在宅勤務への変更など、人事システムにも多大な影響
新型コロナウイルス感染症の流行は、2020年の人事領域の採用動向に大きな影響を与えただけでなく、人事部門において従業員の安全にかかわる問題に対応し、在宅勤務システムを立ち上げたり、既存の在宅勤務システムを調整したりするという明確な需要を生みました。
新型コロナウイルス感染症の急拡大が起来て以来、当社の人事・総務担当チームでは、日本の人事市場における多数のシニアリーダーの方々と密な情報交換を行い、ベストプラクティスの共有や、採用企業における情報交換の促進を行ってきました。
当社は全業界、そして人事関連の全職務において強力なコネクションを持つ、東京市場で最大級の人事チームを擁しています。当社が得た採用に関するデータや、市場における人事プロフェッショナルとの対話を通して得た動向について、共有させていただければ幸いです。
人事タスクの優先順位の変化
今年予定されていた人事関連の取り組みの多くは、新型コロナウイルスの対応により優先順位を引き下げる必要がありました。第1四半期末から第2四半期初め(3月末~4月上旬)にかけて、従業員の健康と安全の確保が緊急かつ集中すべき課題となり、次いで在宅勤務のルール策定に取り組む必要が出てきました。
在宅勤務の実施に関しては、すでにフレックスタイムやリモートワークの制度が導入されており、ノートパソコンなど必要な機器の準備が整っていた企業から、全くのゼロの状態から始めなければならなかった企業まで様々で、歴然たる差が見られました。
第3、第4四半期(7月以降)には、人事部門にとっての重点課題は、社外や社内のステークホルダーとどのように協力して市場の変化や新たな労働環境に対処するかや、健康と仕事の生産性の両方の観点からどの様に従業員をケアするかへと移行しました。
HRマネージャー、HRBP、C&B
在宅勤務をきっかけに人事・会社のポリシーの変更に重点が置かれるようになりました。また、従業員のパフォーマンスの問題や、一部の企業では人員削減への取り組みにも焦点が当たりました。L&D
従業員のスキルアップや再教育という任務が課されました。トレーニングコンテンツをオンラインへと移行させ、マネージャーにはリモート環境下でチームをどのように率いるか、チームメンバーには在宅勤務でどの様に仕事をハンドリングするかを教育しました。採用/TA
採用プロセスをオンラインへと変更する必要がありました。転職希望者が物理的にオフィスを訪れなくても会社や職場をよく理解できるバーチャル・オフィスツアーなど、革新的なソリューションもいくつか見られました。人事オペレーション/HRIS
新たなビジネスモデルや組織構造が出現する状況下で、プロセスのデジタル化を支援することに重点が置かれました。
人事リーダーの共通の見解として、新型コロナウイルスによる危機が解消した後も、働き方や企業/人事の規則に恒久的な影響が残ると見られています。
多くの企業が、従業員エンゲージメントの観点とオフィススペースを減らすことで実現できるコスト削減の観点から、今後もより柔軟な労働スタイルを維持することを予定しています。
この事実は、対応する枠組みを計画・実現し、運営できる人事のプロフェッショナルに対する需要が明らかに増大することを意味しています。
業界・職能別、人事領域の採用動向
業界と人事の専門職種により、採用動向における明確な差異が見られています。
● 業界別採用動向
IT/テクノロジー、ヘルスケア
新規採用と後任採用の双方で人事のプロフェッショナルの採用需要がもっとも高まっています。 Eコマース・オンラインコンテンツ/サービス
人事領域の新規採用の増加が最大となっています。製造業・工業
採用需要は平年並みでしたが、産業やエンドユーザーの業界によってばらつきが見られましたが、特にその中でも自動車や自動車部品関係は堅調でした。消費財・小売り
第1、第2四半期には需要が少なく低調で、特にロックダウン期間中のアパレル小売業には大きな影響が見られましたが、第3、第4四半期は持ち直しました。ホスピタリティ・旅行業界
理由は明らかですが、人事領域の採用は劇的に減少しました。企業の人員削減が当たり前の現象となり、人事領域についても同様でした。金融サービス業
金融サービス業界における人事採用は活発ではありませんでしたが、ここ数年金融サービス業界の人事機能は多くの企業において安定しており、後任採用がほとんどになっています。
● 職種別採用動向
人事部門責任者・HRBP
市場状況を考慮すると、需要は驚くほど高い状況のままでした。市場の変動に関わらず、企業のパートナーとなる能力の高い戦略的な人事プロフェッショナルの需要が高くなっています。TA・採用担当者
2020年に需要は減少しましたが、これは前年が例外的に需要が多かったためで、採用のプロフェッショナルの需要は依然として比較的良好です。日本の多くのグローバル企業が、全体的な採用の停滞状況を、採用にかかるコスト最適化の
機会として利用しました。そのため、ダイレクトソーシングやオンラインでの
採用ブランディングに対応できる人材紹介会社出身のリクルーターに高い需要が見られました。同じ理由から、日本市場におけるソリューションの一つとしてRPOが一層普及しました。C&B・人事オペレーション
新しい福利厚生プログラム設計とピープルアナリティクスの高度な専門知識を有する人材への需要が見られました。L&DとTM/OD(タレントマネジメント/組織開発)
需要は著しく低下しました。一方で、この分野では過去数年にわたって有能な転職希望者が少なく、この事実はL&DとTM/ODの転職希望者の競争力が依然として非常に高く、給与が押し上げられることを意味しています。HRIS/人事オペレーション
デジタル化やデータ分析、ピープルアナリティクスの能力のある転職希望者への需要が引き続き増加していますが、実際の採用の大半はオペレーションレベルの後任の採用でした。
求人数の推移(人事・総務)
人事・総務部門 セールスチームマネージャー
オスカー ルンディン
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How to succeed with mid-career recruitment with COVID-19 pandemic in 2021 (English)
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