心臓ペースメーカーから内視鏡、カテーテル、人工皮膚まで様々なジャンルの製品を取り扱う医療機器メーカー。こちらをご覧の皆さんの中にも、現在外資系医療機器メーカーへの転職を考えている人は多いのではないでしょうか。
外資系医療機器メーカーは現在、最も多く人材を募集している業界の一つです。このページでは、外資系医療機器メーカーの現状や売上高のランキング、その職種、どうすればこうした企業に転職出来るかなどについて詳しく解説しています。
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■医療機器業界の現在

外資系医療機器メーカーに転職したいと考えている場合、まずは医療機器業界全体の状況を一通り知っておく必要があるでしょう。というのは、医療機器メーカーには様々な企業があり、それぞれ得意としているジャンルも異なるからです。
CTやMRIといった大型の機器類を開発しているメーカーもあれば、注射器や体温計、血圧計など小型の機器類を開発しているメーカーもあります。また、よく知られているジョンソン&ジョンソンのように、家庭用の医療機器を製造しているメーカーもあります。
さらに、外資系医療機器メーカーの場合、国内でも製品を研究・開発しているところもあれば、輸入販売のみ行っているところもあります。つまり、どのメーカーに就職するかによって、その職種や業務内容は大きく変わってくるわけです。
現在、医療機器業界は成長著しい産業だと言われています。ざっと数えるだけも、医療機器の種類は50万~60万種類はあると言われています。この中には、手術用の機器や検査用の機器、体内に埋め込む機器や患者をモニタリングする機器まで、様々な製品が含まれます。
日本の医療機器の売上高は、平成29年で約3兆円。現在では約3.2兆円を超す規模だと言われています。平成16年度くらいまではほぼ横ばいの2兆円規模の産業だったものが、この十数年の間に約1.5倍にまで規模を拡大しています。
このことには、国内の少子高齢化の影響があると考えて良いでしょう。国内では2025年問題というものが取り沙汰されているように、高齢者の人数や比率は年々増加する傾向があります。そのため、国民が病院を受診・治療する機会も右肩上がりに増えてきているわけです。
さらに、医療の分野では現在、治療と療養の分離ということが積極的に行われています。短期的に治療出来る患者さんについては外来や短期の入院での治療、それ以上の療養が必要になる患者さんについてはホスピスなどでの療養、という分業体制が取られつつあるのです。
そのため、従来では注目されていなかった機器や、新しく作られた医療機関向けの検査装置など、必要とされる医療機器の数や種類にも変化が見られるようになってきました。つまり、医療の現場は日々多様化してきていると言うことが出来ます。
また、国内で製品を製造しているメーカーであれば、海外への輸出をメインとしている場合もあります。とくに東南アジアを始めとしたアジア諸国は、医療業界全体が発展途上にあり、医療機器メーカーにとっては大きな売り手市場となっています。
このように、国内・国外の問題を考えた時、医療機器業界というのは今後もますます発展していく業界であると言うことが出来ます。国内であれば、最新の医療機器のみならず、高齢者やホスピス向けの機器、海外であれば注射器や検査用の機器など基本となる医療機器が今まで以上に必要とされるようになってきています。
■医療機器メーカーランキングは外資系が上位を占める

では、医療機器メーカーの売り上げ世界ランキングを見ていくことにしましょう。下の表では、第1位から第20位までの企業をご紹介しています。第20位に日本のテルモが入っている他は、すべて外資系のメーカーがランクインしていることがお分かりでしょう。
ランキング | メーカー名 | 国籍 | 売上高(億ドル) |
第1位 | ジョンソン&ジョンソン | アメリカ | 287 |
第2位 | ゼネラル・エレクトリック | アメリカ | 181 |
第3位 | メドトロニック | アメリカ | 171 |
第4位 | シーメンス | ドイツ | 170 |
第5位 | バクスター | アメリカ | 164 |
第6位 | フレゼニウス・メディカルケア | ドイツ | 152 |
第7位 | コーニンクレッカ・フィリップス | オランダ | 118 |
第8位 | カーディナル・ヘルス | アメリカ | 110 |
第9位 | ノバルティス | スイス | 107 |
第10位 | コヴィディエン | アメリカ | 104 |
第11位 | ストライカー・コーポレーション | アメリカ | 93 |
第12位 | ベクトン・ディッキンソン | アメリカ | 83 |
第13位 | ボストン・サイエンティフィック | アメリカ | 72 |
第14位 | エシロール | フランス | 72 |
第15位 | アラガン | アメリカ | 67 |
第16位 | セント・ジュード・メディカル | アメリカ | 56 |
第17位 | 3M(スリーエム) | アメリカ | 55 |
第18位 | アボット・ラボラトリーズ | アメリカ | 55 |
第19位 | ジンマー | アメリカ | 47 |
第20位 | テルモ | 日本 | 47 |
このように、医療機器産業というのはほぼ外資系企業の独壇場となっています。ではなぜ、医療機器メーカーは外資系企業が強いのでしょうか。
それは、元々医療機器や医薬品の産業というのは元々ヨーロッパやアメリカなどの国々で開花して、その後日本にもたらされたものだからだと言って良いでしょう。
外資系の医療機器メーカーがトータルに医療機器を扱っているのに対して、日本の医療機器メーカーは特定の分野のみの製品を作っているところが多いです。
上位トップ3について見ていくと、まず第1位のジョンソン&ジョンソンは日本でもよく知られている会社でしょう。
絆創膏や綿棒、ボディローションなどが有名ですが、医療機器の分野では、体内で使用する縫合用の糸や、合成皮膚接着剤、ヘルニア修復用メッシュなどを製造しています。また、低侵襲手術用の自動縫合器や超音波メスなども開発しています。
第2位のゼネラル・エレクトロニックは、電信や電話などの分野から発展してきた企業で、総合電機メーカーでは世界最大の規模を誇っています。
日本の国内法人としてはGEヘルスケア・ジャパンが設立されていて、MRIやCT、X線撮影装置、超音波診断装置などを開発しています。
その他に情報システム・ソリューション関係やライフケア・ソリューション関係にも強く、主に大規模病院での需要が高い医療機器を取り扱っています。
第3位のメドトロニックは、心臓ペースメーカーの製造で有名な企業です。日本法人としては、日本メドトロニック株式会社とメドトロニックソファモアダネック株式会社が設立されています。
第1位のジョンソン&ジョンソンと比べると売上高は約60%ほどですが、それでも第2位のゼネラル・エレクトロニックと並ぶ勢いのある会社です。
■外資系医療機器メーカーの職種とは

次に、外資系医療機器メーカーにはどのような職種があるのでしょうか。
医療機器メーカーというと理系の仕事というイメージがありますが、実際はそうでもなく、営業職などでは文系出身の人間も多く活躍しています。
外資系医療機器メーカーの仕事を大別すると、次の5つに分類することができます。
・事務職
・営業職
・営業支援職
・サービスエンジニア
・技術職
この5つです。では、それぞれの職種の詳細な内容について見ていくことにしましょう。
|事務職
これは詳しく説明しなくてもお分かりかと思いますが、裏方の仕事になります。社内や社外との交渉役、本社との連絡役、などを想像していただければ良いでしょう。人事や総務などの職種もここに含まれます。
一般的に、事務職の場合それほど高度な英語力は必要とされないことが多く、日常会話より少し上くらいの英語力があれば十分に活躍できます。
ただし、仕事中に医療や薬事などの専門用語が混じってくることもあるので、いくぶんはそうした専門用語にも慣れておく必要があると言って良いでしょう。
|営業職
営業職というのは、各病院や医療施設などを巡って、自社製品をアピールする仕事です。
一般的な営業職と似たような仕事ですが、自社製品についての詳しい知識が必要となるため、理系の人が働いている場合が多いです。
具体的には、大卒以上の知識が必要とされることが多く、病院勤務の経験がある人が転職して働いている場合もあります。
多くのメーカーでは、担当者1人あたりに複数の病院が割り当てられ、多ければ20程度の病院を担当することになります。
営業相手となるのは医師の他、看護師や臨床検査技師などです。
場合によっては、自社製品の取り扱い方法を現場で説明する場合もあるので、自社製品の基本的な取り扱い方などはあらかじめ覚えておく必要があります。
|営業支援職
営業支援職というと聞きなれない言葉だと思う人もいるかもしれませんが、外国語ではアプリケーションスペシャリストやカスタマーサービスなどと呼ばれる職種です。
主に臨床工学技士などの国家資格を持っている人が採用されやすい職種となっています。業務内容は文字通り営業の支援なのですが、より専門的な知識を持っていなくてはいけません。
病院やクリニックなどの現場では、自社製品の詳しい取り扱い方などを説明します。とくに、最先端の高度な医療機器を取り扱っているメーカーでは重宝される職種です。
必ずしもトータルな知識を身に付けている必要はなく、心臓専門、眼科専門など、専門分野に関する仕事を行う場合もあります。
|サービスエンジニア
サービスエンジニアは理系の人が向いている職種だと言えます。
CTやMRI、超音波診断装置といった検査装置や手術用の機器などは、定期的なメンテナンスが必要となりますが、病院やクリニックを回ってこれらの機器をメンテナンスして回るのがサービスエンジニアの仕事です。
医療に関する専門知識を学んでいる必要はありませんが、産業機器などのメンテナンス経験者であれば転職しやすいです。
|技術職
技術職には様々な分野があります。
直接製品の研究や製造・開発に関わる部門もあれば、その品質をチェックしたり、データとしてまとめあげる部門などもあります。安全管理業務や、薬事申請業務、治験業務などもここに含まれます。
こうした職種の場合、やはり医学や薬学に関する知識は必須となってきます。
少なくとも医大や薬科大などは卒業しておく必要があると言って良いでしょう。
ですが、薬事申請業務のように事務職と重なるような部門もあり、こうした部署であれば文系卒の人であっても採用される可能性があります。
■未経験でも外資系医療機器メーカーに転職できる?

では、まったくの未経験から外資系医療機器メーカーに転職する、ということは可能なのでしょうか。答えから先に言えば、これはイエスだと言えます。というのは、2つの事情が関係しています。
1つには、日本および世界の医療機器産業の規模が年々拡大傾向にあること、それによって国内でも医療機器メーカーが人材難に陥っていることが挙げられます。
現在、世界の医療機器産業の市場規模は3,000億ドルを超えていると言われています。これは、日本の医療機器産業全体の十倍ほどの規模になります。
また、もう1つには現在の医療が福祉や介護など様々な分野と連携を取るようになってきている、という事情もあります。
今までは病院でしか使用していなかった機器類も、ホスピスや高齢者向けの施設などで使われる機会が多くなってきているわけです。
さらに、IoTの発展もあり、現在ではポータブルな医療機器なども研究・開発が進められるようになってきています。
そのため、外資系医療機器メーカーでは研究・開発職だけでなく、営業職やマーケティング職の募集にも力が入れられるようになってきました。
こうした職種の場合、コミュニケーションスキルに優れた文系の人材なども重宝されるわけです。外資系医療業界は、必ずしも理系の独壇場であるとは限らないと言って良いでしょう。
実際、転職サイトや転職エージェントの情報などを見ると、他分野や他業種の経験者を募集しているケースも多いです。先に挙げたように、サービスエンジニアなどの部門では、産業用機械のメンテナンスを行っていた経験のある人材が募集されていたりもしています。
また、営業職であれば他業種の営業経験のある人も広く募集がかけられています。
外資系医療機器メーカーと言うと、どうしても大手の企業だけを思い浮かべがちですが、実際には中小の医療機器メーカーも多いです。
こうした企業では研究・開発を専門的にまかされていたり、あるいは営業やマーケティングに強いところもあります。
ある程度の英語力があれば、こうした中小メーカーの一線で活躍することも可能です。
また、外資系企業の場合ステップアップのために転職をする、という考え方がポジティブにとらえられている側面があります。
外資系企業は即戦力を期待しているとよく言われますが、医療機器メーカーの場合、必ずしも専門知識を持っていることだけが有利になるとは限りません。
やはり自己発信力を持っていること、企画の実現力があることなどが問われます。
■外資系医療機器メーカーで活躍できる人物像とは

最後に、外資系医療機器メーカーで働くためにはどんな人が向いているのかを解説してみることしましょう。
|責任感がある人
医療機器というのは、もちろん人命を預かる現場で必要とされるものです。ですから、外資系医療機器メーカーで働いていくためには、強い責任感が必要となります。もしも営業職に就くのであれば、その場その場で説明ができるだけでなく、その後のアフターケアまで考えた振る舞いをしなくてはいけません。
これは研究・開発職にとっても同じことです。やはり、この人は責任感があると思われた人は採用されやすくなります。
また、責任と同時に高い倫理感を持っていることも必要です。
人命にかかわる仕事だという点を、まず疎かにしないようにしましょう。
|医学や医療機器に対して興味や関心がある人
理系の人に限らず、文系の人であっても、医療や医療機器に対して興味や関心があるという人は採用されやすいと言って良いでしょう。ですが、一時的な興味にとどまらず、興味を持ち続けることが大切です。
自社製品には長く付き合い続けているうちに愛着が湧いてくるものですが、医療全般に対して深い興味と関心を抱き続けるということが必要不可欠でしょう。
|コミュニケーション能力がある人
営業職や事務職の人に必要とされるのが、コミュニケーション能力です。とくに営業職の人の場合、かなりたくさんの人と会って話をしなくてはいけません。その中には医師だけでなく、看護師やその周辺で働いている人たち、福祉や介護の関係者なども含まれます。
こうした人たちにできるだけ分かりやすく自社製品を説明するためにも、営業職や事務職の人はコミュニケーション能力に長けていなければなりません。
外資系企業は本社が海外にあるため、必要に応じて本国の人とのコミュニケーションも取らなくてはなりません。
こうした環境にあっても臆せずに自分の発言ができることは、転職の際にも有利になります。
|チームワークがある人
これは意外に思われるかもしれませんが、外資系企業では国内企業と違ってチームプレイが大切にされます。
個々人の能力が高いことは良いことですが、それ以上に各人各部署の連携が重視されています。ですから、独断専行型の人間というのはあまり採用されません。
一つの部署についたらその仕事をやり遂げること。
そして、それぞれの人間をユニットと考えて、ユニット全体としての行動も考えられること、が外資系企業では求められています。
とくに社外との交渉が多い医療機器メーカーでは、チームワークは最も大切にされる要素の一つです。
|最後まで仕事を全うできる人
技術職であれば研究から製造まで、営業職であれば販売からアフターケアまで、医療機器メーカーというのは非常に長いスパンで行動をしなくてはいけない組織です。
ですから、途中で仕事を投げ出すような人であっては、仕事についていくことができません。
長い目で見てじっくり仕事に取り組んでゆける人材というのは、それだけ高く評価されます。
■まとめ

以上で外資系医療機器メーカーの現状や売上高のランキング、募集されている職種や適性のある人などについて解説してきましたが、お分かりいただけましたでしょうか。
最近では、外資系医療機器メーカーでも営業職を始めとして、理系の人間だけでなく文系の人間も幅広く採用する傾向があります。とくに責任感が強く、仕事を最後までやり遂げられる人材は高く評価されます。
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