベトナムのGDP予想を基にしており、先にも述べたとおり、2013年に実施された施策に基づいています。

3. 2014年は2013年と比べて、どのようなセクターで人材需要が増加、減少すると思いますか?またその背景を教えてください。
個人的には、2014年は製造、FMCG、サプライチェーン、ライフサイエンスといった分野の需要が伸びると考えています。日本からの直接投資の大幅な増加が見込まれ、多くの人材が必要となるでしょう。金融、不動産部門は困難な状況が続き、人材需要は伸びないと個人的には思います。

4. 2014年に人材採用する際、採用担当者の方にアドバイスするとしたら、どのようなことをがありますか?
これは今年に限ったことではなく一般的なことですが、採用は企業の成功に非常に重要なカギであり、うまく対処する必要があります。優れた採用プロセスを整備することが大切です。採用担当者は面接スキルを身に付けなければなりません。候補者から建て前だけではない本当の思いを引き出し、ポジションにふさわしいか、組織にふさわしいかを判断する必要があります。履歴書や面接の言葉を鵜呑みにするのではなく、提供された情報の正当性を確認し、情報網や人材サービス企業を活用して、照会先に確認することが必要です。

採用の判断を誤るとその代償は大きいため、誤った採用判断のリスクは最小限にとどめるよう手を尽くす必要があります。