採用は秋頃からやや回復、選考基準は厳格化
昨年から続く法務専門家の企業の内制化の動きに変化は見られませんでした。
2月までは昨年の好景気が継続しましたが、3月頃から新型コロナウイスルの影響を受け多くの外資系企業で採用がストップしました。
一部の企業は秋頃から採用を再開し、新しい案件も出てきましたが、法曹資格・英語力・業界やマネジメント経験を求めるなど、より選考の目が厳しくなりました。
この様な外資系企業の動きを受け、日系企業は優秀な人材が採用できるのではと採用を継続していましたが、緊急を要する案件は減少傾向でした。
若手から中堅層を中心に、IT関連業界での人材需要が増加
若手から中堅層をターゲットとしたIT、 Webサービス、フィンテック、ライフサイエンス業界での採用案件が特に多く見られました。
金融業界では高度なコンプライアンスや金融犯罪防止対策、次いで、製薬や医療機器業界のコンプライアンス人材の需要が継続的しています。その他、製造業や商社などでも、ガバナンス強化の流れに合わせ、採用案件が出てくるようになりました。
また、IT、製薬、化学業界での知的財産人材需要にも動きがありました。転職希望者は前年よりも慎重な方が多く、情報は見ているが積極的には動かず、今後に向けた情報収集段階の方が多い印象です。
テレワークやフレックス制度の有無が応募判断のポイントの一つとなっています。
景気動向が求人数を左右。内製化の動きは継続の見通し
2021年は、経済状況に改善が見られなければ増員を目的とした採用は多くならないと思われますが、内制化の流れの中での立上げや一人法務需要は継続するでしょう。
渉外法律事務所からインハウスを視野にいれる法曹資格者の潜在的な数は多いですが、実際の動きは景気動向に大きく左右されると予測しています。
優秀な人材にとっては、報酬・やりがい・キャリアパスのみならず、柔軟な働き方が可能であることが大きなポイントとなるでしょう。
ベンチャー企業での部門立ち上げに伴うコンプライアンス人材の需要増
日本や海外弁護士資格者の採用ニーズの継続が考えられますが、増員採用よりも、一人法務やベンチャー企業の部門立ち上げといった需要が想定されます。
法曹資格に加え、実務経験や業界経験がありビジネスパートナーとして対応できる人材がより強く求められるようになるでしょう。
領域としては以前同様M&Aや投資関連、国際法務と共に、業界を問わず個人情報・データセキュリティ、不正調査・不祥事対応を含むコンプライアンスでの採用が増加すると考えられます。
選考方法の柔軟性やスピード感、カジュアル面談が採用成功の秘訣
優秀な候補者は複数のオファーが出ることが多いため、選考方法に柔軟性を持ちスピーディーに実施した企業、一次面接から部門の方が対応し、業務の詳細や意義・やりがい・展望をしっかりと話す企業の採用が上手く進んでいます。
採用が難航している場合、資格要件・経験年数・業界経験などの要件が、その業務において本当に必要なのかを見直してみて見るのが良いと思います。
積極的に転職を考える優秀なシニア層の実務家にも目を向けるのも一つの方法です。昨今、選考過程もしくは正式な選考前の「カジュアル面談」が有益に働いているケースが多く見受けられます。
転職希望者の求めるキャリアと企業のニーズ、社風や部門メンバーとの相性を確認しながら、企業のビジョンなどの理解を深めることは、ミスマッチの防止にも繋がるでしょう。
求人数の推移(法務・コンプライアンス)
法務・コンプライアンス部門 プリンシパルコンサルタント
林 佳代
▼ホワイトペーパー ダウンロード
How to succeed with mid-career recruitment with COVID-19 pandemic in 2021 (English)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<内容に関するお問合せ先>
エンワールド・ジャパン株式会社 広報担当
東京都中央区京橋3-1-1東京スクエアガーデン12階
TEL:03-4578-3521
FAX:03-6214-3023
Email : enworld-pr@enworld.com